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根管治療について④

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「根管治療」についてお話しします。その中でも保険診療と自費診療の違いについて細かく説明していきます。(過去の投稿はこちらです→

①ファイルの違い

根管治療を行う際に使用するファイルの違いです。保険診療の場合、ステンレススチール製のファイルを使用し自費診療の場合ニッケルチタン製ファイルを使用します。

<ステンレススチール製ファイル:SSファイル>
一般的な手用ファイルの素材はステンレススチールです。後述のニッケルチタンと比べると硬く弾性は低いです。あまり曲がらないので、太くなればなるほどしなやかさが無くなり湾曲根管の追従が難しくなります。そのため根管がどんどん真っ直ぐに形成されてストレート化してしまい、結果、歯質を削る量が多くなるので破折につながったり、根管に穴を空けてしまったり(ストリップパーフォレーション)することもあります。

<ニッケルチタン製ファイル:Ni-Tiファイル>
従来のSSファイルに比べ、柔らかいので湾曲してても根管のすみずみまで形成が可能です。また、テーパー(太くなる割合)、従来の拡大より根管の形態に合った拡大が可能です。またロータリーエンジンで回転切削を行うため、作業効率がかなり良くなります。

国立 歯医者 根管治療

硬いSSファイルで無理に拡大を進めると、間違った方向に進んでパーフォレーションしたり、器具や歯根の破折につながります。

*テーパーの違いがもたらす影響*
テーパーとは、1mmごとの器具の大きくなる割合のことを言います。

国立 歯医者 テーパー

一番左の、.02テーパーのものであれば、
基準点:40 距離:6mm テーパー:.02なので
40+6×2=52になります。

.04の場合:40+6×4=64
.06の場合:40+6×6=76
になります。

SSファイルのテーパーは.02、Ni-Tiファイルは.06や可変テーパー(テーパーの割合が均一ではないもの)のものもあります。

国立 歯医者 根管治療

<手用SSファイル>

テーパーが小さいと直線的な拡大になってしまい、根管内壁を大きく削ってしまいます。また、SSファイルは硬いため、しならず、湾曲が強くなればなるほど根管内の触れないところが増えてきてしまいます。

国立 歯医者 根管治療

<ニッケルチタンファイル>

テーパーが大きいので、根管形態に合うように先端は細く上部は太く拡大が可能です。また湾曲根管の追従も可能で、内壁の余分な切削も減ります。

国立 歯医者 根管治療

<SSファイル vs Ni-Tiファイル>

SSファイルの方が健康な根管内壁の削除量が増えてしまいます。また根尖部の削除量も多く、根尖孔付近の破壊が起こりやすくなってしまいます。

根管治療に関するセミナーをいくつか受講しましたが、福岡の歯内療法専門医•松浦先生の年間セミナーに参加したことで根管治療への考え方が整理できました。そこで得た知識術式が基本となっています。当院では現在自費診療の精密根管治療にはHyflex EDMを利用しています。

国立 歯医者 根管治療
  1. コロナルフレア形成
  2. 穿通の確認、作業長(WL)の決定
  3. 根尖部の拡大
  4. 中間〜上部の拡大
  5. Patency file
  6. ポイント試適、根管充填

②薬剤の違い

根管形成が終了したあと、根管充填に用いる薬剤も異なります。根管充填に使う薬剤にはシーラーとガッタパーチャーポイントがあります。

<シーラー>
ガッタパーチャと根管との密着性を補助するためのノリのようなものを言います。ガッタパーチャポイントによる根管充填を行う際に、根管壁とガッタパーチャポイントとの空隙を塞ぐことで、補助的に封鎖性を向上させるための根管用セメントのことです。

*シーラーの違い*
一般的なシーラーは酸化亜鉛ユージノール系が一般的にになります。特徴としては、

国立 歯医者 根管治療
  • ユージノールによる抗菌作用と鎮痛効果がある
  • 細胞毒性があり,溢出時に接する組織に炎症が生じるとの報告もある
  • ユージノールによって続くコア築造作業のレジン重合阻害が生じてしまう
  • 水溶性
  • 硬化後収縮する

長い歴史のあるものの、重合収縮やレジンとの接着の問題もあり、非ユージノール系シーラーも多くでています。

自費診療で用いるシーラーは、バイオセラミックシーラーといい、MTAセメントのようなシーラーになります。特徴としては、

国立 歯医者 根管治療
  • pH12以上の強アルカリ性のため抗菌作用がつよい
  • 細胞毒性が低く、生体親和性が高いので根尖から出ても、術後疼痛が少ない
  • 粒子が小さく、流れが良いので根管内に充填しやすい
  • HA(ハイドロキシアパタイト)との結合能がある
  • 硬化時に水分があった方が良く、結合強度が高い
  • 硬化膨張するため隙間ができにくい

アメリカや歯内療法専門医の中ではこのBCシーラーが第一選択となってきています。しかし日本ではまだ認可が下りていないため自費診療になってしまいます。


<ガッターパーチャーポイント>
根管充填用に細く、ポイント状に成形されたガッタパーチャ材料のことで、メインポイントやアクセサリーポイントとして用いられます。材料は、約65%の酸化亜鉛を主成分として、約20%のガッタパーチャ、約10%の造影剤、約5%の可塑材料で構成されています。根管充填時に用いるガッタパーチャ材料は、根管内の大部分を占める材料であり、さまざまなサイズやテーパーのガッタパーチャポイントが市販されています。

<側方加圧充填>

保険診療の場合、根尖部の号数と同じ大きさのマスターポイントとアクセサリーポイントを詰めていく側方加圧充填がメインになります。作業工程が多くあるため、スキルによる差が出やすく、棒状のポイントで充填していくので隙間が生じやすいのが欠点です。

国立 歯医者 根管治療

<BCシーラー+シングルポイント充填>

BCシーラーを用いて拡大した形と同一形状のポイント一本で充填する方法。緊密な充填が可能であり、BCシーラーを用いることで周囲の隙間もしっかり封鎖することが可能です。

国立 歯医者 根管治療
国立 歯医者 根管治療
国立 歯医者 根管治療

根管治療、特にinitial treatment(初回の治療)はとても重要になります。ラバーダムを装着しいかに感染対策ができるか、適切な根管拡大・形成ができるかで予後が大きく変わってきます。当院では精密根管治療を行っています、安心してご通院ください。明日は、外科的歯内療法についてお話しします。