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歯牙形態について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は昨日の「黄金比」に引き続き、歯牙形態の特徴についてお話ししていきます。
1.歯牙について
<形態>
審美歯科領域における歯の形態と色は大変重要な要素です。 歯の形、色ともにみんなそれぞれ異なり、基本的な歯の形態は 1914 年、Williams JL により、①方形(square)、②尖形(tapering)、③卵円形(ovoid)に分類されます。顔の形を上下逆転した形態と中切歯の外形が相似関係として、全部床義歯の前歯人工歯選択の基準としても用いられていました。顔の形だけでなく、性格や性別、年齢等の多くの要因において歯冠形態も異なります。また歯の形態は審美的な面だけでなく、アンテリアガイダンス、発音機能という機能面においてもとても重要です。
<色調>
歯の色は機能面としての要素はないものの、ホワイトニングなどによる“白い歯”は審美的要素になります。歯冠色をコントロールすることで、先の歯冠形態とともに大きくも小さくも見せたりする錯覚効果も。白い色は膨張色で少し大きく見える傾向にあります。
2.発育成長
歯牙の形態と機能を理解するためには、歯胚の発育過程を理解する事が前提となります。歯胚はそれぞれの歯牙を多数の発育区で構成し、それらの歯牙の形態と機能を備え萌出します。
[前歯群]:上下顎とも唇側三葉、舌側一葉
[上顎小臼歯群][下顎第一小臼歯]:唇側三葉、舌側一葉
[下顎第二小臼歯]:唇側三葉、舌側二葉
[大臼歯群]
•第一大臼歯:機能咬頭三葉、平衡咬頭二葉
第二大臼歯は第一大臼歯と同様な発育葉数で構成される歯牙と、機能咬頭二葉·平衡咬頭二葉からなる歯牙がある。第三大臼歯は第二大臼歯と同様な発育葉数で構成されているのが基本です。
前歯群の唇側を構成する三葉によって切端は一般にいわれるマメロン(Mamelon)形態として、三連峰の山尾根状態の切端結節を形成します。この三葉の癒合によって、唇側に近心、遠心唇側溝がみられます。また、横行溝(Transverse Groove)が歯軸に直行してセメントエナメル境界線と平行して歯頚部に形成されます。舌側の発育葉は舌面歯頸葉、または舌面基底隆起(Cingulum)とよばれ、唇側の三葉と癒合し溝を形成せず、移行形をなすのが基本です。
舌面歯頸裂溝(Developmental Groove)を形成する症例もありますが、齲蝕と歯周疾患の罹患率が高い傾向にあります。上顎切歯舌面は唇側三葉の中間に位置する中央葉の発育傾向と、舌側辺縁隆線をなす近心発育葉と遠心発育葉とに起因しています。日本人の60%はShovel 型舌面窩が多く、白人は85%がNon-shovel 型系です。
上顎犬歯舌側は中央葉の発育が顕著で凸面を形成し、側方誘導時に臼歯部の離開を補助しています。下顎犬歯舌面は切歯群と同様な凹面形態をなし、舌位置の中立化(Neutral)に関与しています。
歯胚を構成する発育葉の石灰化不全による発育不全が発育葉数の減少をまねき、これが矮小歯の原因となります。
<トーマス·ノッチ Thomas notch>
下顎小臼歯の頬側咬頭の遠心にもうけるノッチ(切痕)のことです。下顎が側方運動を行う際に、作業側の上顎小臼歯頬側咬頭は下顎小臼歯の遠心を通過します。このときに咬合干渉が起こらないように設置します。このノッチはミューチュアリー·プロテクティッド·オクルージョンをつくるときに人為的に付与するが、天然歯列でも見られることがあります。
1歯対1歯の咬合を与えた場合に作業側側方運動中、特に上顎小臼歯頬側咬頭は下顎の頬側咬頭遠心外斜面と咬頭干渉を起こす可能性があるのでそこの部位に上顎の頬側咬頭が通り抜けるために入れるノッチのことです。
これは天然歯でもまれの観察されますが、補綴物を作成する際に人工的に付与するきざみです。現在では上顎の頬側咬頭を調節したりグループファンクションにすること下顎にトーマスノッチを入れることは少ないと思います。
3.犬歯の役割
先ほどグループファンクションのお話しをしましたが、犬歯ガイドが得られることが理想的になります。犬歯は顎を守るための特徴を持った歯になります。
犬歯は、他の永久歯と比べて歯根がとても長いという特徴があります。歯根が長いということは頑丈ででもあり、実際他の歯と比べて寿命が長い歯でもあります。大臼歯についで歯根表面積も大きいです。
大臼歯を以前、三脚やテントに例えましたが犬歯は釘のように長く埋まっているので側方の力に強く耐えられます。
また側方に動かしてガイドとして機能する際に顎関節から対角上にもっとも離れた位置にあるため、負担となりにくいのも剣士の特徴です。犬歯は顎を受け止め、犬歯誘導を咬合時、特に顎を側方に移動させた時、臼歯に側方の力がかからないようにする重要な歯です。
「犬歯のI級関係」
上顎犬歯の近心部に下顎犬歯の尖頭が位置する関係が理想的な関係です。この状態だと、ガイドが近心ガイドになるため顎関節を押し込むことがなくなります。Ⅱ級傾向になり遠心ガイドの場合は注意が必要です。
犬歯は本来尖っているはずの歯です。その歯が平にすり減っているということはそれだけ擦れているということです。夜間の歯ぎしりや食いしばりなどが起こっている可能性が高いです。
正常な咬み合わせをもつ方は犬歯が尖っているからこそ、横に歯ぎしりをすると犬歯だけが当たってそれ以外の全ての奥歯が離れるミューチュアリープロテクテッドオクルージョン(犬歯誘導)を獲得できます。
噛み合わせ、矯正、ガイドに関してはこの先もお話しする機会が多いかと思います。なにかご質問などがあればいつでもご相談ください。!