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花粉症の方へ 歯科医院でのアレルギー

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。


目次
1.舌下免疫療法
2.アナフィラキシー
3.歯科用金属アレルギー
4.ラテックスアレルギー
5.アルコール過敏症


今日まずは、花粉症の舌下免疫療法を行なわれている方への歯科治療時の注意勧告がありましたので情報を共有させていただければと思います。

国立 歯医者 舌下免疫療法

以下いただいた文章です。

 「花粉症の舌下免疫療法で使われるシダキュアという薬を使用している方が、抜歯等の外科処置 

には注意が必要とのこと。傷口から成分が入り込むと、アナフィラキシー様症状で気道が腫れて窒息する可能性があるそうです。 

 また、5 歳以上から使用されるお薬とのことで、子どもにも処方されているケースもあるた、乳 

歯の抜歯も要注意です。保護者に服用の有無を必ず確認するのが良いと思います。まだエビデンスがないようで、耳鼻科さんによっては事前に歯科治療の予定がないかを聞いてくれているところもあるそうですが、事前休薬は必要なく術後 3~7 日間休薬を指示している耳鼻科さんもあるそうです。矯正器具が舌にあたって腫れるケースもあるそうです。

 松原徳洲会の竹内先生からのコメントです。

 アレルゲン免疫療法についての私見です。舌下免疫療法(SLIT)は皮下免疫療法(SCIT)に比べてアナフィラキシーの発現頻度は低いとされていますが、シダキュアやミティキュアの口腔内に現れる副作用の発現頻度は5%以上と、他の薬剤に比べても高いものです。

 また、舌下免疫療法に使用される薬剤は、エピペンのように講習を受けて処方が可能になる薬剤 なので認定を受けている先生でしか処方されません。最近、当院でもスギ花粉に対する舌下免疫療法でこの薬剤を服用されて、口腔内の発赤、腫脹を認めた方がいらっしゃいました。

 今のところ口腔外科学会、口腔科学会などからの注意喚起はありませんが、昨今の生活環境を考えますと何らかのアレルギーに対する問診は慎重に行う必要があると思われます。 

 歯科処置との関連については海外の文献では舌下免疫療法中は抜歯や口腔内に侵襲のある手術 

は禁忌とされているものあります(Ann Agric Environ Med: 2016 Mar 23;23(1):44-53. doi: 

10.5604/12321966.1196851.)が、明確な基準になるようなガイドラインはありません。」

以上 引用です。

 この記事を読み注意喚起が必要だと思ったのは、外科的な処置のみならず矯正器具による口腔内の傷口からも腫れてしまうということは、口内炎や誤って噛んでしまった際の傷口からも腫れる可能性があるということです。日常の食事中だけでなく、スポーツ時にも起こりうる可能性があるため、歯科治療にこられた方以外にも注意が必要だと感じました。もし服用中の方がいらっしゃいましたら当院スタッフまで教えてください。

アナフィラキシーとは?

 歯科治療においても稀ですがアナフィラキシーショックが起こる可能性があるため、我々歯科医師はアナフィラキシーショックの症状を正しく理解し、速やかに適切な治療•対応が求められます。緊急時の薬剤を常備することや緊急時の対応についても定期的にセミナーを受講して院内共有していますのでどうぞ安心して通院してください。

 アナフィラキシーは、重篤なアレルギー反応の一種で、免疫系が異常な反応を起こしそれが全身に広がります。蜂に刺された時のアナフィラキシー反応が一般的かと思いますが、歯科治療中にアナフィラキシーが発生する原因は、麻酔薬などの薬剤や材料、投与された薬剤によるものがあります。

アナフィラキシーの症状には、息苦しさ、のどの腫れ、顔面や舌の腫れ、皮膚のかゆみや発疹、蕁麻疹、吐き気、腹痛、下痢、めまい、失神、心臓の動悸などがあります。歯科医師は、これらの症状に対して迅速かつ適切な対処を行う必要があります。アナフィラキシーの治療には、速やかにエピネフリン(アドレナリン)を投与することが重要です。その他にも、抗ヒスタミン薬やステロイド薬などが使用されることがあります。治療には慎重な監視が必要であり、必要に応じて救急搬送が必要になる場合もあります。

 歯科治療を受ける前に、アレルギーの既往歴やアレルギーの症状がある場合には、歯科医師に事前に伝えることが重要です。また、治療中に症状が現れた場合には、すぐに歯科医師に報告するようにしましょう。

アレルギーの原因は?

