国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

ブログ

バイオフィルムについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日はバイオフィルムについてお伝えしたいと思います。


【目次】
1.バイオフィルムとは
2.バイオフィルムができるまで
3.バイオフィルムの除去
4.まとめ


1.バイオフィルムとは

 微生物が歯の表面に形成した集合体のことです。歯垢はその典型例です。水中の固相表面にはぬるぬるした粘着物がしばしば形成されます。花瓶の内壁や流しなどにみられるこのような粘着物も細菌が形成する生物膜(バイオフィルム)です。
 
 細菌および細菌が産生する菌体外粘性多糖体(グリコカリックス)が固相表面に形成した集合体をバイオフィルムといいます。地球環境で水のあるところには大抵バイオフィルムがみられます。例えば、お風呂場の排水溝や、キッチンの三角コーナーのヌルヌル。

 口腔内のデンタルプラーク(歯垢)はバイオフィルムの典型例です。 
口腔内常在菌・う蝕原性細菌が歯表面に形成するバイオフィルムや歯周病原性細菌等が歯周ポケット内に形成するバイオフィルムは複数の微生物とそれらの産物で構成されていて、相互に影響を及ぼしあい、栄養源を共有しあったり、薬剤に対して抵抗性を示すなど共同体として機能しています。抗菌剤や抗体はこのバイオフィルムの中へ浸透しにくいため、浮遊細菌で効果のあった抗菌剤や抗体が実際には効きにくいのです。 薬剤を浸透させ効果を発揮させるためには一度このバイオフィルムを機械的に破壊する必要があります。バイオフィルム内の病原性細菌が関与する感染症をバイオフィルム感染症といいます。う蝕も歯周病もバイオフィルム感染症の一つです。

2.バイオフィルムができるまで

歯磨き後1〜2分

唾液中の糖タンパク質を主成分とした歯牙表面に形成される、薄い被膜のことを「ペリクル」といいます。ペリクルは皆さん必ず作られるもので、口腔細菌が歯質に吸着するための足がかり、歯垢形成の初段階、齲蝕発生の始まりとも言えます。しかしその一方で、耐酸性の保護膜としての働きもあります。

歯磨き後 ~8時間

ペリクルの上に、だ液成分を好む善玉菌群がくっついて定着し、健全な歯垢が形成されます。この時点でのプラークはまだ粘着性やネバネバした感じはありません。色は白色の健全なプラークと言われています。

歯磨き後~48時間

善玉菌により、すき間が見えなくなるほど歯面が覆われると、悪玉菌がその上に積み重なっていきます。この悪玉菌は主に歯周病菌で、ネバネバした物質を作り出し歯の表面を覆います。舌で触るとザラザラとした感じがします。

3日以降

悪玉菌がネバネバし物質を合成し、これらの菌群全体が覆われた状態になります。これがバイオフィルムです。数種の細菌がコミュニティーを作って増殖した膜状のもので、細菌が外的要因(薬剤、体内の免疫反応、口腔内の環境変化など)から身を守るために作ります。このバイオフィルムの中の細菌から毒性物質が作り出され、歯肉や血管などに激しい炎症を起こします。最も体に悪い影響のある状態です。

3日~1か月

さらに放置され、だ液中のカルシウムが沈着し固まって、歯石となります。

3.バイオフィルムの除去

排水溝などに出来てしまったバイオフィルムは簡単には落とせません。スポンジやブラシでこするだけでなく薬品を使うこともあると思います。歯に出来てしまったバイオフィルムも同じで、セルフケアの歯磨きでは取れません。歯医者で行うクリーニングでも、保険治療のクリーニングでは落とす事ができません。PMTCという特別なクリーニングを行う必要があります。PMTCとは、「Professional Mechanical Tooth  Cleaning」と言います。専門家による専用の機器と薬剤、研磨剤を用いたお掃除のことを指します。

<バイオフィルムの特徴>

  • 細菌が塊を形成しバリアとなるため、薬剤や体内の免疫系が作用しにくい
  • 対象物にこびりついているので除去が困難(ブラッシングが必要)
  • 内部で作られた病原因子や毒素が局所に滞留して疾患(歯周病)を誘発する

このため、バイオフィルムに対しては、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)など浸透性のある殺菌剤が効果的です。

4.保険のクリーニングとPMTC

保険で行うクリーニングは、歯周病の治療のため、出来てしまった歯石を除去・除去後の歯面を滑沢にすることを目的としています。一方PMTCは虫歯・歯周病の予防のため、歯石ができる前の段階のバイオフィルムの除去・歯面の強化を目的としています。同じように歯科で行うお掃除ですが、目的が異なるため、使用する道具や研磨剤も違ってきます。

5.当院でのPMTC

国立 歯医者 PMTC

まず、染め出しを行い、付着している汚れ、バイオフィルムを確認します。当院の染め出し液は、古い汚れと新しい汚れを染め分けることのできる薬剤を使っています。

                                                                                          

国立 歯医者 PMTC

ブラッシングを行い、付着している汚れを落とします。その後再度染め出しを行います。

国立 歯医者 PMTC

二度目の染め出しで残っている汚れは、普段のブラッシングでは取ることのできない歯に強く付着した汚れ=バイオフィルムになります。このバイオフィルムを取っていきます。

国立 歯医者 PMTC

特殊な薬剤を使い、バイオフィルムも分解していきます。これにより、この後行ブラッシングによりバイオフィルムを綺麗に除去できるようになります。

国立 歯医者 PMTC

回転清掃用具を用いて、機械的にバイオフィルムを除去していきます。

国立 歯医者 PMTC

バイオフィルム以外の歯面も丁寧に磨き上げていきます。

国立 歯医者 PMTC

歯の表面に、フッ素入りのペーストをコーティングしていきます。歯の表面の細かな傷もナノ粒子ハイドロキシアパタイト配合のこのパックでコーティングしていきます。

※PMTC後は良質なペリクルも剥がれている状態になります。
また、フッ素の効果も長時間作用させるためにも術後30分くらいは飲食を控えていただきます。

まとめ

セルフケアでは取り除くことが出来ないバイオフィルム。毎日どんなに頑張って磨いていてもどうしても、磨きにくい場所、磨けない場所にバイオフィルムは出来てしまいます。バイオフィルムは放っておいてしまうと虫歯や歯周病の原因となってしまいます。そのバイオフィルムを取り除く事ができるPMTCは虫歯・歯周病の予防のためのクリーニングです。クリーニングの後、ツルツルになった歯の表面に驚かれる方もたくさんいらっしゃいます。4~6ヶ月ごとのPMTCをお勧めしています。気になる方は是非一度PMTCを行ってみてください。保険のクリーニングと違い時間がかかりますので、一度お電話でお問い合わせいただけるとスムーズにご案内が可能になります。