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注意が必要な解剖学的構造

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日はインシデント・ヒアリハットについてお話ししました。今日は、注意が必要な解剖学的行構造についてお話していきます。

1.顎顔面領域の神経性疾患

顎顔面領域には三叉神経や顔面神経が広く分布しており、口腔内の感覚や咀嚼運動、また複雑な顔の表情をつくる機能をはたしています。神経についてはこちらも合わせてご確認ください。さらに口腔内の奥のには、舌咽神経や舌下神経が分布しています。これらの神経に関係したさまざまな神経痛や神経麻痺が口腔や顔面に発生しますが、頻度が高いのは三叉神経痛と顔面神経麻庫です。

<三叉神経>

国立 歯医者 口腔外科

眼神経(V1)は上眼窩裂を出たのちに、眼窩の背側に分布し、前頭部や瞼、鼻の周囲(鼻翼挙筋を除く)、前頭洞などを支配する。

上顎神経(V2)は正円孔を出たのちに、上顎の全体にわたって分布し、歯茎や上唇、口蓋や下瞼、頬部、篩骨洞、蝶形骨洞や上顎洞などを支配する。

下顎神経(V3)は卵円孔を出たのちに、下あごの全体にわたって分布し、歯茎や下唇、頬部や外耳の一部などを支配する。

<顔面神経>

国立 歯医者 口腔外科

耳の前にある耳下腺の間を貫いて表情筋に分布しています。

顔面神経は頭蓋骨の細い管(顔面神経管)の中を走行しており、この管の中で腫脹すると神経が圧迫され、神経伝達の阻害や損傷、細胞死が起こるとされている。ベル麻痺の原因は確定されていないが、臨床上、実験上の証拠から、1型単純ヘルペスウイルス感染の関与が示唆されている。

<舌咽神経、舌下神経>

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(1)味覚
舌前2/3:顔面神経(Ⅶ)-鼓索神経
舌後1/3:舌咽神経(Ⅸ)

(2)知覚
舌前2/3:三叉神経(Ⅴ)-下顎神経-舌神経
舌後1/3:舌咽神経(Ⅸ)

(3)運動神経:舌筋
舌下神経(Ⅻ)

2.下顎の親知らずの抜歯の際に注意すべきこと

国立 歯医者 口腔外科

パノラマX-ray写真で神経近接が疑われる場合には追加でCT撮影を行い、3次元的な位置関係を精査します。当院はCTを完備していますのいで同日すぐに撮影が可能です。

①下歯槽神経

下顎骨の中には、下歯槽管という神経血管が通っている管があります。この中に神経と血管が走行しており、この神経を下歯槽神経といいます。下歯槽神経はオトガイ孔より表層に出て、オトガイ神経となり下唇周囲まで枝を伸ばし、主に歯の感覚や、下唇とその周囲の感覚を担当しています。抜歯の際に注意が必要なのは、親知らずの根尖と下歯槽管の位置関係です。根尖が神経に近接している場合、抜歯に神経や血管の刺激、損傷の原因となります。

②舌神経

舌神経も親知らずの抜歯の際に注意が必要になります。親知らずの周辺では粘膜の浅い部分に存在していることがあります。
舌神経は、舌の前方の感覚をつかさどります。舌神経を損傷すると、舌前方の2/3感覚が鈍くなったり失われたりします。また、舌神経には顔面神経の枝の鼓索神経も含まれるため、味覚も失われる場合があります。

③下顎神経

下顎の伝達麻酔を行う際に下顎神経損傷の可能性があります。下顎孔伝達麻酔は深部の神経の大元に麻酔を行います。そのため、針先が血管内にないかを吸引テストを必ず行う必要があります。

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伝達麻酔

下顎の奥歯は骨が硬く、麻酔が効きにくい部位になります。親知らずの抜歯や、神経をとる治療、歯を削る際に浸潤麻酔に加えて伝達麻酔を行います。脳から出た神経が、下顎に向かう根本の部分に麻酔薬を効かせることで、その先の神経の支配部位(唇や舌先まで顔半分)に広く良く効く麻酔方法になります。ただ、普段より深いところに麻酔を行うため外科的•解剖学的知識が必要になります。僕もこの伝達麻酔だけのセミナーを受け実際に歯科医師同士で打ち合う練習も行っていますので、ご安心ください。

④オトガイ神経

オトガイ神経はオトガイ孔から骨表面に出てきます。下顎頬側の歯肉剥離を行う際に注意が必要になります。また、高齢者で骨吸収が進行し骨表層にオトガイ孔が出てしまうこともあります。その場合入れ歯が擦れたり当たることで痛みや違和感を感じてしまうことがあります。

3.神経損傷を予防するためには

下歯槽神経は、CT撮影を行い下歯槽管の走行、根尖との位置関係を正確に診断把握することが何よりも重要です。そのためには解剖学的知識のみならず、X-ray写真の読影技術も必要になってきます。また下顎の親知らずの抜歯の場合、舌側歯肉の剥離には充分に注意が必要です。

4.神経損傷の治療について

麻痺に対しては、薬物療法や星状神経ブロック、半導体レーザーなどが行われます。薬物としては、ビタミン製剤やATPなどのお薬が使われますが、個人差も大きく少々気休め的な部分もあるかもです。神経が切断されていなければ時間の経過を待つしかなさそうです。回復時期に伴う、知覚異常に対しては局所麻酔薬や、ステロイド剤、非ステロイド剤、抗うつ剤、抗痙攣剤を使います。

5.上顎洞の注意

上顎臼歯部の根尖が上顎洞と近接もしくは交通している場合があります。根尖病巣が原因で歯性上顎洞炎を起こすこともあります。抜歯の際、交通している場合は根尖がかけて上顎洞ないに迷入しないよう注意が必要です。迷入してしまった場合、口腔外科での摘出手術が必要な場合があります。また、インプラントを埋入するさいも同様です。骨の高さを事前にCTで確認し、外科処置を行う必要があります。


歯科治療、特に外科処置を行う場合にはより一層注意が必要です。CTを事前に撮影し、骨形態を正確に診断し、切開線や骨隆起なのどイメージトレーニングを重ね外科処置を行います。ハイリスクの方へは術前に十分説明を行い、治療に入るようにしています。どうしても当院での対応が困難な場合は高度医療機関への紹介をさせいただく場合もございます、ご了承ください。