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MTAについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。水曜日の今日は、歯内療法の分野で、MTAに関するお話をさせていただきます。

【目次】
1.MTAセメントとは
2.MTAセメントの特徴
3.メリット
4.デメリット
5.MTAシーラー

1.MTAセメントとは


神経や歯牙を残すための方法の一つとしてMTAセメントというものがあります。Mineral Trioxide Aggregateと言い、ロマリンダ大学のトラビネジャド教授が開発されたセメントです。歯科用の水硬性セメント。ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、酸化ビスマス、石膏などが主な成分です。MTAセメントは強アルカリ性(PH12)で、強い殺菌作用をもち、口腔内のように水分の多い状態でも硬化する性質を持っています。

 先週お話ししましたが、保険診療の範囲内だと歯の中の歯髄(神経)にまで達した深い虫歯の場合は神経を取る治療を行わないといけなくなります。しかし歯の神経を取ると、①歯がもろくなる、②痛みなどの感覚がなくなるため虫歯の再発に気づきにくい、③大きく削るため歯の強度が弱くなる、などの理由により、歯の寿命が短くなる可能性が高くなります。

MTAセメントを使用した治療は、根管治療を回避し、できるだけご自身の歯を長持ちさせる方法として最近注目されている治療方法です。具体的には露出した神経や血管をMTAセメントで覆うことによって歯の神経を残します。

ほかには、パーフォレーションといい、穴が空いてしまったところの封鎖もこのMTAセメントを使うことで可能になります。他には根尖が大きく開いてしまっている充填の際などに有効です。このように歯の外側と内側が交通してしまった部位の封鎖に適しています。

2.MTAセメントの特徴

他のセメントと比較すると、
1.封鎖性が優れる。
MTAセメントは硬化するときに膨張します。そのため、より緊密に患部を封鎖することが可能になります。

2.殺菌性が優れる。
MTAセメントは強アルカリ性(PH12)で、強い殺菌作用をもっています。通常ほとんどの細菌は、PH9.5で破壊されます。

3.生体親和性に優れる
MTAセメントは体の中に入れても悪い影響の少ない、体にやさしい素材です。

さらに、他のセメントとは異なり固まるために水分が必要で口腔内のように水分の多い状態でも硬化する性質を持っています。

3.メリット

①神経を保存できる可能性が増える。
②抜歯適応の歯を保存することができる場合がある。
③組織誘導能がすぐれる。

4.デメリット

・変色する場合がある。
・非常に高価。
・保険適用外。
・かなり硬く固まるので除去が困難になる。
・根管が石灰化するため根管治療に介入の際治療が困難になる。
・操作性が難しい。

このようにデメリットが存在しますが、それを上回るメリットの方が大きいです。

歯牙保存のためには現在必要不可欠なお薬となっていますが、日本ではまだ認可が下りていない薬剤になるため保険外の自費治療になります。

さらに、最近はこのMTAセメントから派生したMTAシーラーが根管治療の成功のために必要不可欠になってきています。

5.MTAシーラー

根管治療の最後のステップ根管充填を行う際、シーラーを用いてガッターパーチャを充填していきます。このシーラに求められる条件には以下のものが挙げられます。

①封鎖性に優れている
②象牙質接着性がある
③抗菌性にすぐれる
④生体親和性が高い
⑤寸法安定性がある

保険で扱うシーラーだとすべての条件を満たすものはありません。Brasseler(USA)によると、MTAシーラーはすべての条件を満たしています。

①封鎖性に優れている→MTAはシーリング能力が高い。
②象牙質接着性がある→MTAは接着し象牙質の裏打ちとなり破折抵抗が上がる。
③抗菌性にすぐれる→強アルカリ性(PH12)
④生体親和性が高い→逸出しても影響がない
⑤寸法安定性がある→MTAは硬化後膨張する。封鎖性の向上。

MTAの登場により根管治療の精度や成功率が上昇しました。しかし、根管の狭窄や石灰化が起こるため選択は慎重になります。再根管治療を行う余地があるかどうか、外科処置によるアプローチが可能がどうかなど、その方の歯の状況や口腔内の状況に合わせて選択していきます。

根管治療は歯牙保存をするための治療方法になります。他院で根管治療が原因で抜歯と言われた方、自分の歯をできるだけ残したい方は一度ご相談ください。大変ですが一緒に頑張って歯牙の保存を行いましょう!