国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

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根管治療について③

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。水曜日の今日は、歯内療法に関するお話をさせていただきます。その中でも根管形成に関するお話ししていきます。

まずは前回もお話ししましたが歯内療法では無菌的処置が何より重要です。
細菌の除去を行う上で以下のことが大切です。

  1. 根の中に新たな細菌が入らないようにする(ラバーダムの設置)
  2. 治療中に蓋が取れたりしないようにする(仮封、仮歯の設置)
  3. 機械的な清掃器具は滅菌された新品の器具のみ用いる。
  4. 適切に薬剤を用いて細菌数を減らす。
  5. 治療後、唾液が根の中に侵入しないように即、蓋をする。
  6. 長期的な細菌感染を防ぐためきちんと被せる。Good Endo+Good Restoration

劣化の少ない、隙間のできにくい被せ物をすることが、歯内療法の再感染を予防する最も効果的な方法になります。今日はまず、成功率についてからお話しします。

【目次】
1.歯内療法の成功率について
2.テーパーについて
3.保険治療と自費治療に違いについて

1.成功率について

歯内療法は、根管形成できる余地が高ければ、さらに根尖病変がなければ、根管治療の成功率は高いです。(ただし、全ての根管治療には外科的歯内療法での処置の可能性があります)
Sjogren1990, de Cevigny2008, Torabinejad2009, Gorni2004, Akerblom1988, Gorni2004の論文でも述べられています。


Initial-treatment(初回治療
抜髄:90以上
歯髄壊死:90%

Re-treatment(再根管治療)
一般的なもの:70%
前医がほとんど触ってないもの:90%
穿通できない場合:60%
前医がこれでもかと根管充填してる場合:40%
根尖病変がなく無症状の場合:ほぼ100%

Surgery(外科的歯内療法)
歯根端切除:90%
意図的再植術:90%


初回の治療がいかに重要かということが書かれています。また再根管治療の余地がない場合、外科的な処置で歯牙の保存が可能になります。

2.テーパーについて

テーパーとは、1mmごとの器具の大きくなる割合のことを言います。

国立 歯医者 テーパー

一番左の、.02テーパーのものであれば、
基準点:40 距離:6mm テーパー:.02なので
40+6×2=52になります。

.04の場合:40+6×4=64
.06の場合:40+6×6=76
になります。



手用のステンレススチール製のファイルは.02テーパーです。通常ステップバック法で形成を行い間ます。

国立 歯医者 ステップバック

手用ファイルで.05テーパーをつけながら拡大を行う方法です。ステンレススチール(SS)の物性から湾曲根管では通常#25号までしか拡大できません。SSの柔軟性の無さから、レッジやジップ、パーフォレーションなどのテクニカルエラーが起こりやすいです。

しかし、ニッケルチタンファイル(Ni-Ti)は、柔らかくしなるため湾曲根管の追従が可能です。また、切削能力も高く、瞬時に自動的に連続性のあるテーパー形成が可能です。またテクニカルエラーも起こりにくいです。根管治療の回数もSSに比べはるかに短いです。(Ni-Tiでの精密根管治療は自費診療になります。)各メーカーからそれぞれNi-Tiファイルが開発されていますので、それぞれの特徴を理解し、自分のコンセプトにあったファイルの選択が重要になります。

では、根管形成の流れについてお話しします。
①アクセス窩洞形成
②コロナルフレア形成
③尖通、作業長の確認
④必要に応じてグライドパス
⑤拡大号数を決め、根管形成
になります。

①アクセス窩洞

根管口明示とも言います。注意点は、
(1)歯種によりアクセス窩洞のアウトラインを記憶する。
(2)なるべく辺縁隆線を触らない。
(3)深さの目安、窩底の色の特徴を把握する。
(4)MB2,Radixなどの特殊な形態の出現率も把握する。

②コロナルフレア形成

ストレートラインアクセス形成を行う。
(1)天蓋除去
(2)根管口部1/3の形成
(3)ガイディングパスの作成

ストレートラインアクセスができていないと、この先の拡大操作がやりにくくなります。尖通時のファイルの破折防止、作業長の測定が正しく行うことが可能、上部の規制がなくなるため尖通操作が行いやすくなります。

③尖通、作業長の確認

根管長測定器(Electric Apex Locators)を用いて、Apical Foramenを触知し作業長を決定します。感染根管処置に場合、作業長の設定が慎重になります。

④必要に応じてグライドパス

予備拡大とも呼びます。グライドパスを行うことでファイルの破折率を大きく下げることが可能です。#15がプリベンドせずに作業長まで抵抗なく到達するまで予備拡大を行います。

⑤拡大号数を決めて根管形成

洗浄液の根尖到達性を考慮すると#35.04ち言われています。拡大の大きさで予後に差はありません。内部洗浄をいかに効率よく行うかが重要です。小さな拡大でもテーパーが大きいと十分に洗浄が可能になります。

以上の方法で根管形成を行います。

歯内療法は器具•薬剤の種類が多いため、どの器具•薬剤を用いるかはDr次第になります。しかし、保険の範囲内での治療になると選択肢が限られてきます。保険治療と自費治療のちがいについてこの先お話ししていきます。

保険治療の特徴

•全国どこの医院でも受診可能。
•安価
•保険適応のため費用を抑えることが可能。
•ステンレススチール製ファイルのため時間と回数がかかる。
•湾曲根管の場合、追従が難しくさらに難易度が上がる。
•充填材料も、棒状のものを詰めていくので隙間が生じやすく再感染のリスクがある。

自費診療の特徴

•歯内療法の知識、技術、設備の整った医院でのみ受診可能。
•保険と比べて高価。
•使える薬剤に制限がない。
•ニッケルチタン製ファイルの使用で時間と回数を減らすことが可能。
•湾曲根管でも追従が可能。
•根管充填材も、封鎖製が高く膨張する薬剤を使用することで隙間ができにくい。(BCシーラー)
•拡大した形と一致する材料を密に詰めることが可能。(単一ポイント)

このように保険治療と比べて自費治療のメリットはかなり大きいです。根管治療を行うということは、歯髄腔までアクセスしないといけないため多量の歯の切削は避けて通れません。歯の強度も大きく低下してしまいます。この先同じ歯を何度も治療を繰り返すとその歯はどんどん抜歯に近づいてしまいます。自分の歯を少しでも長く残すための材料選択のターニングポイントです。当院は歯牙保存のために、保険治療の基準ではどうしても抜歯せざるを得なかったり神経を抜く治療(根管治療)に関しては、他院よりもかなり積極的に、自費の材料・方法を用いて保存する治療を行っております。

一度取ってしまった神経や抜いてしまった歯、割れてしまった歯はもう二度と元に戻すことはできません。そうならないために、全力で歯牙の保存と向き合いたいと思います。他院では保存が難しいと言われた患者さんでも諦めずに一度ご相談ください。