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骨について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は骨についてお話ししていきます。
【目次】
1.骨の種類と特徴、働き
2.骨のできるまで、代謝
3.Preservation Technique (温存術)
1.骨の種類と特徴
私たちのからだの“骨組み”をなしているのが骨格系です。おもな骨だけでも200個余り、そして骨の形から5種類あるといわれています。それらの骨がきちんと配列され連結しあって、いわゆる人間の骨格系が形成されています。
<種類>
①扁平骨
内臓器官を保護します。頭蓋骨(後頭骨、頭頂骨、前頭骨、鼻骨、涙骨および鋤骨)、胸郭(胸骨および肋骨)および骨盤(腸骨、坐骨および恥骨)には扁平骨があります。 扁平骨の機能は、脳、心臓、および骨盤内器官といった内臓器官を保護することです。 扁平骨は、やや扁平で、盾のように保護の役目を果たします; 扁平骨はまた、筋肉に脂肪が付着する広い部分を提供します。
②長骨
体重を支え、動きを促進します。長骨(幅より縦方向が長い)は、大腿骨 (身体の中で最長の骨)に加えて、比較的小さな手の骨も含みます。 長骨は、身体の体重を支え、動作を容易にする機能を果たします。 長骨のほとんどは、付属肢骨格に位置し、下肢 (脛骨、腓骨、大腿骨、中足骨および趾骨)の骨および上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、中手骨および趾骨)の骨を含みます。
③短骨
立方体状の骨です。短骨は、縦横の長さがほぼ同じです。 手首におよび足関節に位置し、短骨は、安定性に寄与し、ある動作を担います。 手首の手根骨(舟状骨、月状骨、三角骨、有鈎骨、豆状骨、有頭骨、小菱形骨および大菱形骨)および足首の足根骨 (踵骨、距骨、舟状骨、立方骨、外側楔状骨、中間楔状骨および内側楔状骨)が短骨の例です。
④不規則骨
複雑な形をしています。不規則形骨の形や構造はさまざまで、そのためほかのどの分類(扁平、短、長または種子)にも属しません。 こうした骨は、かなり複雑な形をしていることが多く、内臓器官を保護するのに役立っています。 例えば、脊柱の不規則形骨である椎骨が、脊髄を保護しています。 骨盤の不規則形骨(恥骨、腸骨および坐骨)は、骨盤腔にある臓器を保護しています。
⑤種子骨
腱を強化します。種子骨は、腱の中に埋め込まれている骨です。 このような小さく丸い骨は、一般に手、膝および脚の腱の中にあります。 ストレスおよび疲労から腱を保護するための種子骨の機能。 種子骨の例として、一般に膝頭と言われる膝蓋骨が挙げられます。
<特徴>
他の動物とちがうヒトの骨の特徴です。
•大腿骨が発達している
•手足の骨が長い
•脊椎がS字に曲がっていることで頭部の重さを分散して支えている
<働き>
骨は体を形成する以外にも、いくつかの重要な働きをしています
•内臓の保護
•カルシウムの貯蔵
•骨髄での造血
骨は人間の体重を支えながら歩いたり跳んだりするために強くて丈夫でなければなりません。またいくら丈夫でも重たくては身軽な活動ができないため軽さも必要です。そのために骨の中が蜂の巣状に空洞で、骨の壁の厚さは両端部より中央部の方が厚くできています。つまり骨は十分な強さを維持しつつ変化し成長しているのです。
2.骨ができるまで、代謝
皮膚が新しくつくり変えられるのと同じように、骨も新陳代謝が繰り返されています。
この新陳代謝は、骨を壊すはたらきをする「破骨細胞」によって古い骨が壊される(骨吸収)一方で、骨をつくるはたらきをする「骨芽細胞」により新しい骨がつくられる(骨形成)変化で、骨代謝:リモデリングと呼ばれます。リモデリングは骨吸収と骨形成が交互にバランスよく、骨の総量が変わらない範囲で起こるものをいいます。骨代謝に異常があると、骨粗鬆症や大理石症のような病気を発症します。
<リモデリングに必要な要素>
①細胞
