ブログ
TCH?
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日はストレスに関するお話をしていきます。
【目次】
1.ストレスについて
2.TCHについて
∟種類
∟原因
3.治療方法
1.ストレスについて
『五月病』という言葉があるように、この時期は新生活のスタートから1時間ほど経過しGWの長期休暇の反動・ストレスから、気分が滅入ってしまう方が多くいらっしゃいます。
新しいチャレンジで充実した生活を送っていても脳にとってはその環境変化はストレスと感じている可能性があります。
ストレスは、様々な形で口腔内に影響を与えることが知られています。
- 口内炎や口唇ヘルペスの発症
ストレスは免疫力を低下させるため、口内炎や口唇ヘルペスの発症を促進することがあります。 - 歯ぎしり
ストレスは、歯ぎしりの原因となることがあります。歯ぎしりによって、歯がすり減ったり、歯茎が炎症を起こしたりすることがあります。 - 口臭
ストレスは、唾液の分泌を減少させることがあります。唾液が不足すると、口内の細菌が繁殖しやすくなり、口臭が発生することがあります。 - 口の乾燥
ストレスは、唾液の分泌を減少させるため、口が乾燥することがあります。口が乾燥すると、口臭や口腔内感染症のリスクが高まります。 - 歯周病
ストレスは、免疫力を低下させるため、歯周病の発症を促進することがあります。歯周病は、歯茎が炎症を起こし、歯が抜ける原因となる疾患です。
- 口腔筋緊張
ストレスは、口腔周囲の筋肉にも影響を与えることがあります。緊張した状態が続くと、口の周りの筋肉が過度に緊張し、口の開閉や咀嚼の機能に問題が生じる場合があります - 偏食や不健康な食生活
ストレスが原因で食欲不振や偏食が生じることがあります。偏った食事や栄養不足は、口腔内の健康に悪影響を与える可能性があります。特に、ビタミンやミネラルの不足は口腔の組織の健康に重要な役割を果たします。 - 噛み合わせの変化
ストレスによって、歯ぎしりや歯への圧力の変化が生じる場合があります。これによって噛み合わせが変化し、歯や顎関節に負担がかかることがあります。 - 口の周りの皮膚トラブル
ストレスは皮膚の状態にも影響を与えるため、口の周りの皮膚にも問題が生じることがあります。例えば、口の周りにかぶれや湿疹ができたり、唇が荒れたりすることがあります。
今日はこの中でも、2.歯ぎしりについてお話しします。
2.歯ぎしりについて
歯ぎしり•食いしばり:最近はTooth Contacting Habit(TCH):上下歯列接触癖と言われています。個人が日常的に歯を接触させる傾向や習慣のことを指します。この状態は、ストレスや不安、習慣、身体的な要因など、さまざまな要素によって引き起こされることがあります。主な症状としては、歯ぎしり(bruxism)、歯ぎしりの音、歯への過度の圧力や摩耗、歯の痛み、頭痛、顎関節症(TMJ)の症状などがあります。
皆さん、歯が接触している時間は、1日どれくらいだと思いますか??
