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夏休みの自由研究①
〜たまごで実験:フッ素の効果について〜
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は夏休みの自由研究①についてお話しします。
<実験の進め方>
①卵の真ん中に線を引き、片方に×、もう片方に⚪︎を書きます。
②丸を書いた方にフッ素を塗ります。
③ぬらしたキッチンペーパなどでくるみ約半日ほどおきます。
④フッ素を拭き取り、薄めたお酢にたまごをひたします。
⑤時間をおいて卵の表面を観察します。
はたしてどうなるでしょうか?想像してみましょう!
【目次】
1.フッ素の効果について
2.なんでたまご?
3.なんでお酢?
4.まとめ
1.フッ素の効果について
フッ素はなぜ虫歯を予防できるのか?
歯の表面では、歯の成分であるミネラルが溶け出す脱灰と、ミネラルが歯の中に戻って結晶化する再石灰化が繰り返し起こっています。この脱灰→再石灰化のバランスが崩れて、ミネラルが溶け出す脱灰の方が大きくなると虫歯ができます。このバランス、つまり虫歯になりやすいかどうかは、
- 口の中の細菌の種類や量
- 唾液の性質や量
- 飲食の頻度や種類
- フッ素の利用の仕方やブラッシング方法 などが関わっています。
これらの特徴は個人差が多いため、検査を行い特徴を把握することで、自分の虫歯のなりやすさ、虫歯の治りやすさが推測でき、効果的な予防の対策が取れます。
フッ素が、ミネラルが溶け出す脱灰を抑え、ミネラルが歯の中に戻る再石灰化を助けて、虫歯の発生や進行を防ぎます。また、歯質の強化や口の中の細菌の発育を抑える効果も期待できます。
フッ素は、3つの働きで、ムシ歯の発生と進行を防ぎます。
①エナメル質の修復を促進
酸により歯から溶け出したカルシウムやリンを補うこと(再石灰化)を促進します。
②歯の質を強化
歯の表面を覆うエナメル質を、酸に溶けにくい性質に変え、ムシ歯への抵抗力を高めます。
③菌の働きを弱める
ムシ歯を引き起こす細菌の働きを弱め、酸がつくられるのを抑えます。
また、脱灰を抑え再石灰化を促進するために、毎日のケアが重要です。
口内が常に中性であれば、歯の脱灰は起こりませんが、脱灰と再石灰化は1日の中でもめまぐるしく起こっています。初期むし歯ができてしまっても、フッ素の活用やその他のケアにより再石灰化しやすい状態をつくり出せれば、修復は可能です。初期むし歯が修復されるまでには、半年~1年程度かかるといわれています。その意味では、歯科の定期健診が半年に1回以上と推奨されるのは理にかなっているといえるでしょう。また、初期むし歯は自分では見つけにくく、歯科専門家による定期的なチェックが必要です。
2.なんでたまご?
タマゴのからと歯の成分は同じカルシウムやリンなどのミネラルでできています。
この実験では、タマゴを歯に見立ててフッ素のはたらきを観察します。たまごの表面にフッ素を塗り効果を比較します。
3.なんでお酢?
お酢は、食事をしたお口の中の酸性化の状態を再現しています。
ダラダラと食事をしたり間食をしたりすると、虫歯のリスクが上がります。これは、食物(特に糖分を含むもの)を食べることで、口腔環境が酸性へと傾くからです。これは一般にも広く知られていますが、実験によって明らかになったのは今から80年ほど前のことです。
ロバート・ステファンは1943年に、グルコース(ブドウ糖)溶液で洗口すると、歯冠部プラークのpHは、経時的にどのような変化を見せるのかを調べた研究を発表しました。その結果、pH5.5を境として、それよりphが小さいと歯はミネラル分を失う脱灰状態になることがが示されました。ph5.5を境(臨界pH)として歯が脱灰と再石灰化を行うことを示したグラフを「ステファン・カーブ」と呼びます。
糖質が含まれる食事をとると、歯の表面に付着しているプラークはすぐに酸性へと傾きます。虫歯菌は糖を分解する過程で、乳酸など酸性の物質をどんどん産生していくため、歯質が脱灰され、虫歯の発症へとつながります。
4.まとめ
<フッ素の働き>
①歯を強くする。
フッ素が取り込まれ、虫歯に強い溶けにくい歯を作ります。
②再石灰化を促進する。
自然治癒が可能な初期の虫歯では、治癒を助けることができます。
③虫歯原因菌を抑制する。
フッ素が歯垢(プラーク)に入り、歯を溶かす酸が作られるのを抑えます。
<フッ素の使用法>
歯科医院で行う場合、家庭用のフッ素より高濃度のものを使用します。歯の生え始めに行うのが効果的です。1年に2~4回の塗布を継続することで20~40%程度の虫歯の予防効果があると言われています。当院では3ヶ月ごとの定期検診をお勧めしています。
当院は夏休みの自由研究の子どもたちの協力•応援を行なっています!なにか質問や、見学などご希望あればいつでもお申し出ください!