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神経について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は神経についてお話ししていきます。
【目次】
1.神経とは?
2.自律神経とは?
3.脳神経
∟脳
∟12脳神経
4.舌の神経
1.神経とは?
神経とは、体のあちこちに網の目のように張り巡らされ、無数の細胞や組織と連絡を取り合うネットワークのことです。中枢神経と末梢神経に分けられます。
<中枢神経>
脳と脊髄からなっていて、全身に指令を送る神経系統の中心的なはたらきをしています。脳は頭蓋骨によって、脊髄は脊柱によって守られています。脳はさらに、大脳、間脳、中脳、橋、延髄、小脳の分けられます。
<末梢神経>
中枢神経とからだの内外の諸器官に分布する神経とを結び情報の伝達を行っています。末梢神経には、脳から出ている12対の脳神経と、脊髄から出ている1対の脊髄神経に分けられます。
末梢神経は伝える情報により体性神経と自律神経に分けられます。
感覚器や骨格筋などに分布し、随意運動のような動物性機能に関与する体性神経系(知覚神経•運動神経)に対し、不随意筋の運動や腺の分泌など植物性機能にかかわるものを自律神経系(交感神経•副交感神経)といます。
2.自律神経とは?
自律神経系は生理的な恒常性を保っています。内臓や血管、腺などに分布して、無意識的かつ反射的に、循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、代謝のような機能を調節しています。ホルモンによる調節機構である内分泌系も自律神経系によって調節されています。
(1)交感神経系→活動、エネルギー消費が増加している時(興奮時)
(2)副交感神経系→休息、エネルギーを蓄えようとしている時(安静時)
よくアクセル(+)とブレーキ(ー)で例えられますが、交感神経はストレス時に働くと考えればわかりやすいです。
例)ビックリしたとき(ストレスが加わると):瞳孔が開いて、心臓がドキドキして、汗が出てくる。
瞳孔 | 散大 | 縮小 |
心臓 | 拍動促進 | 拍動抑制 |
血圧 | 上昇 | 低下 |
末梢血管 | 収縮 | 拡張 |
気管支 | 拡張 | 収縮 |
気道分泌 | 抑制 | 促進 |
唾液 | 少量•濃い | 多量•薄い |
肝臓 | グリコーゲン分解 | グリコーゲン合成 |
膵臓 | インスリン分泌抑制 | インスリン分泌亢進 |
消化管 | 消化抑制 | 消化亢進 |
発汗 | 促進 | × |
膀胱 | 蓄尿 | 排尿 |
3.脳神経
脳神経は脳から出る末梢神経で12対あります。I~XIIまでの脳神経は脳とつながり、頭蓋底の孔を通っています。脳神経が障害されると、さまざまな症状が起こります。
まず脳についてです。
(1)脳の基本的なつくり
ヒトの脳は約1,200~1,500g(大脳 約800g、小脳 約130g、脳幹〈のうかん〉 約220g)で、体重の約2%(体重60kgの場合、脳は約1.2kg)とされています。脳は、全循環血液量の約15%(約750mL/分)もの血液を必要としています。脳が正常に機能するにはエネルギーとなる糖が必須であり、身体の全カロリーの約20~25%の糖分(約500kcal分のブドウ糖)を必要としています。大脳には多数の脳溝:しわや溝があり、広げると脳の表面積は新聞紙1枚分あります。
(2)脳の内側
脳梁の下には、視床、視床下部などで構成される間脳があります。さらにその尾側には中脳、橋、延髄、脊髄があります。
中脳、橋、延髄を合わせて脳幹と呼びます。
- 大脳:思考や記憶、理性などを司っています。
- 小脳:平衡機能や、姿勢を保つ機能を統合しています。
- 間脳:自律神経や内分泌機能をコントロールし、情動の機能と関係しています。
- 脳幹:中脳は動眼神経の核があり、眼球を動かします。橋は味覚、聴覚や顔面の筋肉を司っています。延髄は呼吸や循環、消化など生命維持を司っています。
(3)脳神経について
脳から出る末梢神経で12対あります。
I 嗅いで
II 視る
III 動く
IV 車の
V 三つの
VI 外
VII 顔
VIII 聴く
IX 咽に
X 迷う
XI 副
XII 舌か
とゴロで暗記していました。懐かしいです(笑)頭蓋外の出口も暗記でした。それぞれの機能と特徴です。
Ⅰ 嗅神経 :篩骨篩板
Ⅱ 視神経 :視神経管
Ⅲ 動眼神経: 上眼窩裂
Ⅳ 滑車神経:上眼窩裂
Ⅴ 三叉神経
Ⅴ1眼神経 :上眼窩裂
Ⅴ2上顎神経:正円孔
Ⅴ3下顎神経:卵円孔
Ⅵ 外転神経 :上眼窩裂
Ⅶ 顔面神経 :内耳孔
Ⅷ 聴神経 :内耳孔
Ⅸ 舌咽神経 :頚静脈孔
Ⅹ 迷走神経 :頚静脈孔
Ⅺ 副神経:頚静脈孔
Ⅻ 舌下神経: 舌下神経管
12脳神経のうち、歯科領域にとって特に重要なのが以下の4つです。
•三叉神経[咀嚼、歯の痛み]
•顔面神経[味覚、唾液の分布]
•舌咽神経[味覚、唾液の分布]
•迷走神経[内臓、のどの運動、味覚、唾液の分布]
•舌下神経[舌の運動]
です。
眼神経(V1)は上眼窩裂を出たのちに、眼窩の背側に分布し、前頭部や瞼、鼻の周囲(鼻翼挙筋を除く)、前頭洞などを支配する。
上顎神経(V2)は正円孔を出たのちに、上顎の全体にわたって分布し、歯茎や上唇、口蓋や下瞼、頬部、篩骨洞、蝶形骨洞や上顎洞などを支配する。
下顎神経(V3)は卵円孔を出たのちに、下あごの全体にわたって分布し、歯茎や下唇、頬部や外耳の一部などを支配する。
体性運動性と知覚性の混合神経であり、脳神経の中で最大の神経である。
耳の前にある耳下腺の間を貫いて表情筋に分布しています。
顔面神経は頭蓋骨の細い管(顔面神経管)の中を走行しており、この管の中で腫脹すると神経が圧迫され、神経伝達の阻害や損傷、細胞死が起こるとされている。ベル麻痺の原因は確定されていないが、臨床上、実験上の証拠から、1型単純ヘルペスウイルス感染の関与が示唆されている。
舌咽神経:舌の後1/3の味覚
迷走神経:嚥下や発声、消化管の蠕動運動
舌下神経:舌の運動
4.舌の神経について
舌の神経は位置により異なり少し複雑です。
味覚、知覚、運動に分けて説明します。
(1)味覚
舌前2/3:顔面神経(Ⅶ)-鼓索神経
舌後1/3:舌咽神経(Ⅸ)
(2)知覚
舌前2/3:三叉神経(Ⅴ)-下顎神経-舌神経
舌後1/3:舌咽神経(Ⅸ)
(3)運動神経:舌筋
舌下神経(Ⅻ)
<舌神経>
三叉神経第三枝である下顎神経の枝。また、顔面神経からの鼓索神経も合流し、舌の前2/3の知覚を司る。
今回は神経の話で少し固い話になってしまいました。明日は骨のお話をしたいと思います。よろしくお願い致します。