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根管の石灰化について

 こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は根管の石灰化についてお話しします。


 普段診療している歯根の半数近くは石灰化している可能性があり、石灰化具合もそれぞれ異なります。しかし実際の発現頻度は4~25%程度と言われています。石灰化しているような場合でもファイル操作が簡単にできる場合もあれば、歯髄腔がX-ray写真で見えていてもファイル操作がなかなかできない場合があります。

 根管が石灰化するには、
(1)外傷による石灰変性
(2)加齢的な変化による異栄養性石灰変性
の二つに分けられます。ともに歯髄腔内への硬組織の堆積という点では同じですが、(1)は歯髄腔が閉塞した状態であり、(2)は歯髄結石もしくは象牙粒による石灰化です。

 発生機序については、各種刺激に対する象牙芽細胞の合成と分泌に異常をきたした結果として生じるという考え方や、神経血管系への供給障害による硬組織形成の加速化、などいろいろな仮説があります。

歯髄の主な働きは象牙質を形成することであるが、歯髄内に存在する分泌細胞を刺激する敏感な感覚機能を持ち合わせています。歯根形成までの象牙質を第一象牙質とよび、その後に歯髄腔内壁にゆっくり添加される象牙質を第二象牙質とよび、継続的に形成されます。これに対し各種刺激に対する反応として歯髄腔内壁の一部に添加されたものを第三象牙質と呼びます。これには反応性象牙質と修復象牙質が含まれます。反応性象牙質はすでに分化した象牙芽細胞の生き残りから形成されたものであり、修復象牙質は一次および二次象牙質を形成した象牙芽細胞がある程度の刺激により死滅し、その後新たに分化した象牙芽細胞様細胞によって形成された象牙質を意味します。


<石灰化の起こる要因とは>
1.加齢や摩耗
最初に思い浮かぶ要因は加齢と摩耗です。加齢や摩耗に対する反応として生じる細管内象牙質の沈着は、細管内径をだんだん減少させそれが続く場合細管の形は消失します。Torneckは次のように説明しています。

①始めに管間象牙質から無機成分が細管内に受動的に移動し細管壁に再配置する
②象牙芽細胞突起の一部に活発な反応が生じ、有機質基質が象牙芽細胞の活動により石灰化が起きる
③管間象牙質から無機成分が再配給されそれにより象牙芽細棒が石灰化する有機質基質を産生する

加齢とともに増加する硬化象牙質は根尖部1/3に多く見られ、透過性は減少して歯髄の生命力を伸ばす可能性も考えられます。

2.その他の要因

カリエスや修復材料による場合もあります。特に根未完成歯における歯髄保存療法(直接覆髄、アペキソゲネシスなど)では、治癒後に歯髄腔が狭窄して石灰化を起こすことがあります。
また外傷もよく石灰化を起こします。外傷により一度途絶えた血流が毛細血管の増殖により再度開始され歯髄由来の細胞で組織が修復される時、歯髄腔側壁から中心に向かって骨様象牙質が添加され急速に石灰変性が起こります。これを歯髄腔閉塞(Pulp Canal Obliteration)と呼びます。しかし外傷により全てが石灰化するわけではなく、歯根吸収や歯髄壊死に至ることもあります。さらに歯周治療や矯正治療が石灰化を起こすケースも考えられます。

局所的要因のほか、心疾患や象牙質形成不全症や長期的なステロイドの服用などの全身的疾患の関与も考えられます。


臨床的対処法

実際の臨床で開かない根管をどのようにあけるのか?根管治療の流れは以下の通りです。

①アクセスオープニング
術前のX-ray写真で髄床底までの距離を計測しておき、どの深さまでなら安全なのかを確認する。天蓋の取り残しや歯髄結石はファイル操作の妨げになるため押し込まないよう次亜塩素酸で洗浄しながら取り除く。

②根管口明示
根管口明示にはメチレンブルーを使用して確認します。

③ネゴシエーション
尖通性の高いC+ファイルを用いてWatch-Winding Motionでネゴシエーションを行う。

④根管拡大形成
手用ファイル、Ni-Tiなどを用いて根管拡大形成を行います。

※うまくいないときの対処法
無理やり形成するのではなく、進まなくなったところまでを十分洗浄し、緊密に根管充填を行い、予後の観察を行います。残念ながら治癒傾向を示さなかった場合、外科的歯内療法に移行します。


当院は、Ni-TiやCTを完備しており、さらに外科的歯内療法にも対応しています。根尖病変の有無は抜歯の判定順位は低いです。他院で難しいと言われたケースも一度ご相談ください。