国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

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動水力学説とは

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は動水力学説についてお話しします。聞いた事がない言葉だとは思いますが、歯の痛みのメカニズムの一つになります。

歯が痛むメカニズムについて

まず歯が痛みを感じるメカニズムについてお話しします。

国立 歯医者 歯牙

歯は硬いエナメル質に囲まれて、その内側は象牙質、更にその内側には神経や血管が混ざった歯髄で構成されています。また、歯を支えている骨と歯の間には歯根膜といわれる繊維があり、歯が直接骨とくっついているのではなく、この歯根膜という繊維を介して歯の根が骨と付いています。

エナメル質は、人体で一番硬い組織です。このエナメル質には、神経はありません。そのため歯で熱い物や冷たい物の食事が出来ます。しかしエナメル質以外の象牙質、歯髄、歯根膜、歯茎全て神経の末端があります。ここに細菌が感染したり傷ついたりする(侵害刺激)と、神経の末端は脳に、『痛み』として伝わります。その神経の末端のことを自由神経終末といいます。この自由神経終末を、痛みを受ける受容器:侵害受容器といいます。

国立 歯医者 侵害受容器

痛み刺激は自由神経終末から脊椎に伝わり、最後は脳の大脳辺縁系で感知され、脳で初めて 「痛い!」と感じます。痛みを伝える神経自由神経終末には、2種類の神経線維があります。

①Aδ繊維
鋭く早い痛みを伝えています。この痛みは一過性で、ズキンとくる痛みの種類です。
食事の際でも繰り返し噛むと、ズキンズキンと連続した痛みになります。

②C繊維
鈍く遅い痛みを伝えています。じわじわと痛む種類の痛みです。よく歯の痛みで、『ズキン』ときて、あとから『じわーっ』とくる痛みを感じたご経験がある方もいらっしゃると思いますが、それは一番最初Aδ繊維により脳へ痛みが伝わり、その後遅れてC繊維によりじわじわといった違う痛みの種類が脳へと伝わっているというメカニズムです。


<象牙質>
象牙質には、Aδ繊維が多くあり鋭い痛みとして脳に伝わっています。

<歯髄>
歯髄にはC繊維が多くあり、じわじわとした痛みとして脳に伝わっています。歯髄は硬い歯の中にあるためとても閉鎖的であり、この歯髄のC繊維は極めて敏感である特徴があります。

<歯根膜>
歯根膜にはAδ繊維C繊維の両方が介在して早い痛みと遅い痛みを複雑に伝えて、また両方が誘発しあい、患者様にはとても辛い痛みとなっています。歯根膜の痛みは歯を噛み合わせたり、叩いたりすると感じる鋭いAδ繊維の痛みと、ここの歯根膜に病気が伝わるとじわじわと感じるC繊維の痛みがあります。

私たちは痛みのメカニズムを考えながら、どの歯が痛みの原因なのかをレントゲン写真や、お口の中を拝見して様々な病気の様子から原因を突き止めています。歯の痛みのメカニズムと照らし合わせながら、その痛みの原因は歯であるのかそれとも歯ではないのかなど、全身の状態も考えながら診察していきます。

象牙質の痛み

象牙質は硬組織にもかかわらず,象牙細管という中空構造があり,そこから歯髄の神経が刺激され痛みが生じます。 象牙質の痛みは,外からの刺激によって生じる2-3秒以内の鋭い深い痛みです。外からの刺激とは,食事や飲料などによる熱刺激や,甘い,酸っぱいといった化学的刺激,あるいは物理的な圧迫による機械的刺激があります。熱いおでんを食べた後に冷たいビールを飲むといった急激な温度変化では,正常な歯ですら痛みを生じることがあります。

象牙質の痛みを感じるメカニズムの仮説は、


①神経分布説
②動水力学説
③受容器説   の三つがありますが、この中でも最も有力なのが動水力学説です。

象牙質の中層から外層に神経線維が確認できない、発痛物質を象牙質に直接置いても痛みを生じない、という現象から象牙質内に神経分布があるという説は否定的な意見が多いです。では、何故象牙質が痛みを感じるのか?

国立 歯医者 動水力学説

象牙質には象牙細管という細い管がたくさんあり、その象牙細管内の組織液の流れが外からの刺激により変化し、それにより歯髄にある知覚神経が興奮、疼痛が発現するとする説です。虫歯や知覚過敏により象牙質が発痛する理由、甘味痛がおこる理由、冷水などの低度の刺激でも針で刺したような鋭い痛みが生じる理由などをすべて説明できる仮説ではあるが不明な部分もまだ多い説です。

象牙質知覚過敏における治療法の考え方

<治療の目的>→原因療法と対処療法
•開口象牙細管の閉塞
•象牙質浸透性(象牙細管内液量)の低下
•歯髄神経興奮性の抑制

<治療の方法>→実質欠損を伴うかどうか?
•非侵襲的治療:さまざまな薬剤の利用
•侵襲的治療:歯周外科(根面被覆)、さまざまな材料による物理的バリアーの形成

<治療の術式>→オフィスかホームか

※作用機序※

国立 歯医者 知覚過敏

①象牙細管の封鎖タイプ
ex)MSコート、ディセンシタイザー、スーパーシール
•シュウ酸系
•グラタルアルデヒド系
•アパタイト系

国立 歯医者 知覚過敏

②象牙質表面の被覆タイプ
ex)シールドフォース
•レジン系

治療方法

①原因の診断、除去
原因を除去しなければ、どんな歯磨き粉や知覚過敏抑制剤を使っても、改善しないか、すぐにまた再発してしまいます。知覚過敏においては、原因の除去だけで症状が改善する事も多いです。個人でのセルフケアがもっとも重要ですが、噛み合わせや不良修復物、虫歯等の原因を除去していきます。


②知覚過敏抑制材の塗布
低侵襲で簡単なため、知覚過敏症の第一選択として用いられます。しかし、知覚過敏抑制材には多くの種類があり、その作用機序もそれぞれ異なります。

③充填や被覆
薬剤のみで改善が見られない場合、侵襲的な治療が必要になります。レジン充填を行う場合、ラバーダムが必要になりますが、歯茎部楔状欠損の場合ラバーダムが困難な場合もあります。
また、重度の知覚過敏の場合止むを得ず神経を取る可能性もあります。


今回は象牙質の痛みについてお話ししました。当院は可能な限り自分の歯、神経を保存する治療を行なっています。手遅れになる前に早めの受診をお勧めします。