 歯科医院の現場で起こるアレルギーには多くの原因があります。歯科用金属やプラスチック、ラテックスや薬剤など、あらゆる薬剤や材料で起こる可能性があります。

歯科用金属アレルギー

 その中で、みなさんもよく耳にしたことのあるのは【歯科用金属アレルギー】かと思います。鹿に使用される金属には金、白金、ニッケル、クロム、チタン、コバルト、パラジウムなどがあります。これらの金属が少しずつ溶け出し口腔内•体内に留まり、アレルギー反応を引き起こすことがあります。ゴールドのように安定しており口腔内の唾液に溶け出しにくいものは比較的アレルギーが起こりにくいです。しかし、パラジウムのように溶け出しやすい金属はアレルギー反応を示す患者さんが多いです。実際アメリカや北欧などでは小児や妊婦への使用が禁止されている金属になります。溶け出すということは、口腔内にあるだけで少しずつ隙間が空いてしまうことでみおあり、その隙間から虫歯の侵入が起こりやすくなってしまいます。定期的にやり直しが必要になってしまう原因でもあります。

 少しずつ溶け出すため、症状も緩徐に起こり、自覚症状なども発見しにくいの現状です。歯科用金属アレルギーの症状には、口腔内の腫れやただれ、かゆみ、発疹、口内炎などがあります。重度の場合は、呼吸困難や全身のアレルギー反応を引き起こすこともあります。長期間治らない肌荒れも歯科用金属アレルギーが原因の場合もあります。

 歯科用金属アレルギーの有無を確認するためには皮膚科の受診が必要になりますが、パッチテストによる簡易的な検査でも鑑別が可能です。

 歯科用金属アレルギーの治療法法としては、反応を引き起こす金属を取り除き、メタルフリーの材質に置き換える方法です。例えば、金属の入った詰め物や被せ物を取り除き、セラミックやレジンなどのメタルフリーの材料で治療する方法があります。また症状が軽度の場合には、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤などの薬物療法が行われることもあります。いずれにしてもパッチテストなどのアレルギー反応の有無を事前に確認することが重要になります。

 さらに、歯科用金属アレルギーについては、予防や治療に加えて定期的な口内清掃や歯科健診を受けることも重要です。歯垢や歯石などが歯肉炎や歯周病の原因となり、アレルギー反応を悪化させることがあるためです。

 最近では、金属アレルギーのリスクを抑えるために、金属フリーの歯科材料やCAD/CAM技術によるメタルフリーの治療が注目されています。しかし、メタルフリーの材料にもモノマーなどアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、治療前に適切なアレルギー検査を行い、専門家の意見を聞くことが重要です。

ラテックスアレルギー

次に多いのはラテックスアレルギーやアルコール過敏症があります。普段使うグローブやラバーダムなどに反応を起こし肌荒れを起こす患者さんもいます。ラテックスの含まれないニトリルの準備もございますので、事前におっしゃっていただければと思います。

アルコール過敏症

また、器具の消毒などで用いるアルコール含有の消毒剤や洗浄剤に対して過敏症状を持つ方も多くいらっしゃいます。一般的には、口腔内の粘膜や歯肉が赤く腫れたり、痛みや痒みが生じたり、口の中がピリピリとした感覚を覚えたりすることがあります。アルコールに弱い方に多く見られます。高校の時のアルコールパッチテストでも真っ赤になる方が数名いましたが、そのような方は問診票に記入いただくか、スタッフまでお申しください。

このように、歯科医療現場では多くのアレルギー反応になりうる薬剤を多く扱います。日々緊急時の対応をスタッフ一同共有し、あせらず対応できるよう準備していますので安心せて通院してください。また、どんなに些細なことでもアレルギ反応の予防のために問診票に記入していただければと思います。よろしくお願いいたします。