研究によると24時間のうち歯が接触しているのはたったの20分程度といわれています!!そのうちのほとんどが夜間の歯ぎしり・食いしばりです。
通常、リラックスした状態であれば上下の歯接触していないです。しかし、TCHがある方は上下の歯を気付かずに接触させてしまっています。
<歯ぎしりの種類>
グライディングタイプ
上下の歯を左右に擦るタイプの歯ぎしりです。「ギリギリ」というような音が鳴ります。主に睡眠中に行われます。無意識に早く、大きく動かす人が多く見られます。
クレンチングタイプ(くいしばり)
上下の歯に力を強く入れて噛み締めるタイプです。歯に大きな力がかかりますが、音はほとんどしません。睡眠時のみでなく、日中、仕事中や運動中に噛み締める場合もあります。また、睡眠中に無意識に咬みしめている人は、朝起きた時に歯が浮いたような感じがあったりします。
タッピングタイプ
上下の歯をぶつけあうタイプの歯ぎしり。「カチカチ」というような音が聞こえます。グライディングタイプやクレンチングタイプに比べると少ないタイプの歯ぎしりです。
ナッシングタイプ
一部の特定部分だけこすり合わせるタイプの歯ぎしり。「キリキリ」というような音が鳴ります。犬歯や前から4番目、5番目の歯の先端が削れることが多いです。
<原因>
歯の接触習慣の原因は多岐にわたります。
- ストレスや不安
ストレスや不安感は、歯ぎしりや歯の接触習慣を引き起こす可能性があります。これは、日中の緊張や夜間の睡眠中の無意識の状態で現れることがあります。 - 不適切な噛み合わせ
歯の上下の噛み合わせが正しくない場合、歯や顎に不必要な圧力がかかることがあります。これにより、歯ぎしりや歯の接触習慣が引き起こされることがあります。ギリギリこすって噛み合わせをなじませようとする体の防御反応という説もあります。 - 異常な咬筋の活動
咬筋は、咀嚼時に働く筋肉のことです。咬筋の過度の活動や緊張は、歯ぎしりや歯の接触習慣を引き起こす可能性があります。 - 習慣
一部の人は、歯を接触させる習慣がある場合があります。これは無意識の状態で行われることもあります。 - 負荷のかかるトレーニング
負荷のかかるトレーニングや筋トレの際は歯を食いしばっている方が多いです。
<治療方法>
1.ストレス管理
ストレスが歯ぎしりや歯の接触習慣の原因となっている場合、ストレス管理の方法を検討することが重要です。リラクゼーション法、ストレス軽減の習慣の導入、適切な睡眠習慣の確立などが役立つ場合があります。気分転換•リフレッシュが重要です。
2.マウスガードの装着
歯ぎしりや歯の接触習慣の治療には、マウスガード(ナイトガード)の使用が一般的です。マウスガードは、歯を保護し過度の圧力や摩耗を軽減する役割を果たします。歯科医院によって合わせられたカスタムメイドのマウスガードが最も効果的です。お湯で軟化させるタイプのマウスガードも市販されていますが、適合が悪かったり噛み合わせに影響が出ると顎関節に悪影響を与えることがあります。
(治療方法)
上顎の方を取り、模型にシートを熱で軟化させ圧接して作ります。型取りとセットで回数が2回ほどかかります。費用は保険適応範囲内位で4000円ほどです。作成したマウスピースは熱に弱いため、直射日光の当たる窓際は避け、お湯などをかけたりしないようお願い致します。
3.咬合の調整
詰め物や被せ物の調整をし噛み合わせのバランスをとります。一本の詰め物が高いだけでも全体的な体の不調やさまざまな症状が出てしまいます。
4.ボツリヌストキシン製剤
ボツリヌストキシン製剤を注射することで噛むときに使う筋肉の活動を抑えます。マウスピースを試してみたけど合わない方などにお勧めしています。少しずつ効果あ薄れてくるので定期的に注射をしないといけないです。
ボツリヌス菌がつくり出すA型ボツリヌス毒素 (天然のタンパク質) を有効成分とする薬剤です。(ボトックスはアメリカのアラガン社製品名です。)様々な研究の結果、このタンパク質のごく少量を緊張している筋肉に直接注射すると、その筋肉がゆるみ、緊張や痙攣がおさまることがわかり、医薬品として利用されるようになりました。 ボツリヌス菌を注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染するといった危険性はありません。一方、ボトックスにはヒトに由来する成分のアルブミンを含まれており、その製造工程では加熱処理や十分な検査がされていますので、肝炎やエイズなどの感染症にかかることはありません。しかし、現在の医療ではまだわかっていない疾患やクロイツフェルト・ ヤコブ病(狂牛病)の感染の危険性はごくごくまれですがあることを理解して頂く事になります。ボトックス治療は1977 年に米国で初めて斜視の患者さんに使用されて以来、緊張した筋肉を和らげる治療薬として普及し、美容領域においてもFDAの承認を受け、年間約200万件以上使用されておりますが、感染の報告は皆無です。
ボツリヌストキシン製剤による治療は保険適応外です。また、治療に際し、同意書の記入や治療を受けられない方もいますので事前にスタッフまでお問い合わせください。
TCHは多くの方が抱えている問題です。健康な歯でも、くいしばりの力による垂直的な歯根破折により抜歯に至るケースもあります。またパートナーからの申告で相談に来られる方も多いです。少しでもお悩みの方はご気軽のご相談ください。