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BOPについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は歯周病に関してお話しします。その中でもBOP:Bleeding On Probingプロービング時の出血についてお話しします。


【目次】
1.歯周組織検査
2.BOPの検査意義は?


1.歯周組織検査


歯周組織の検査項目は、①歯周ポケットの深さ ②ポケットからの出血 ③歯の動揺度 ④プラークの付着度です。ポケットを測定することをプロービングと言います。つまりこのプロービング時の出血を検査することです。プロービングでは肉眼で見ることのできない歯周ポケットの内部を触診し、歯牙一本一本の周囲の歯周組織の健康状態の情報を得ます。

国立 歯医者 BOP

プロービングは、ウォーキングストロークにて行います。プローブは常に歯周ポケット内に挿入したままで歯肉縁上に出さず1~2mm間隔の細かいストロークで移動させます。

国立 歯医者 BOP

プロービング時の出血は、ポケットプローブを歯肉溝やポケット内へ軽く(15~20gの力で)挿入し、引き抜いた後(20~30秒後)の出血の有無を調べます。正常な歯肉の場合出血したり排膿することはありませんが、炎症があるとブラッシングやプロービングなどの軽い刺激で出血します。

☝️出血の有無で、炎症の有無がわかる!


出血の有無でその歯周組織の炎症の活動性を判断します。
BOP(+)ということは、「ポケット内に炎症がある」もしくは「歯根面にプラークが存在している」ことを意味します。歯周組織の炎症は(1)歯肉炎(2)歯周炎の2つに分類することが可能です。

(1)歯肉炎

国立 歯医者 BOP

歯肉(歯ぐき)のみに炎症が起こっている状態が「歯肉炎」です。歯肉炎は、歯周病のなかでもまだ比較的軽度な症状であり、適切にケアをすることで健康な歯ぐきを取り戻すことができます。骨の吸収は起こっていない状態になります。

  • 歯ぐきの腫れ
  • 歯ぐきの赤み
  • 歯ぐきの出血

が主な症状になります。

歯肉炎は、軽度の段階だと出血も少なく、目立った痛みや腫れもないため症状に気付きにくいです。そのため危機感を感じにくく放置してしまうする人が多いです。しかし、そのまま放置してしまうと症状はどんどん進行し、より悪化した「歯周炎」を引き起こしてしまうので注意が必要です。これが歯周病の怖いところです。以前にも書きましたが歯周病はサイレント ディジーズ(静かな疾患)と呼ばれます。痛みや自覚症状もなく進行し、気づいた時にはすでに手遅れ…抜歯につながってしまうことが多いです。10代のうちから初期症状が出始め、30代前後の約8割以上の方が発症しています。健康な歯を失わないためにも、歯肉炎の段階で適切にケアすることが大切です



(2)歯周炎

国立 歯医者 BOP

歯周炎と歯肉炎の大きな違いは、「歯槽骨の破壊の有無」です。歯肉炎がさらに進行し、歯槽骨が吸収することで「歯周ポケット」がどんどん深くなり、炎症が広がっていきます。症状の度合いによって「軽度歯周炎」「中等度歯周炎」「重度歯周炎」の3段階に分けられます。

[軽度]
軽度の段階では、歯周ポケットが深くなり歯が長くなったように見える、出血、腫れ、口臭、冷たいものがしみる、といった自覚症状が出てきます。

[中程度]
中等度ではさらに歯ぐきの炎症が広がり、歯を支える歯槽骨が溶け、歯がぐらぐら動揺するようになります。

[重度]
重度の歯周炎は、「歯槽膿漏」の方がTVやCMでよく耳にしているかと思います。この段階まで進行すると、膿が出てきたり歯根が露出したりとかなり深刻な状態です。歯槽骨がかなり破壊されてしまっているため、歯を残すことが困難な可能性もあります。

2.BOPの検査意義は?

初診時の歯肉に炎症がある状態では、BOP(+)になるのは当然です。そのためあまり診断には役立ちません。歯周病治療が行い、再評価の段階やメンテナンスの段階で評価に用いるには、とても有効です。①ブラッシングが不十分だった場合、②歯石やプラークを取りきれていない場合、③歯周病が再発している場合ブラッシングが不十分だった場合BOP(+)になります。それぞれの原因をしっかり診断し、それに合わせて治療を行います。

①ブラッシングが不十分だった場合
歯肉は磨き残しがある部位ほど炎症を起こしやすくなります。炎症があると、出血を起こし痛みを伴うこともあるためブラッシングが不十分になりやすいです。そうなるとさらに汚れが溜まりどんどん歯茎が腫れてしまいます。優しく磨いても出てしまう出血に関しては、悪い血を出し切るつもりで優しく磨いて大丈夫です。汚れを取ることが一番の解決策です。ブラッシングが不十分な状態で外科処置やメンテナンスに入ることはできません。疲れていたり、その日磨き残しがあることは誰にでもあります。ただ、磨き残しの状態が数日続いてしまうと問題です。次の日しっかり磨いて、汚れがついない状態を数日キープできると歯肉炎は治ってきます。歯科医院に受診する前日だけ磨いてもBOPは(ー)になりませんよ。

②歯石やプラークを取りきれていない場合
先ほども述べたように歯周病が進行するとポケットが深くなります。深いポケットの内部は肉眼では見えなくなってしまうため根面付着物を取りきれているかの判断が難しくなります。歯周病再評価の検査時に深いポケットが残ってしまっている場合、再SRPや歯周外科処置(歯肉剥離)を行います。歯肉を剥離し、直視できる環境で根面付着物の取り残しの有無を確認します。

③歯周病が再発している場合
残念なことに歯周病が再発している場合、再治療が必要になります。再発してしまった原因を調べ、改善できるよう指導していきます。磨き方なのか、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃道具の不使用なのか、不良補綴物なのか…歯周病は歯牙ごとに進行状態も違います。検査を行い症状の良くないところを治療していきます。

 歯周治療後の再評価時にポケットも深くさらにBOPも(+)の部位は要注意です。そのような部位は外科処置の適応になります。しかし歯周外科を全身状態から行うことができない患者さんもいます。そのような場合3ヶ月メンテナンスではなく毎月メンテナンスに来ていただき一緒に管理していくことを提案します。

 また、ポケットは深くて本来なら外科処置を行う数値だったとしてもBOPがマイナスであれば病状は安定していることになります。このようにブラッシングがしっかりできて、ハイリスク部位の管理も継続的に可能な場合少しずつメンテナンス間隔を広げていくことも可能です。




このように歯周組織検査から得られる情報を元に、患者さんのメンテナンス間隔を決める上でBOPの評価はとても重要になります。どんなに頑張って磨いていても、歯石やバイオフィルムは付着してしまいます。そのため定期的なメンテナンスがとても重要になってきます。歯磨き・口腔内ケアのプロである私たちも定期的にチェックしクリーニングを行っています。明日はメンテナンスについてお話しします。