国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

ブログ

顎関節・咬合について①

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日から「顎関節・咬合」について数日にかけてお話ししていきます。


【目次】
1.咬合学術的用語
2.咬合形態
3.咬合様式
4.咬合の不調和

国立 歯医者 咬合

1.咬合学術的用語

CP(centric position):中心位
CR(centric relation):中心関係
CO(centric occlusion):中心関係咬合
MICP(maximum intercuspal position):最大咬頭嵌合位
MICRO(maximum inter cuspal centric related occlusion):中心関係最大咬頭嵌合位
HCP(habitual closing position):習慣性閉口位
SP(swallow position):嚥下位
SBP(stable bracing position):安定爽快位

CP(centric position):中心位

下顎関節頭(動的)の側頭骨関節窩(静的)との蝶番軸運動関係をいい、顎関節の蝶番軸運動の始発位であり終末位を意味している。臨床上は、下顎体の緊張のない繰り返し蝶番軸運動の中心点を左右の耳珠前方の皮膚上に印記する二極点である。

CO(centric occlusion):中心関係咬合

下顎骨体と歯牙(動的)の上顎骨体と歯牙(静的)に対する関係をいい、下顎体の緊張のない繰り返し蝶番軸運動状態化における下顎歯列弓の上顎歯列弓に対する位置関係を意味し、咬合(歯牙接触)を意味していない。臨床上は、下顎体の緊張のない繰り返し蝶番軸運動下における、下顎歯列弓の上顎歯列弓に対する位置関係を、咬合採得材を介在することによって得られる。

③CR(centric relation):中心関係

より正確にはC.R.O(centric related occlusionまたは,centric relation occlusion)という。下顎歯牙(動的)の上顎歯牙(静的)に対する関係をいい、下顎体の緊張のない繰り返し蝶番軸運動状態下にける下顎歯列弓の上顎歯列弓に対する接触関係を意味している。

2.咬合形態

①個性咬合 ②正常咬合 ③理想咬合に分類できます。

①個性咬合

個性咬合とは、個々の人が必然的にもつ咬合で、病理学上のいかなる局所的な異常状態があっても、肉体を通しての五感には、それぞれが持つ許容範囲に差があるため、人は違和感を感じることはなく、生活に支障はないとされている咬合のこと。

②正常咬合

正常咬合とは、いかなる局所的な病理学上の異常がない咬合。形態的な叢生などの配列異常や歯列弓の変位湾曲は関係なく、咀嚼器官が有効に活動し機能上の問題がない人であれば、生物学上においては問題はないとされる咬合。不正歯列弓を咬合改善すべきであるという確固たる理由は存在しない。

  • 前方運動時において臼歯の干渉がない
  • 側方運動時において臼歯は離開する
  • 作業時に、平衡側は離開する
  • 閉口時においてCRとICPはほぼ一致する
  • 閉口時における左右の臼歯は過不足なく接触する
  • 接触点は機能咬頭(B)は必ず接触する
  • 接触点は複数存在し、A+BもしくはB+C
  • 顎関節、筋肉、咬合高径の調和が取れていなければならない
  • 関節窩において下顎頭は前上方に位置する
  • 咬合高径は閉口時筋肉が最大の力を発揮できる高さである

③理想咬合

理想咬合とは、歯科医師が創造した咬合であって現実の正常咬合を持つ人の中にも遭遇することはない。正常咬合をこの理想咬合に入れる必要はないし、理想咬合でなければ正常咬合ではないという必要もない。

3.咬合様式

・Full Balanced Occlusionフルバランスド·オクルージョン
MICPの状態から作業側方向へスライドさせたとき、反対側の平衡側でも接触しているような咬合関係。

・Group Functioned Occlusionグループファンクションド·オクルージョン 
天然歯列における咬合の第二の形式。作業側はフルバランスと同様な接触をするが、平衡側の上下の歯牙は離開する。

・Mutuary Protected Occlusion ミューチュアリープロテクティッド·オクルージョン
側方運動時には、犬歯のみの接触滑走で他のすべての歯は離開してしまう。前方運動時には切歯のみが接触滑走し、他のすべての歯は離開してしまう。臼歯部接触時には前歯部は離開している。このときの前歯部のクリアランスは12.7㎛(咬合紙が少し抵抗をもって抜けるくらい)

顎関節・歯牙・筋肉の調和がとれた咬合再構成を目指す!

三位一体の調和に関与する神経筋機構に注意点が注がれるのは当然であり、この咬合調整の術式として以下の3つの方法がある。

矯正力による上下顎の歯軸と歯列弓の調和と安定。
②保存、補綴、インプラント修復による咬合の改善。
③選択的削合/築盛による咬合の安定。

4.咬合の不調和

顎咬合系の機能が正常に働くためには、顎関節と咀嚼筋群と咬合の三者の調和が必要である。この三者の機能的調和を乱す咬合状態を咬合の不調和という。咬合の不調和が引き金となって他の二者(顎関節、咀嚼筋群)に関与する仕方には以下の二つのパターンがある。

①種々の原因で早期接触や咬合位に変化が生じると関節窩内の下顎頭の位置がズレ、同時に左右の筋に緊張が高まるような、直接的あるいは機械的に関係する場合。

②早期接触などによって歯根膜の受容器を刺激し、そのインパルスが神経系を介して中枢にいき、中枢からの指令によって筋の緊張を増大させ、下顎の位置を変えるなど間接的に関係する場合。

たった一本の詰め物の高さが合わないだけでも全身に悪影響が出てしまいます。1週間ほどで違和感を感じにくくなってしまいますが、それは適応しているわけではなく体が代償を払い馴染んでいるだけかもしれません。生体には許容量・適応範囲があるためすぐに症状が出るわけではありません。その適応範囲を超えたときに、咬合の不調和として様々な臨床症状,さらには全身的な不定愁訴となり現れるため,原因の特定が非常に困難となっています。

適応(Adaptation)
環境に対応して機能的変化によって生命維持を可能にしようとする生体反応

代償(Compensation)
構造的欠陥に対して、最大の機能を可能にしようとする生体反応


今日は咬合に関してお話ししました。明日以降も咬合についての分類や症状についてお話しします。