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歯科器具について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は歯科で扱う器具についてお話ししていきます。
1.ハンドピース
歯科の基本的な治療器具の一つがハンドピース。治療する歯や義歯などを切削する際には欠かせないものです。どれもよく似た外見を持ちますが、いくつかの種類があり、用途に応じて使い分けられています。
ハンドピースは、大きく分けて「タービン」と「ストレート」、「コントラ」の3種類があります。それぞれが異なる機能・構造を持ち、用途も異なります。まずは、各種類の特徴について改めて確認しましょう。
(1)エアータービン
タービン(エアタービン)とは、歯などを削る回転切削器具の一つです。
回転切削器具には他にもエンジンというものがありますが、エンジンの回転数が最大10000回/分程度であるのに対し、エアタービンは40〜50万/分もの回転数があります。
そのため、エンジンよりもはるかに切削能力が高く、振動も少ないのが特徴です。
天然歯や技工物を切削する際に使用するのがエアータービンです。コンプレッサーからの圧縮空気を利用して、ヘッド部分のローター(回転羽根)を高速回転させます。回転数は1分間に30万~50万回。摩擦熱を弱め、目詰まりを防ぐために注水しながら使用します。高速回転で効率良く切削できる反面、トルクが弱く、切削面に強い圧をかけると回転が止まってしまうのがデメリットです。そのため、フェザータッチ(軽い圧)での使用が推奨されています。
(2)ストレート
技工物の切削・研磨や、インレーなど補綴物の研磨でよく使われるのがストレートです。
等速コントラアングルと同じく、マイクロモーターで回転します。
カーバイドバーや研磨用バフなど、比較的大きめのバーを装着して使用します。
ストレートの主な用途は義歯の切削や研磨、インレー・クラウンの研磨などです。マイクロモーターを動力とするハンドピースには、技工物の切削・研磨に使うストレートのほかに口腔内で治療に使うコントラがあります。装着するバーも先端の大きなカーバイドバーやシリコンポイント、研磨用バフ、艶出し用のチャモイスホイールなど、タービンやコントラと比べて大ぶりなものがそろっています。
(3)コントラ
マイクロモーター(歯科用電気エンジン)で回転する等速コントラアングル(コントラ)です。歯髄付近の象牙質除去、仕上げの研磨、根管形成などに使われます。
回転数は1分間に100〜4万回とタービンよりも遅いものの、低回転でも十分なトルクが得られるのが特徴です。そのため、慎重な切削が必要な歯髄付近には、コントラが適しているとされます。
また、コントラはPMTCにも用いられますが、その際使用するのがヘッドが小さいプロフィーコントラです。
唾液や血液を媒介する感染症のリスクをおさえるために、当院では患者さんごとに使用後のハンドピーを滅菌・交換しています。
2.基本セット
当院での基本セットです。
左から、
①ミラー
②ピンセット
③探針
④バキューム
です。
(1)ミラー
口の中の状態を見るもので、見えにくい部分は光や風を当てながら見たりします。
(2)ピンセット
先の部分が曲がっていて、口腔内で使用しやすくなっています。細かい物をつかんだりするのにもとても便利です。
(3)探針
先が鋭く尖っていて歯の隙間や割れ目、虫歯などを探したりします。 こまかりバリやセメントの取り残しなどを確認します。
(4)バキューム
口腔内にたまったお水や唾液などを吸引してくれます
3.外科セット
当院の埋伏抜歯などの際の外科セット
(1)表面麻酔
浸潤麻酔・伝達麻酔の前に歯肉に表面麻酔を行います。綿棒でゲルを歯肉に塗布します。
(2)伝達麻酔
取手のところがリングになっている方が伝達麻酔用のシリンジになります。刺入後、このリングに指をかけ、吸引テストを行い血管に入っていないかを確認するためのものです。
(3)浸潤麻酔
一般的な治療の際にも使用する浸潤麻酔になります。治療する部位の周りに刺入します。
(4)メス刃、(5)メスホルダー
メスで歯肉を切開し剥離します。切開部位によりメスの形態を選択します。
(6)剥離子
歯茎を剥離する時に使います。また、剥離した歯茎を抑える時にも使います。先端の形が細いものもありますので、前歯などの細かいところは細いものを用いたりもします。
(7)5倍速45°コントラ、(8)各種バー、ゼックリア
水平埋伏智歯(横を向いている親知らず)の歯冠、歯根分離の時に使います。
(9)ヘーベル
エレベーター、挺子とも呼ばれます。歯と歯肉の間に入れ、テコの原理を利用して歯を脱臼させて抜歯を行います。部位により形や太さが異なります。
(10)鉗子(かんし)
脱臼させた歯牙を掴み、抜歯を行う器具です。上顎・下顎、残根用など部位により形や太さが異なります。
(11)鋭匙(えいひ)
先端がスプーン状になっており病巣の掻破や、骨の組織の除去などの際に使用する器具です。
(12)外科用サクション
抜歯などの外科処置では出血部位を細かく吸引するため、外科用バキュームを用います。 外科用バキュームは、吸引したい部位を直に吸引できるように先端が細くなっています。 部位によって長さや先端の太さが違うものを使い分けます。
(13)持針器、(14)縫合針 (15)ハサミ
切開剥離した歯肉を縫合します。縫合糸にも絹糸やナイロン、ゴアなど種類があります。
今回は、歯科で扱う基本的な器具の一部を説明しました。それぞれの分野からより使いやすい専用の器具なども発売されていますが、それに関しては今後症例と併せて説明できればと思います。