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咬合診断とは?

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は咬合診断ついてお話ししていきます。

歯科治療は患者さんの予防意識や、歯周治療・歯内療法の発展によりより高水準の歯牙の保存が可能になりました。またインプラントや再生療法で喪失前の歯や骨、歯肉の再現も可能になりつつあります。しかし、咬合•顎関節機能の診断に関しては未だ研究過程にあると思います。その理由としては、再現性のある診断が困難なため、診断基準が明確になっていないことがあると思います。顎関節、咬合、筋の関係性を診断するためより高度な知識が必要になります。

国立 歯医者 不定愁訴


それぞれのどこかに影響があると、身体はその変化に対して適応代償で機能を維持しようとするため、他に部位にまで悪影響が起こります。一つの詰め物の噛み合わせがが少し高いだけでも起こってしまいます。生体には許容量・適応範囲があるためすぐに症状が出るわけではありません。その適応範囲を超えたときに、咬合の不調和として様々な臨床症状,さらには全身的な不定愁訴となり現れるため,原因の特定が非常に困難となっています。

適応(Adaptation)
環境に対応して機能的変化によって生命維持を可能にしようとする生体反応

代償(Compensation)
構造的欠陥に対して、最大の機能を可能にしようとする生体反応

咬合診断のポイント①

咬合・顎口腔系の診断の中で、特に上下顎の静的な位置関係を決定する要素として「適正下顎位」「咬合高径・咬合平面の決定」「アンテリアガイダンスの設定」「咬頭嵌合位の安定化」の4項目が挙げられます。このそれぞれが咬合診断を難しくしている根本的な原因かもしれません。

適正下顎位

「適正下顎位」は中心位、補綴治療位、顆頭安定位、中心咬合位、咬頭嵌合位、筋肉位、習慣性咬合位、生理的咬合位等と呼ばれ、上下顎の水平的な位置を決定する要素です。主に顎口腔系の静的な位置づけとなります。どの下顎位を採用しても問題はないと考えられていますが、採用した下顎位が咀嚼運動の起点となるため、安定させられなければ顎口腔系の維持の期待ができなくなります。咬合器上で補綴装置を精密に製作したとしても、口腔内におけるこの位置の再現性がなければ、大幅な調整や再製が必要になってしまいます。咬合器に付着するときは、中心位で付着しています。では、中心位とは?

<中心位>

国立 歯医者 中心位

中心位は、研究の過程で位置の定義が変化してきました。

中心位がどこの位置かよりは、
①Stability:安定しているか
②Repeatable再現性があるか
③Comfortable快適か
を見極める方が重要です。

咬合高径・咬合平面の決定

「咬合高径・咬合平面の決定」は上下顎の垂直的、水平的な位置を決める要素であり、補綴装置の製作にお
いて非常に重要な項目です。そしてこの 2 つの項目は術者のスキルに大きく依存し、可視化・数値化による評価の難しいところです。そのため咬合診断を難しくしている大きな原因の一つであります。

咬合高径を考える際に、呼吸ならびに嚥下との関係は大切です。「睡眠時無呼吸症候群」に関連しては以下の報告があります。

•年齡とともに増加する傾向があり、高齢者では男性で20~67%、女性で20~54%にみられる
•夜間義歯を装着していない人で睡眠時の無呼吸出現率が高くなる
→無歯質で義歯を使用していない人の場合に睡眠障害が多く発現する

国立 歯医者 睡眠時無呼吸症候群

これらは、義歯を装着しない状態で就寝した場合に咬合高径が低下すると、舌の位置が後退あるいは不安定となって、睡眠中の唾液嚥下を妨げることで睡眠が深ならず覚醒してしまうことに起因するものと推測されています。

国立 歯医者 咬合高径
国立 歯医者 咬合平面

咬合高径、咬合平面の決定にはいくつかの方法がありますので後日また詳しく説明します。

アンテリアガイダンスの設定

先日軽くお話ししたアンテリアガイダンスについて詳しくお話しします。

国立 歯医者 咬合

Slavicek の仮説
ファンクショナルディバイディングプレーン(FDP)
→オトガイ棘を通る咬合平面の垂線を基準に歯列の役割を分割する考え方

ここより前方はディスクルージョンによる臼歯を側方力から保護するガイダンスエリア、後方は顎位の支持により前歯を咬合力から保護するサポートエリアに分かれる

前歯のガイドが急角度なため抵抗感があったり、患者さんが実際に前方や側方へガイドした時に摩擦を感じるようであってはなりません。このような急傾斜のアンテリアガイダンスは外側翼突筋下腹の収縮活動を妨げるだけでなく、偏心運動中に外側翼突筋上腹と側頭筋の活動に不調和を生じ、さらに下顎の開開運動に関与する舌骨筋群にも異常収縮を起こしてしまいます。

アンテリアガイダンスを補綴治療または橋正治療によって急傾斜に変化させると、筋機能障害の結果として開口障害や顎関節雑音や疼痛を生じることが多いです。

<アンテリアガイダンスの臨床的再現法>

  1. 顆路の形状と傾斜との調和
  2. 顆頭の回転と滑走に関係する
  3. 臼歯のディスクルージョン咬合面形能との調和
  4. 咬合様式に調和

などの見解が報告されているが、日常臨床の立場からは具体性に欠けています。実際には、プロビジョナルを用いて口腔内の調和、安定性を確認し、それをクロスマウントすることで再現しています。

咬頭嵌合位の安定化

咬合の安定の確立と維持に関与する要件として、機能圧、生体圧、異常機能圧が挙げられます。

(1)機能圧
咀嚼や嚥下などの機能運動時に、上下顎臼歯には長軸方向への咬合圧が加わるのが好ましいです。歯根膜は臼歯の長軸方向への咬合圧に対しては比較的大きな力を受け止めることができるが、側方圧に対しては小さな力でも疫痛を感じて開口反射を惹起するメカニズムを有しています。


(2)生体圧
筋力、歯周靭帯と隣接面コンタクト、および歯と歯周組織の挺出力などが挙げられます。


(3)異常機能圧
特に夜間のブラキシズム(Bruxism)が与える影響が大きいです。異常機能圧は咬筋と内側翼突筋の活動によって生じます。歯の咬耗、動揺,位置移動を生じ,歯周組纖の状況によっては垂直性骨吸収やポケットの深行を増悪させることになります。また、顎口腔系の筋肉の痙攣や疼痛を生じたり、顎関節への負荷を強いることもあります。


今日は咬合診断のお話をさせていただきました。この先、咬合についてはまた詳しくお話ししていきます。