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歯科と認知症について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「認知症」との関わりについてお話ししていきます。



1.認知症とは?

認知症とは、病名ではなく、認知機能の低下によって共通の症状のある、症候群(病気のグループの名称)です。認知症の状態を引き起こす原因となる病気は別にあります。では、どのような病気が認知症の原因となるのでしょうか?認知症の原因となる病気は主に以下のようなものがあります。

  • 神経変性疾患:アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など
  • 脳血管疾患:脳梗塞、脳出血など
  • 感染性疾患:脳炎、神経梅毒など
  • 中毒・栄養障害:アルコール依存症、ビタミン欠乏症(B1、B12、葉酸)など
  • その他:脳腫瘍、慢性硬膜下血種、水頭症など

「最近、物忘れがひどくなった……もしかして認知症かな?」と思われる方も多いのではないでしょうか?人は必ず歳をとりますし、物事を思い出すのに時間がかかるようになります。しかし、「加齢による物忘れ」と「認知症による記憶障害」には大きな違いがあります。

2.加齢による物忘れとの違い

国立 歯医者 認知症

加齢による物忘れでは、体験した出来事の一部を忘れてしまいます。「お昼ごはんのおかず」といったように、お昼ごはんを食べたことは覚えていても、何を食べたのかを思い出せない状態です。

<加齢による物忘れのポイント>

  • 物忘れを自覚している
  • 体験した出来事の一部を忘れる(お昼ご飯のおかず)
  • ヒントがあれば思い出せる
  • 日常生活に支障がない
  • 判断力は正常

一方認知症の記憶障害の場合、体験した出来事全体を忘れてしまいます。そのため、お昼ご飯を食べたこと自体を忘れてしまいます。

<認知症の記憶障害のポイント>

  • 物忘れの自覚がない
  • 体験した出来事の全体を忘れる(お昼ご飯を食べたこと)
  • ヒントがあっても思い出せない
  • 日常生活に支障がある
  • 判断力が低下する

「物をよく失くす」
「物忘れがひどく、何度も同じことをたずねる」
「いつもの道で迷う」
「今までできていた家事ができなくなる」
「会話のつじつまが合わない」などの症状が現れ、日常生活に支障があると思うようになったら認知症を疑いましょう。認知症が疑われたら、地域包括支援センターやかかりつけ医に相談しましょう!

3.歯科治療と認知症

認知症の方は、病状の進行に伴い歯科医院への通院が難しくなります。全顎的な治療や侵襲の大きい治療、長い時間かかってしまう歯科診療は受けづらくなってしまいます。もちろん訪問診療も選択肢にありますが、訪問診療の場合には治療に制限があります。歯科医院で行う診療には勝てません。通えるうちに、歯科医院でしっかり必要な治療を行いましょう。

歯科医院に通院するきっかけは、口腔内の違和感や痛みがきっかけとなることが多いです。痛くなる前から予防を兼ねて通院していただきたいですが、まだまだ痛くならないと通わない患者さんが多いです。認知症の方は、このような違和感・痛みを伝えるのが苦手と言われています。痛みを感じにくくなる「感覚異常」の症状と、痛みを言葉などで表現するのが難しくなることが原因と言われています。

また、入れ歯の装着を忘れたり、食事を食べない、介助を拒否するなど日常生活にも支障が出てしまいます。認知症の方に見られるちょっとした変化から、体の不具合、口の不具合を推測する必要があります。

また、認知症の記憶障害から歯みがきをしたかどうかを忘れることや、入れ歯をしまった場所がわからなくなり、入れ歯の紛失が頻繁に起こります。

さらに症状が進行し重症化した場合、”歯ブラシと”いう道具の意味が失われる(意味記
憶の障害)、歯ブラシを何に使うものかの判断できなくなり、自分だけでは歯磨きができなくなってしまいます。

認知症の方に歯科医院では何をすべきでしょうか?
まずは、徹底的な予防処置を行います。口腔内の衛生状態が悪化し、虫歯や歯
周病に罹患しやすく、また進行しやすい状況にあるからです。また、歯科医院を受診す
ることができるうちに、集中的に積極的に治療を行います。通院が可能なうちに早期治療を行い、この先メンテナンスがしやすい環境を早期に作ることが重要です。

通院が困難になってしまった場合には、訪問診療で対応をします。訪問診療でできること
は限られていますが、入れ歯の調整や口腔ケアなど、今の口腔内の状態を保てるように支援します。

4.認知症の予防のために

愛知県の65歳以上の健常者4千人以上を4年間にわたり調べたところ、歯がほとんどないのに入れ歯を使用していない人、あまり噛めない人,またかかりつけ歯科医院のない人では,その後、認知症が発症するリスクが高くなることがわかったというのです。特に、歯がほとんどないのに入れ歯を使用していない人は、20 本以上歯が残っている人に比べ、なんと1.9倍も認知症発症のリスクが高いという結果になりました。

国立 歯医者 認知症

高齢者の方々の口腔ケアをしっかりと管理することは、軽度認知障害から認知症への進行を遅らせ、認知症を予防することになります。日ごろからの歯科治療の中で歯科医師が認知症と疑わしい高齢者を専門医、かかりつけ医などへ連絡し、医療連携して対応していくことも大切です。