ブログ
オーラルフレイル?
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。
今日はまだ聞きなれない言葉かもしれませんが、オーラルフレイルについてお話しします。
【目次】
1.オーラルフレイルとは?
2.オーラルフレイルの原因は?
3.オーラルフレイルの予防には?
4.健口体操•パタカラ体操
1.オーラルフレイルとは?
オーラル「口腔」+フレイル「虚弱」つまり、「歯や口の働きの衰え」のことで、老化のサインとも言われています。口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つです。これら概念は東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授、飯島勝矢教授らによる大規模健康調査(縦断追跡コホート研究)等の厚生労働科学研究によって示され、この研究をきっかけにさまざまな検討が進められています。
「オーラルフレイル」は、健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つです。予防や改善が可能ということです。つまり早めに気づき適切な対応をすることでより健康に近づきます。この「オーラルフレイル」の始まりは、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細な症状であり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。
歯と口の働きのことを「口腔機能」と呼び以下のものがあります。
①食べる(噛む、すり潰す、飲み込む、味わうなど)
②話す(発音する、会話する、歌う)
③感情表現(笑う、怒る、泣くなど)
④呼吸する
口腔機能が低下すると、栄養状態、筋力低下、社会性の低下など口腔以外の身体や心のフレイルにつながることになる場合があり、介護が必要になる場合もあるのです。
高齢者における口腔機能の低下や口腔内の問題が原因で、日常生活動作に支障をきたす状態を指します。具体的には、食事や会話などの口腔機能が低下し、体重減少や口腔内疾患のリスクが高まるなどの問題が起こります。
2.オーラルフレイルの原因は?
オーラルフレイルの原因は、加齢や疾患による身体機能の低下、口腔内の疾患や口腔衛生の不良、栄養状態の悪化などが挙げられます。また、口腔機能の低下が進むことで、身体の他の部位の機能低下につながる可能性もあります。
- 口腔内の疾患や口腔衛生の不良
口腔内の疾患や口腔衛生の不良が原因で、口腔内の状態が悪化すると、食べ物を咀嚼する力が弱まったり、舌の動きが悪くなったりするなど、口腔機能が低下することがあります。また、口臭や口内炎、歯周病なども口腔機能の低下につながる可能性があります。 - 身体機能の低下
高齢者は、加齢や疾患によって身体機能が低下することがあります。特に、筋力や運動能力が低下すると、嚥下の力が弱まったり、口腔内の筋肉の動きが悪くなったりすることがあります。 - 栄養状態の悪化
食事をする機会が減少したり、嗜好が偏ったりすると、栄養バランスが悪くなるため、体重が減少したり、栄養不足になったりすることがあります。また、食事のとり方が悪いと、消化不良や便秘などの問題も引き起こすことがあります。
3.オーラルフレイルの予防には?
オーラルフレイルの予防には、口腔内の健康管理や適切な栄養管理、適度な運動などが重要です。口腔内の問題を早期に発見し、適切な治療を受けることも大切です。高齢者にとっては、定期的な口腔健康チェックや、専門家による口腔ケアの提供が推奨されます。
- 正しい口腔ケアの習慣の確立
口腔内の疾患や口腔衛生の不良が原因のひとつとなるため、日常的な口腔ケアの習慣を定期的に行いましょう。歯磨きやうがい、定期的な歯科検診、口内の清掃などが重要です。 - 適切な栄養バランスの食事の実践
バランスの良い食事を心がけ、必要な栄養素を摂取することが大切です。特に、たんぱく質やビタミン類、ミネラル類などの栄養素が不足しないように注意しましょう。 - 適度な運動の実践
筋肉や体力を維持するために、適度な運動を行いましょう。歩行やストレッチ、軽い筋トレなどが効果的です。 - 早期の口腔機能の改善 口腔機能の低下が見られた場合には、早期に専門家に相談して、適切な治療を受けましょう。治療には、口腔機能を改善するための訓練や、口腔内の疾患の治療などが含まれます。
東京都歯科衛生士会からも以下ような運動が推奨されています。
また、誤嚥を予防するためのパタカラ体操も有名です。
誤嚥を防ぐための代表的な訓練方法の一つで、口・舌を鍛えることで食べる・飲み込む機能の向上を目的とします。パタカラ体操のやり方や効果的に行うためのポイント、体操を通じて具体的に何を鍛えられるのかについて解説します。
(1)パタカラ体操とは?
介護施設では、誤嚥を防ぐために口・舌の運動としてパタカラ体操やストレッチが行われます。パタカラ体操とは「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を発音することで口・舌の筋肉を使い、食べたり飲み込んだりする機能を鍛える代表的な体操の一つです。
(2)3つのやり方
①単音の発音
「パ」「タ」「カ」「ラ」のように1音ずつ発音する。
②連続の発音
「パパパ……」「タタタ……」「パタカラ、パタカラ……」のように連続して発音する。
③文の発音パ・タ・カ・ラを含む文を発音する。
よく使われているのが「パンダの宝物」という一文で、「パンダのたからもの、パンダのたからもの……」のように発音します。
どのやり方も、口・舌の準備運動として食事の前に各10回程度行います。単音の発音が一番やさしく、連続の発音が一番難しいため、やりやすい方法から取り組んでみてください。はっきり聞こえるように発音することが大切ですが、慣れてきたら早く発音してみるのも効果があります。
ポイント1:発音するときに気をつけるポイントを知る
パ・タ・カ・ラの音には、それぞれの音を発音するのに使う筋肉があります。そしてこれらの筋肉は、食べたり飲み込んだりする機能と密接に関係しています。パ・タ・カ・ラを発音するとき、それぞれ口・舌にどんな力が入るのかを知れば、体操を効果的に行えるようになります。
「パ」は口を閉じる力
食べ物を口からこぼさないよう、唇を閉めるために働く筋肉を使います。唇をしっかり閉じてから発音するようにしましょう。
「タ」は押しつぶす力
食べ物を押しつぶして飲み込むときに働く筋肉を使います。舌を上あごにくっつけて発音しましょう。
「カ」は誤嚥せずに飲み込む力
食べ物を飲み込むときに誤って気管に入らないよう、のどの奥を閉じるために働く筋肉を使います。のどの奥を閉じて発音しましょう。
「ラ」はまとめる(丸める)力
食べ物を飲み込みやすくまとめるときに働く筋肉を使います。舌を丸めて、舌の先を上あごの前歯の裏につけて発音しましょう。
ポイント2:効果に気づく
パタカラ体操を行うと、食べこぼしが減る、食べ物を押しつぶしたり丸めたりしやすくなる、食べ物が気道に入るのを防ぐといった効果が期待できます。具体的には「飲み込みやすくなった」「食べ物が口に残らなくなった」「ムセが減った」などの効果が感じられます。ご本人よりも、そばで見ているご家族の方が変化に気づかれることが多いようです。何か少しでも効果を感じることができれば、体操を続けやすくなると思います。
ポイント3:アプリなどを使って楽しく続ける
パタカラ体操や口・舌の機能のセルフチェックができる無料のスマホアプリがあります。分かりやすい画面を見ながらゲーム感覚で取り組めますので、楽しく続けるアイディアの一つとして参考にしていただけると良いと思います。
オーラルフレイルは改善•予防が可能です!日々の運動やリハビリで、少しでも健康な状態を長く維持できるよう頑張りましょう!