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親知らずについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「親知らず」についてお話しします。


【目次】
1.親知らずとは?
2.親知らずのトラブル
3.抜いたほうがいいのか?


1.親知らずとは?

 親知らずとは、大臼歯の中で最も後ろに位置する歯であり、第三大臼歯が正式な名称で、智歯(ちし)とも呼ばれています。親知らずは前歯から数えて8番目にあり、永久歯の中で最後に発育します。永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期が概ね10代後半から20代前半であり、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。

 親知らずは一般的には、上下左右2本ずつの計4本ありますが、もともと親知らずの無い人や、必ずしも4本が揃っていない人など個人差があります。親知らずの生えてくる場所が不足している、あるいは萌出方向が通常と異なるために、埋伏していたり、傾いていて真っ直ぐ生えてこないことがしばしばみられます。

 親知らずの埋伏や先天性欠損(発育段階から形成されずに歯が存在しないこと)は人類の進化の一過程という考えがあります。しかしこれは現代になって生じた現象ではなく、クロマニヨン人においても既に発現していて、親知らずの埋伏や欠損は弥生時代からすでに珍しくない現象であったようです 。現代人になって急激に親知らずの先天性欠損や、親知らずが生えてこないことが増えたという感覚を持つ人が多いようですが、現代人において全ての親知らずが生える頻度が増加し、親知らずの先天性欠損が減少したという調査結果もあります 。親知らずの埋伏や欠損は悠久の時の流れの中での傾向であり、近年になって爆発的に増えたわけではないのです。

2.親知らずのトラブル

親知らずは歯肉に部分的に被ったまま(半埋伏)になることにより不潔になりやすく、歯肉の炎症を起こしやすい状態となってしまいます。これを智歯周囲炎と呼び、20歳前後の人に発生する頻度の高い疾患です。智歯周囲炎が周囲の軟組織や顎骨に広がると顔が腫れたり、口が開きにくくなったりすることがあります。智歯周囲炎になった場合は、抗生物質や消炎鎮痛薬の投与、さらにはうがい薬などを併用して炎症を鎮めた様子を見ます。歯茎が覆い被さってて再発する場合、歯肉弁切除(被った歯肉を切除)を行い、様子を見るといった場合もあります。しかし、親知らずの生える方向が悪かったり、炎症をくり返しているような場合は、抜歯を行います。

親知らずの抜歯は正常に生えている場合には、普通の歯を抜くのと同様に比較的簡単に抜くことができます。しかし、親知らずの大部分が骨の中に埋まっていたり、歯の根っこの形が複雑だったりすると、歯肉を切開したり、骨や歯を削ったりするため抜歯するのにもかなりの注意と手間が必要となります。なお、親知らずの状態や患者さんに全身疾患がある場合、入院や全身麻酔下での管理が必要となる場合もあります。

3.抜いたほうがいいのか?

親知らずは適正に生えないことが多く、必要ないため必ず抜かないといけない、というわけではございません。親知らずだから全て抜くというのではなく、正常に生えて機能している場合や、手前の奥歯などが抜けてしまってない場合などはその部分を補うためのブリッジや入れ歯の土台、移植などにも利用できるため、残しておいた方が良いこともあります。

親知らずを抜くというのは決して気軽な行為ではなく、処置によりその後に腫れや痛みなどの不快な症状が生じたり、また少なからずリスクを伴います。そして歯を抜くという行為は取り返しがつかないので、抜くメリットとデメリットについて十分に相談されてから決断しましょう。

親知らずを抜いた方がよい、抜くべきではない、あるいは様子を見てあらためて考えた方がよい場合の目安をお話いたします。

<抜いたほうがいい場合>
①親知らず自体あるいは手前の歯もむし歯になってしまった
親知らずは一番奥の歯なので治療器具が届きにくく、その後の手入れも困難です。また、治療ができたとしても再びむし歯になる可能性があり、親知らずがむし歯になったらあえて治療をせずに抜いてしまった方がよい場合があります。また、手前の第二大臼歯もむし歯になってしまった場合は、すみやかに親知らずを抜いて第二大臼歯のむし歯を処置する必要があります。長期にわたって放置すると第二大臼歯までも悪くなりすぎて抜くことになる恐れもあります。

②横向きに埋まっていて前方の歯に障害を及ぼしている
親知らずが横向きに埋まっていると智歯周囲炎や手前の第二大臼歯の吸収(歯の根が溶かされるように浸食されること)を引き起こすので、親知らずを抜くことが多いです。しかし、手前の第二大臼歯の吸収が進みすぎると注意が必要です。

<抜かなくてもよい場合>
①親知らずが上下できちんと生えていて、かみ合っている場合
②顎の骨の中に完全に埋まっていて問題が無い場合
③入れ歯やブリッジの土台として親知らずが必要な場合
④親知らずを移植する
⑤矯正治療で親知らずを正しい位置に動かすことができる

親知らずの抜歯は当日すぐに行うことができることもありますが、炎症が強く起こっていたり、生え方によっては時間がかかることがあります。当日検査をし、抜歯の日程を調整していく流れが一般的です。痛くなる前に余裕をもってお越しください。