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入れ歯について②

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は入れ歯について、まずは「総入れ歯」についてお話しします。


【目次】
1.総入れ歯について
2.自費診療の総入れ歯
3.アタッチメントについて



入れ歯のことを義歯ということがありますが、義歯というと厳密には被せ物やブリッジも含まれるためため、

(1)固定性義歯(セメントなどで歯牙に接着させる義歯)
(2)可撤性義歯(入れ歯のように取り外し式の義歯)

で分類したほうがわかりやすいかと思います。

今日は,可撤性義歯の中でも総義歯についてお話ししていきます。

1.総入れ歯について

国立 歯医者 総義歯


上顎、下顎それぞれの全ての歯を人工歯で補綴する方法を、総入れ歯と言います。総義歯、全部床義歯Full Denture:FDとも言います。一般的には無歯顎(歯が1本も残っていない状態)の患者さんに用いますが、根面板や残根状の歯牙に対しても全ての歯を入れ歯で治すケースもあります。最初の総入れ歯は気をくり抜いた木床義歯だったそうです。

総入れ歯は床(義歯床)と呼ばれる歯ぐきの部分(ピンク色のプラスチック:レジン)と、人工歯から構成されています。床が粘膜に吸着することで入れ歯を安定させ、人工歯を通じて噛む感触を顎の骨に伝えます。

保険診療の範囲内で作製される総入れ歯の床はレジンやスルフォンといったプラスチック樹脂しか使えません。プラスチック樹脂は固くて、分厚いため、装着の違和感があります。

食事中や会話中に、外れる場合もあります。安定性が悪いために噛む力が弱く、天然歯の約20~30%の力しかなく、固い物は厳しいです。樹脂が分厚いため、熱の伝わり方が遅く、熱い食べ物を体感するのにやや時間がかかります。また、樹脂は臭いが付着しやすく、毎日洗浄しても、長く使っているうちに臭いが沁み込んでしまう場合もあります。保険適応の義歯の場合、半年間作り直しができません。

2.自費診療の総入れ歯

保険適応の入れ歯だと分厚く異物感が大きいため使い心地がよくありません。また歯茎との吸着も少ないため、動いてしまう歯茎を傷つけたり、強く噛み込むことができません。しかし、保健外の入れ歯だと厚さを薄くすることや、適合・吸着を高めることも可能です。自費診療の総入れ歯にも種類があるので紹介していきます。

(1)金属床義歯

国立 歯医者 金属床義歯

<メリット>
①床部分を薄くできるので、異物感が少なく温度感覚も得やすい。
 プラスチック義歯の場合、耐久性を持たせるためどうしても床に厚みを持たせることになります。床部分が厚くなると違和感が強くなり話すときに言葉を発しづらくなります。また、床の部分が厚いと温度を感じにくくなるため、食事が美味しく感じられません。
一方で、金属なら床の厚みを1/3程度まで薄く仕上げることができるため、違和感を少なくすることができます。また、金属だと薄く熱の伝導率も良いため、温度を感じやすく美味しく食事を楽しむことができます。

②丈夫なので壊れにくく耐久性があります。
 プラスチックで作った入れ歯は、過剰な負荷や衝撃に弱いため、強い力で噛んだり落としたりすると割れたり破損することがあります。しかし、金属はプラスチックと比べて丈夫なため、破折などのリスクが少ないです。

③プラスチックの入れ歯ような特有の臭いがつきにくくなります。
 プラスチックの表面に付いた小さな傷や空洞から細菌などが侵入し、それが定着すると特有の悪臭を発することがあります。金属には細菌がつきにくい特徴があるので、プラスチック特有の臭いがつきにくく清潔かつ快適に装着することができます。

<デメリット>
①製作に時間がかかる
以前のブログでもお伝えしましたが良い入れ歯を作るためには時間がかかります。歯科医師や歯科技工士が時間をかけて精密な検査や型取り、噛み合わせのチェック等をおこなうため、どうしても時間がかかります。

②自費診療のため費用が高価
金属床義歯は保険が適用されないため、すべて自費診療となります。

③金属アレルギー
金属床義歯で昔からよく使われる「コバルトクロム」は、他の金属と比較するとアレルギーを起こしやすいと言われています。もし金属アレルギーが心配な方は、アレルギーリスクが低いチタンやゴールド(金合金)などお選びいただくことをおすすめします。

(2)オーバーデンチャー

国立 歯医者 アタッチメント

残存歯やインプラントを入れ歯で覆い被せる治療法のひとつです。見た目は総入れ歯そのものですが、入れ歯が粘膜で噛む力を支えているのに対し、インプラントオーバーデンチャーは歯やインプラントが支えになります。そのためオーバーデンチャー全体の安定性が高く、噛む力も高いのが特徴です。またアタッチメントを用いることで入れ歯の安定性がまし、快適に利用することができます。アタッチメントの種類には以下のものがあります。

3.アタッチメントについて

国立 歯医者 アタッチメント

①マグネットアタッチメント

もっとも安定性が高く、大きなデメリットがない固定方式がマグネットタイプのオーバーデンチャーです。インプラント体とオーバーデンチャーの入れ歯のあいだに小型磁石を埋め込んで、磁力によって固定する方法です。

磁石によって入れ歯を固定するので、埋入するインプラント体の数が少なくて済みます。また、磁力で固定されているだけですがズレにくく、脱着も簡単にできるという特徴もあります。長年使用しても磁力が弱まることがないため、入れ歯に不具合が発生しなければ半永久的に使用することもできるのです。

マグネットタイプのデメリットは磁石なので、MRI撮影に影響が出てしまいます。事前に相談しておくことをおすすめします。

国立 歯医者 アタッチメント

②ボールアタッチメント

埋入インプラントの本数が少なくて済むため、身体への負担が少ないのがメリットです。また、入れ歯部分の取り外しが簡単で、顎骨の退化予防などの効果もあります。壊れても修復が簡単なのもボールタイプの特有のメリットです。

反面、入れ歯と歯茎のあいだに若干の遊びができてしまいます。ひどく動くわけではありませんが、口の中で少々動いてしまうことがあるのがデメリットです。

国立 歯医者 アタッチメント

③バーアタッチメント

インプラントを金属のバーで連結し、その上から義歯を装着します。

支えとなるインプラント体の本数が多く、連結もしているので安定性が抜群に高く、顎の力がもっとも伝わりやすい治療法でもあります。



今日は総入れ歯についてお話ししました。総入れ歯と聞くと、「全ての歯を抜かないといけない」わけではございません。単独で被せることは難しくても、入れ歯を支えるためには残っていたほうが有効な場合があります。さらに、インプラントなども同時に扱うことでより安定した入れ歯を作成可能です。
入れ歯が合わない方は一度ご相談ください。明日は、部分入れ歯についてお話しします。