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虫歯について④
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は銀歯の下の虫歯ついてお話ししていきます。
1.銀歯とは?
みなさん、お口の中に銀歯はありますか?
銀歯は年数とともに経年劣化し、歯との間にすき間ができてしまいます。そこに虫歯菌が侵入して虫歯の再発起こります。虫歯が深いと神経まで到達し根管治療が必要なこともあります。また、劣化した銀歯は汚れが付着しやすいので、口腔内の環境を悪化させやすいことも知られています。歯肉の近くに銀歯があると磨き残しの原因にもなります。そのため、虫歯の治療が終わった後も定期的なメンテナンスを受けてチェックしましょう。
銀歯が劣化する年数は、おおよそ5年から7年です。5年ほど経った銀歯は、外すと中に虫歯菌が侵入している可能性の方が高いです。保険適用の銀の被せ物のデメリットは、もともとセメントと自分の歯の間にわずかに隙間が生まれます。お口の中にセットした段階から少しずつ進行してしまいます。唾液によりセメントが劣化し、金属も溶け出してしまうからです。その隙間に、虫歯の原因菌であるミュータンス菌が入り込むと、銀歯の下で虫歯が広がってしまいます。
2.外してみると…
では、実際の口腔内の状況を見ていきましょう。
•右下で硬いものを噛んだり、冷たいものがしみる
•自発痛(何もしていない時の痛み)なし
右下のレントゲンです。白く写っている銀歯の下に黒い線が一層見えます。この部分が銀歯と歯の隙間になります。実際、食べ物が詰まりやすく、フロスも引っかかっていました。
銀歯を除去する前にラバーダムの説明を行い、ラバーダム防湿を行いました。除去する金属片の誤嚥誤飲も予防します。
銀歯を外した状態です。
#46には大きな虫歯は認めませんが隙間から入りこんだ唾液によりセメントが溶けてしまっています。
#45には虫歯が認められます。
虫歯を染め出す検知液を用いて虫歯を慎重に取っていきます。#46近心(手前の歯との間)にも虫歯を認めました。
虫歯を取り切った状態です。
#45の茶色く見えているところは虫歯ではございません。
虫歯の刺激に対しての防御反応で歯が新しく作った象牙質になります。
#45をCRで修復しました。#46は咬合面の範囲が広いためIn修復を行うこととしました。
このように、除去してみると金属の下に虫歯が広がっていることがあります。金属はレントゲン上では真っ白く写り、その下の部分が隠れてしまうため、虫歯が見えにくいことがあります。被せ物などになると、神経の治療をしていることが多く、痛みを感じないため発見が遅れることがあります。セット後5年以上経過するものは一度除去してみた方が安心です。銀歯のリスクについてまとめてみましょう。
<銀歯のリスク>
①銀歯は汚れがつきやすい
銀歯の表面はとても傷がつきやすく、無数の小さな傷がたくさんついてしまい、この傷の中に細菌が付着してしまいます。歯ブラシで少々磨いたくらいでは落とすことが難しくなります。また、銀歯は帯電しているのでプラークがつきやすい状態です。
②酸化・腐食する
歯はプラークが付着しやすいことから、酸化・腐食しやすい素材です。お口の中は食事によって高温、低温にもなりますし、酸性の食べ物も入ってくる過酷な場所です。定期的なメンテナンスを行うと同時に、お家でのフロスの使用により早期発見に繋げましょう。
③金属アレルギーの原因になる
溶け出した金属が体内に蓄積すると金属アレルギーを発症することがあります。保険治療は国民皆様の税金により保障されている治療になりますので、材質は安い金属になってしまいます。保険用金属はほとんどの方でアレルギー反応が出てしまいます。ヨーロッパやアメリカなどでは妊婦さんや小児への使用が禁止されています。
④再治療が必要になる
5年以上使用していると、金属の劣化を起こし再治療が必要になります。ポロっととれたり、フロス中に取れたり、虫歯ができてしまったり、、、再治療を繰り返すと歯はどんどん小さく脆くなってしまいます。
歯を守るためには、治療の再介入を減らすことが重要です。一生変化しないものは存在しませんが、お口の中での変化が少ないものや劣化しにくいものを選択することで、その歯の再治療の機会を減らすことが可能です。保険外の材質は歯の長期保存に適した材料になります。患者さんの歯の保存のために当院は積極的に保険外の材質を提案させていただいてます。
保険の金属は、金銀パラジウム合金というものになります。歯科用金銀パラジウム合金とは、「金:12%、パラジウム:20%、銀:約50%、銅:約10%」から組成される合金です。歯科治療で用いられる際は、一般的に銀歯や銀の詰め物とも呼ばれます。
また、銀の詰め物として、アマルガムも長らく使用してきました。水銀と他金属との合金でできており、正式には「歯科用水銀アマルガム」といいます。アマルガムに含まれている水銀は有害なメチル水銀のことではなく、無機水銀と呼ばれるものです。ただし、この水銀が時間の経過とともに溶けて体内に蓄積し、健康被害につながると不安視する声があります。そのため、海外では歯科治療で使用禁止になっている国もあります。日本でも以前まで銀歯の詰めものにアマルガムが使用されていましたが、2016年に保険適用から外れてからは治療で用いられなくなっています。
強度が高く保険診療が適用される反面、やはりデメリット部分が気になる方も多いのではないでしょうか。金属アレルギーや見た目が気になるといった方には、金属を使用しないメタルフリーの治療がおすすめです。