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歯周組織について②

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。火曜日は歯周病に関するお話をさせていただく日になります。先週の歯周組織の続きをお話しします。

国立 歯医者 歯周組織

前回、歯肉についてお話しさせていただいたので、今日はセメント質と歯根膜、歯槽骨についてお話しします。

【目次】
1.セメント質
2.歯根膜
3.歯槽骨
4.リスクファクター

1.セメント質について

 歯根の表面を覆っている非常に薄く象牙質よりさらに軟らかい組織です。
歯周病などで歯肉が下がってしまいセメント質が露出してしまうと、非常に虫歯になりやすいので注意が必要です。また、歯根膜を繋ぎとめる役割を担っています。象牙質歯根部の表面を覆う比較的薄い歯周組織で、歯を顎の骨に固定する役割を持ちます。その厚さは歯根の部位によって多少異なり、歯根先端に向かうとともに厚くなっています。
 また歯根が分岐している場合は、分岐角内でもセメント質がよく発達しています。セメント質は年齢を増すとともにその厚さを増し、また歯根に慢性の刺激が加わるような状態でも新生を続けます。成分は無機質(ほとんどがハイドロキシアパタイト)が65%、有機質(大部分がコラーゲン線維)と水分が35%となっています。モース硬度は4~5です。

①無細胞無線維セメント質
セメント芽細胞の産物ではあるが、細胞も外部線維m内部線維も含まれていません。エナメル質表面を覆う歯冠セメント質などに見られます。

②無細胞非固有線維性セメント質
歯頸側1/3~1/2に見られ、歯周病で失う付着の多くはこのセメント質によるものです。

③細胞固有性セメント質
細胞を含むが、シャーピー線維を含まないセメント質で、歯根の生理的•病的吸収窩を埋めるときに認められます。

④細胞混合線維セメント質
根尖側2/3~1/2にみられ、セメント細胞を埋入しています。外部線維(シャーピー線維)も内部線維も認められます。生涯添加されるセメント質のほとんどがこのセメント質です。

歯周組織再生誘導療法(GTR法)による再生療法では有細胞セメント質が、EMDを用いた再生療法では無細胞セメント質が形成されます。

2.歯根膜

歯根膜(PDL)は、歯根表面と歯槽骨表面の間の空間を占めています。PDLは結合組織線維、細胞、血管、神経、細胞間質で構成されています。1㎟のセメント質に平均28000本の線維束が入り込んでいます。歯根膜組織は血管に富んでおり、神経は少ないです。

3.歯槽骨

<健康な状態の歯槽骨>
歯槽骨縁が平坦で、骨吸収による凹凸がないです。骨頂はセメントエナメルジャンクション(CEJ)とほぼ平行に連続的に位置しています。歯間部の骨頂は周囲より1つのピークをもって高くなり、そこからなだらかに頬舌側へ下がっています。

歯槽突起
緻密骨は歯槽突起の外側を覆い、その一部をなしています。歯槽の入り口である歯槽頂では、篩板すなわち固有歯槽骨につながり、歯槽壁を形造りその厚さは約0.1~0.4mmです。辺縁歯肉と歯槽頂との間は、2~3mmで生物学的幅径と呼ばれています。

歯を支える歯槽突起は①歯槽骨と②海綿骨、③緻密骨からできています。

4.歯周組織の血液供給

すべての歯周組織、とくに歯根膜は健康な状態において豊富な血液供給があります。これは細胞と線維が豊富な組織で代謝が高いからという理由だけではなく、歯周組織の特異的な機械的•機能的要求によるものです。咬合力に対する抵抗力は、歯根膜や歯槽突起に生ずるのみでなく組織液自体と組織液が歯根膜空隙内へ移動すること(水分の分配や減圧)によっても生じます。血管は豊富に吻合しており、歯根膜内は血管網が特に密です。接合上皮に隣接する部位ではこれらの血管は極めて密な血管系•毛細血管網を形成しています。この血管網は感染に対する宿主の防御にとても重要です。