骨芽細胞や破骨細胞だけでなく、その前駆細胞である未分化間葉系細胞の量が重要です。未分化間葉系細胞は骨膜から供給され 、骨膜には骨表面を被覆している外骨膜と 、骨髄内や骨染表 面を裏層している内骨膜があり 、これらの骨膜から生じた未分化間葉系細胞が細胞成長因子などの作用で骨芽細胞に分化します。
②足場
骨芽細胞が増殖するための足場 が必要です。通常は、移植骨自体が足場となり、骨芽細胞が増えてきます。足場としては、多孔質性のものが優れています。
③骨基質
マトリックスとも呼ばれ新生骨の母体となる要素です 。骨基質は骨形成期の骨芽細胞から分泌され 、 周囲の血流からカルシウムの沈着を受けて石灰化され、骨としての性質を有します。
④細胞成長因子
骨芽細胞や破骨細胞、線維芽細胞などの細胞増殖を制御する因子であり、血液中や骨基質中に含
まれて必要に応じて発現し、作用するタンパク質です。現在まで約3 0 種類の細胞成長因子が発
見されています。
⑤血流
移植骨へ栄養やカ ルシウム分を供給するために血液が必要です。骨移植創部への血液供給の大部分は、歯肉骨膜弁に含まれる毛細血管から得るため、GBR 法などで非吸収性遮蔽膜を使用すると歯肉骨膜弁からの血流は遮断されて、母床骨表面のハバース管からのわずかな血流のみとなり、血流の面からは不利となります。
海面骨
三日月状の微小区域がリモデリングの単位(パケット)
①全身的因子、局所的因子のシグナルを骨芽細胞が受け取る
②骨芽細胞が前駆細胞に作用し、破骨細胞が活性化する
③破骨細胞が骨を吸収し始める
④骨基質中の増殖因子が放出され、骨芽細胞が活性化
⑤破骨細胞が吸収した凹みを埋めるように骨を作っていく
皮質骨
同心円上になっている所がリモデリングの単位(オステオン)流れ星が飛び交うようにリモデリングが起こっている
破骨細胞がトンネルを掘りながら進み、骨芽細胞がそれを埋めていく。中心に血管が通っていて、破骨細胞が常に供給できるようになっている骨芽細胞は自ら骨の中に埋まっていき、骨細胞としての機能を果たす。
3.Preservation Technique
インプラントを行う上で骨形態が理想的でない場合、骨造成を行い、骨形態を修正した上でインプラント埋入を行います。抜歯後は、三次元的な歯槽骨の形態変化が生じます。垂直方向よりも水平方向のほうが著名で抜歯後3カ月で30%、12カ月で50% 歯槽骨幅が減少します。
自然治癒
唇頬側からの明らかな 吸収がみられる。
Ridge Preservation Technique
自然治癒に比べると明らかに 吸収は少ないが、もともとの ボリュームすべてを維持できる わけではない。
<Ridge Preservstion Techniqueの効果>
自然治癒と比較して明らかに温存の効果が認められる。自然治癒に比べて唇側中央部で骨の高さが平均2.07mm、 幅は平均1.89mmの温存効果がある。 高さ・幅ともに約2mmの温存効果。しかし吸収を完全に妨げるわけではない。
<結果を左右する可能性のある因子>
- 骨移植材の有無
- 初期閉鎖
- メンブレンの使用
- 骨質の改善
しかし、現在あまり積極的に行われていないです。その理由は、
①RPTを行っても必ず骨吸収は生じ、いくらかの寸法変化を免れることができない
②RPTの効果についても治癒後の寸法を正確に予測する事は困難なうえ、インプラント埋入可能な常置 であるか否かの結果も不安定である
③移植材やメンブレンに金銭的コストがかかることに加え、感染が生じた場合に患者が生物学的コストも支払うおそれがあること
④RPT字に軟組織の一次治癒を目的とする術式を選択した場合、硬組織の温存と引き換えに歯肉歯槽粘膜境の移動を伴うなど軟組織には犠牲を強いることになる。
現在行っている主な方法は、
抜歯の際、軟組織の治癒を早める目的で コラーゲン製剤(テルプラグ)を抜歯窩に 填入して縫合しただけで、RPTは行っていないです。 硬組織よりも軟組織の温存を優先しています。抜歯後上皮に被覆されたら埋入オペを行っています。
抜歯後の硬組織•軟組織の保存、失われた場合回復が行われるかが治療方針を決める上で重要になってきます。