国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

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外傷について③

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は昨日に引き続き外傷:脱臼についてお話しします。


脱 臼

1)震 盪
定義:異常な動揺や歯の転位を伴わない、歯の支持組織への外傷。歯根膜断裂はないが、内出血はある
診断:視診およびエックス線診で異常は認められないが、打診に対して反応がある
治療目的:歯周組織の治癒と歯髄生活力の維持
治療:経過観察
経過観察: 1か月後と3ヶ月後に予後を確認する。その後少なくとも1年間は経過を観察する 
予後:
(1) 根未完成歯:根未完成歯での合併症は稀である
(2) 根完成歯 :根尖孔付近で歯の栄養血管が断裂する可能性がある。血流が遮断されると歯髄は 壊死し、歯は変色する。歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行う



2)亜脱臼
定義:歯の転位はないが、明らかな動揺を伴う歯周組織への外傷。歯根膜の一部に断裂がある
診断:エックス線診で異常な所見はないが、動揺は生理的範囲を超える。
治療目的:歯周組織と歯髄血管の断裂を治癒させるため、歯の安静を保つ
治療:経過観察。通常、固定は必要ないが、咀嚼時に疼痛がある場合には 10~14 日間固定する 
経過観察:1か月後に予後を確認する。その後少なくとも1年間は経過を観察する
予 後:根尖孔付近で歯の栄養血管が断裂する可能性がある。断裂した場合、歯髄は壊死し、歯は変 色する。歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行う



3)側方脱臼
定 義:歯の歯軸方向以外への転位
診 断:視診およびエックス線診で正常な位置から転位したように見える 
治療目的:
(1)永久歯:歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をもとの状態に保つために、可能な限り早く歯を正しい位置に戻し、安静を保つ。整復は弱い力でゆっくり行 う
(2)乳 歯:外傷が重度であったり、交換期が近い歯でなければ、元の位置に戻して治癒を期待す る
治療:局所麻酔下にて整復し、10~14 日間固定する
経過観察:1か月後と3ヶ月後に予後を確認する。その後少なくとも1年間は経過を観察する
予 後:受傷時の歯根の形成段階が予後を決定する重要な要素になると考えられる。歯根形成が完成していない歯は歯髄生活力が高い。合併症の頻度は受傷の程度に相関がある。歯髄壊死の徴候が現れたら根管治療を行う



4)陥 入
定義:歯の根尖方向への転位
診断:臨床的には歯が短くなったように見える。あるいは重症の場合には脱落したように見える。エックス線写真では歯は根尖側に転位し、歯根膜腔の連続性がないように見える。

乳歯の場合は後継永久歯歯槽硬線との位置関係の判定が必要不可欠である

治療目的:
(1)永久歯:歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をもとの状態に保つために、歯を正しい位置に戻し、安静を保つ。根未完成歯の場合は自然再萌出を待つ
(2)乳 歯:形成中の後継歯胚を障害している場合、あるいは転位が著しい場合を除いて、自然再 萌出を待つ

治 療:
(1)永久歯:根完成歯では整復後、骨の治癒をはかるため6週間固定する。この場合、歯髄栄養血 管の断裂が生じるので、固定開始から10日以後に予防的根管治療を行う。根未完成 歯では歯髄の治癒力と再萌出を期待し、経過観察する。歯髄壊死の徴候が現れたら根 管治療を行う

(2) 乳 歯:乳歯では歯髄の治癒力と自然再萌出を期待し、経過観察する 経過観察:1,2,3、6,12 か月後に再萌出と合併症の確認を行う

予 後:受傷時の歯根の形成段階が予後を決定する重要な要素になると考えられる。根尖閉鎖した永 久歯の場合、歯髄壊死がほぼ確実に起こり、歯根吸収の頻度も高い



5)挺 出
定 義:歯の切縁方向への転位
診 断:臨床的には歯が伸びたように見え、動揺する。エックス線写真では歯が歯槽から部分的に離 れたように見え、根尖部で歯根膜腔の幅が拡大する

治療目的:
(1)永久歯:歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をもとの状態に保つために、 可能な限り早く歯を正しい位置に整復し、安静を保つ。整復は弱い力でゆっくり行う
(2) 乳 歯:外傷が重度であったり交換期が近い歯でなければ、元の位置に整復して治癒を期待する

治療:整復し、10~14 日間固定する
経過観察:1か月後と3ヶ月後予後を確認する。その後少なくとも1年間は経過を観察する
予後:受傷時の歯根の形成段階が予後を決定する重要な要素になると考えられる。根未完成歯は歯 髄生活力が高い。合併症の頻度は受傷の程度に相関がある



6)完全脱臼(脱落)
定 義:歯槽からの歯の完全な脱離
診 断:臨床的診察およびレントゲン診査において歯が歯槽内に存在しない
治療目的:歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ、審美性と機能をもとの状態に保つために、可能な限り早く歯を正しい位置に戻し、安静を保つ。ただし全身状態不良の場合や、脱落歯をもともと支えていた支持組織に感染がある場合は再植は禁忌である。乳歯が脱落した場合、再植処置によって発育中の後継永久歯が損傷される危険性がある場合は再植しない

治療:整復し、10~14 日間固定する
根完成歯は歯髄の生存が期待できないので、再植後 10 日以後に予防的根管治療を行う
経過観察:1、2、3、6、12 か月後に歯髄と歯根膜の治癒を評価する。その後定期的に3~4年は経過を観察する

予後:受傷時の歯根形成段階、歯根膜の損傷程度、脱落歯が歯槽骨外におかれていた条件と時間、 そして脱落歯の保存用溶液が再植の予後を決定する重要な要素になる。永久歯が完全脱臼し た場合には、予後は歯槽骨外におかれていた条件と時間に直接相関する。もし歯を直ちに再植できないときには、歯根膜線維の生活力の維持に効果がある溶液中に保存するべきである。

脱落歯の保存用溶液には以下のようなものがある
移植臓器輸送用溶液(Viaspan など)
細胞培養用培地(Hank’s Balanced Salt Solution、“歯の保存液”など)
冷たいミルク(ロングライフミルクや低脂肪乳を除く)
生理的食塩水

以下の場合には歯の再植が禁忌になる可能性がある
・免疫不全な状態
・重度の先天性心奇形
・重度のコントロールがされていない痙攣発作
・重度の心身障害
・重度のコントロールされていない糖尿病
・歯槽の状態が健全でない場合


歯が抜けてしまった場合、保存液として一番身近にあるものは牛乳です。状態が良ければ対処が可能な場合もあります。まずは一度ご相談ください。