上顎では、前後歯槽動脈•眼窩下動脈•口蓋動脈
下顎では、下顎動脈•舌下動脈•オトガイ動脈•頬動脈•唇動脈

が歯槽突起と歯根膜に重要な動脈です。

4.リスクファクター

①角化歯肉
角化歯肉の幅は人種差や個人差、歯の部位によりさまざまで、幅が広い方が歯肉の厚みも厚い傾向にあります。

②付着
<付着歯肉とその裏打ちになる付着>

国立 歯医者 付着歯肉


付着歯肉は、
歯に対して上皮性付着や結合組織性付着を介して
骨に対しては骨膜への結合組織性付着を介して付着している角化歯肉の一部のことです。

Nevinsは付着していない遊離歯肉をや付着の変化しやすい上皮性付着に裏打ちされた歯肉を「非付着性付着歯肉」とよび、根面や骨膜への結合組織付着に裏打ちされた歯肉である「付着性付着歯肉」と区別しており、十分な幅の付着歯肉を考えるときはこの付着性付着歯肉に確保が重要であると述べています。
 角化歯肉とは、歯肉縁から歯肉歯槽粘膜境までの歯肉のことです。この角化歯肉から遊離歯肉の部分を引いた分が付着歯肉になります。根面と骨膜への結合組織性付着を獲得するためには最低4mmの角化歯肉の幅が必要です。

③生物学的幅径
 結合組織性付着は健康な歯肉はもちろん、歯周病に罹患した歯牙のポケット体でも常に約1mmの付着の幅を確保しています。そして結合組織性付着の歯冠側には最低1mmの上皮性付着が存在します。この計2mmを組織学的に生物学的幅径(Biologic width)と呼びます。修復物のマージンがこれを侵してはいけません。

 Nevinsらは歯肉の健康を考えるとき歯肉溝の幅を無視できないということから健康歯肉溝(Sulcus)1mmも加え、合計約3mmを生物学的幅径と定義しました。
 
 歯槽骨の骨頂から歯冠側に向かって根面上を見ていくと、結合組織性付着、上皮性付着、歯肉溝の順番んに並んでいます。健康な歯周組織の場合これらの幅はほぼ一定になっています。それぞれ1mm合計3mmという幅が決まっており、これを生物学的幅径と呼び、付着を考える時の基準としています。

付着において、付着歯肉の幅と同様にその厚みの評価も重要です。有名なのが”Maynardの分類”です。

歯肉と歯槽骨の厚みの状態によって、歯肉退縮のリスクを示す分類のことです。
Type1〜Type4の4つに分類され、Type1がもっとも低いリスク、Type4がもっとも高いリスクとされています。。

Type1:歯槽骨が厚く、付着歯肉も十分にある (リスク低)
Type2:歯槽骨は厚いが、付着歯肉は少ない (リスク中)
Type3:歯槽骨は薄いが、付着歯肉は十分にある (リスク中)
Type4:歯槽骨が薄く、付着歯肉も少ない (リスク高)

この分類は絶対的な数値の比較ではないが、歯周外科処置の必要性を決定する指標となります。
遊離歯肉移植術(FGG:Free Gingival Graft)や結合組織移植術(CTG:Conective Tissue Graft)を行うことで、Type4にあたる部位をType3に変化させ、安定した歯周組織の環境を得られます。

修復物と歯肉を理想的な形態に作り上げるには、健康な歯肉が必要です。歯周病はすべての治療の根本(土台)になります。大黒柱のようなものです。健康な歯周組織を獲得するためには徹底した歯周治療が必要になります。まずは、今のご自身の歯周組織の状態を理解することが重要です。歯周検査•歯周治療は保険範囲内でも進めることが可能です。まずはお口の中の相談や定期検診からでもどうぞ!スタッフ一同お待ちしております。