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夏休みの自由研究③
〜お口の中をじっくりみてみましょう!〜
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は夏休みの自由研究③についてお話しします。
お口の中をじっくり観察して、自分のお口の取扱説明書を作ってみましょう!お口の地図を作って歯のこと、お口の中のことについて調べてみましょう!
【方法】
〇パノラマ写真撮影・口腔内写真撮影を撮りましょう!
〇歯を赤く染めて歯磨き検定を受けましょう!
〇写真を見ながらお口の地図を作りましょう!
〇歯のクイズと講義を受けてお口博士になりましょう!
1.口腔とは?
口は上唇、下唇(口唇)と頬に囲まれ、その内腔を口腔といいます。口腔内には、耳下腺、顎下腺、舌下腺の大唾液腺と、口唇や頬、舌などの粘膜組織に分布するたくさんの小唾液腺の導管が開口しています。口腔は食事や会話、容姿といった人と人とのつながりや言語、非言語的コミュニケーションに欠かすことができない重要な役割を担っています。口腔機能が低下すると食べられる食物の種類や量が制限されるので、栄養のバランスがとりにくくなり、食事の質が悪くなるため、免疫や代謝といった機能の低下から病気にかかりやすく、治癒しにくくなります。
口腔内に取り込まれた食物は、上下の歯と下顎の運動によって細かく噛み砕かれ(咀嚼)、唾液とよく混ぜ合わされて飲み下されやすい形になり、咽頭、食道を通過し、胃へ達します。
歯は、上顎骨と下顎骨の歯槽突起に生えますが、歯槽突起は粘膜におおわれています。
歯冠、歯根の部位からなり、中心部には歯髄腔があります。歯の構成は、特殊な骨組織であるエナメル質、象牙質、セメント質からなっています。エナメル質は体内で最も硬い部分です。
2.口腔機能の低下と栄養
[日本老年歯科医学会]
口腔機能は捕食(食べ物を口に取り込むこと)、咀嚼、食塊の形成と移送、嚥下、構音、味覚、触覚、唾液の分泌などに関わり、人が社会のなかで健康な生活を営むための必要な基本的機能です。日本の高齢者では口腔機能が低下するとビタミン・ミネラル・たんぱく質・食物繊維といった栄養素、肉・魚介類・野菜・果物といった食品の摂取が減少し、反対に炭水化物・穀類・菓子類・砂糖・塩などの調味料の摂取割合が増えるという報告があります[1]。つまり、口腔機能の低下によって食事のバランスが悪くなり、運動機能や生理機能を正常に保つことが困難になるだけでなく、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の発症や重症化のリスクが高くなると推察されています[2]。さらに口腔機能が低下すると、食事の量も減少し、バランスがさらに悪化するだけでなく、体重や筋量を維持することも困難になってきます。
3.口腔機能の低下と寝たきり・認知機能の低下の関係
口腔機能の低下によって食事や会話に支障をきたすと、対人関係に困難を感じるようになり、外出や外食をしなくなったりして、社会とのつながりが減少していきます。また、口腔機能の低下によって口の周りの筋肉が少なくなり動きも悪くなると、容姿や表情が損なわれ、言語的・非言語的コミュニケーション能力が低下します。すると人とのつながりを良好に保つことが困難になり、閉じこもりがちになったり、買い物や交通機関の利用などといった知的能力を必要とする活動も減少し、身体的・精神的にも活動が不活発になり、寝たきりや認知機能低下のリスクが増加することになります。
実際、日本の地域在住高齢者約2,000人を対象に行われた大規模コホート調査によって、口腔機能が低下している(オーラルフレイル)者は、低下していない者と比較して、身体的フレイル、サルコペニア、要介護状態、死亡の新規発生リスクがそれぞれ2倍以上高いという報告がなされています。これらの結果は全身のフレイルや身体能力の低下に先立って口腔機能の低下が生じていることを示唆しているだけでなく、フレイル、サルコペニア、要介護状態、死へと進行していくなかでも、口腔機能の低下が影響している可能性を示唆しています。
4.口腔機能と健康との関係は
口腔機能が低下すると食欲も低下し、栄養が偏り不足するようになります。その結果、筋量や筋力が減少し、免疫、代謝といった機能も低下します。筋力が落ちると運動機能が低下し、不活発な生活となり、代謝も低下するため、食欲がいっそう低下し、さらに栄養が偏り不足していくといった悪循環が生じます。また免疫機能が低下すると様々な病気にかかりやすくなります。特に高齢者では肺炎などの感染症を繰り返し、寝たきりになることもあります。
病気やけが以外に、健康な生活を損なう要因として気を付けなければならないのは、社会参加の機会が減少することです。楽しく食事をしたり、コミュニケーションをはかったりするためには口腔機能を維持することが不可欠です。食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いを避けるようになり、閉じこもりがちになります。不活発な生活が長く続くと、体力とともに意欲も低下し、うつ傾向や認知機能の低下にもつながります。認知症や脳血管障害といった大きな病気にならずに、徐々に要介護状態に陥っていく原因のほとんどが不活発な生活習慣であるという調査結果も報告されています。
「食べる」「話す」といった機能は毎日使うもので、その低下を本人が気づくことはとても難しいことです。外出や外食、他者との交流を積極的に行って、まず高齢者本人が意識的にそれらの機能を使い、その変化に注視すること、お互いに口腔機能の低下や容姿の変化を確認し注意しあうことが重要です。
このように高齢者が身体的、精神的、さらには社会的にも健康な生活を送るためには、口腔機能を維持することが大切です。
普段あまりお口の中をじっくり見る機会は少ないと思うので、この機会に一度自分のお口の中をよく観察してみましょう!正常な状態を理解することで、異変があった時にすぐ気づけるようになります!お口の中で少しでも違和感や異変を感じた場合はすぐにご連絡ください!