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日本と世界との違い
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は歯科界における日本と世界との違いについてお話しさせていただきます。
【目次】
1.保険制度の違い
2.美意識の違い
3.オーラルケアの違い
4.予防歯科の違い
1.保険制度の違い
日本は「国民皆保険制度」と「自費診療」という二つの制度の下、治療が行われます。
「国民皆保険」とは、病気や事故にあったときの高額な医療費の負担を軽減してくれる医療保険制度です。日本ではすべての国民が公的医療保険に加入することになっています。
ここでいう公的医療保険とは、次の保険のことです。
(1) 国民健康保険(市町村) 自営業者、年金受給者など (2) 健康保険(全国健康保険協会[協会けんぽ]、各種健康保険組合) 企業の従業者や日雇労働者など (3) 共済組合(各種共済組合) 国家・地方公務員や私学教職員など (4) 船員保険 船舶の船員など (5) 後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合) 75歳以上の人および65歳~74歳で一定の障害の状態にある人 |
もう一つは材料や制度に制限がない「自費治療」とわかりやすいシステムです。
一方、アメリカには日本のような国民皆保険制度は存在せず、完全に自由なシステムで歯科治療が行われています。アメリカでは、基本的に全額自己負担でどこの会社のどの保険プランに加入するかを個人で決定します。ただし、会社員は福利厚生の一環で会社が保険料の一部を負担し、保険会社と契約を結ぶ場合もあります。すべて民間の保険であり、保険会社ごとに補償内容などは実にさまざまです。また、保険に加入しても任意の歯科医院に通院できるわけではありません。保険会社から歯科医院のリストが送付されてくるので、そのなかから歯科医院を選択します。リスト外の歯科医院への通院も可能ですが、その場合は保険会社からの負担が減額されます。そのため、一般的には保険会社がリストアップした歯科医院に通院します。リストアップされた歯科医院は保険会社、患者双方の負担額が少なく設定されています。そのぶん歯科医院が安価で治療しているのです。
歯科保険に加入している人が、保険会社と契約していない歯科医院へ通院した場合、治療費は全顎自己負担、もしくは保険会社が一部のみ負担し、残りを患者が支払います。月々の保険料が高額であるほど手厚い保障が受けられます。
2.美意識の違い
アメリカ人が歯を大切にする理由は主に二つあります。一つはしっかりとメンテナンスを行うことで支出を抑えたいこと、もう一つは歯に対する美意識が非常に高いことです。また、歯を保護するためにナイトガードを装着して就寝する方も大勢います。歯ぎしり防止ではなく、歯の咬耗や脱落を予防するための装着です。実際ほとんどのスーパーや薬局で市販品のナイトガードが販売されており、普及率の高さがうかがえます。
また、歯並びについての意識もアメリカと日本とは大きく違っています。日本だと八重歯は可愛いと言われることがあり、歯並びが多少悪くてもそのままにしている人も多いです。しかも、それに対して周りも何も言いません。
しかしアメリカでは、八重歯や歯並びの悪さは家庭環境を疑われたり、収入が低いと考えられたりする事もあるそうです。「歯並びを直すお金ない」や「小さい時に親御さんは歯の矯正してくれなかった」などのよくないうわさ話もされてしまいます。また、面接の際、同じ様な能力・同じ様な見た目の人の場合、歯が綺麗な人を選ぶ、というデータもあるくらいです。
3.オーラルケアの違い
「オーラルケアへの自信」に対しては、アメリカでは「自信あり」と回答したのは約8割と多数にもかかわらず、対して日本では61.8%が「自信なし」と回答しています。
また、日本とアメリカでは、オーラルケアグッズの使用についても大きく異なります。アメリカでは、フロスや洗口剤は当たり前に使用すると考える人が約7割の多数派に対し、日本では約半数です。さらに日本ではブラッシングだけで充分と考える人が半分以上を占めています。アメリカでは、8割以上の人が歯や口のケアを念入りに行いたいと考えているのに対し、日本では、歯や口のケアを手軽に行いたいと考える人が約半数を占めます。
オーラルケアグッズにかける年間平均購入金額でみてみると、アメリカでは8,000円程度に対して、日本は5,000円程度。日本は、欧米諸国と比べ約6割程度でした。オーラルケアグッズへの「こだわり」や「お金をかける意識」では欧米に比べ日本は低い傾向といえます。
4.予防歯科の違い
歯科医での定期健診受診回数については、直近一年間にアメリカでは1回以上受けている人が過半数であるのに対し、日本は受けていない人が6割を占めています。
予防歯科については、アメリカでは約6割に浸透しているのに対し、日本では20割程度です。予防歯科の実践についても、アメリカでは、約7割が取り組んでいるのに対し、日本は30%と大きく差があります。
「歯医者は痛くなってから行く」というような、従来の歯科治療の結果、後期高齢者の約90%が入れ歯です。
厚生労働省は2015年1月7日付で、「虫歯・歯周病にかかっていない健康な人の予防メンテナンスは保険診療の適応外である」ことを公式に明らかにしました。インフルエンザ予防接種もそうですが、もともと、健康な人の予防は保険適応外なのです。
今後ますます急速に進む人工減少・少子高齢化により、医療費を含む社会保障費の削減は、この国の将来に向けた急務です。私たち一人ひとりが予防に取り組み、ずっと健康で過ごすことが、次の世代の負担を軽減し、地域の明日の活力につながります。
患者さん皆さまのお口の健康がいつまでも続くよう最大限のお手伝いをさせていただきますので
どうぞよろしくお願いいたします。