国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

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PMTCについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日お話ししたバイオフィルムの除去の方法についてお話しします。

PMTCとは、

『 Professional Mechanical Tooth  Cleaning』

歯科医師や歯科衛生士のような特別な教育・訓練を受けた専門家が、
 器具やペースト(フッ素入り歯面清掃剤)などの専門の道具を用いて、
  歯面、歯周ポケット内部を
   機械的に除去することを言います。

 スウェーデンのアクセルソン博士が提唱した歯のクリーニング方法で、「歯科医師、衛生士による往復運動式のブラッシング装置とフッ化物入りペーストを用いて、歯と歯の間も含め全ての歯の表面と歯茎の内部に至るまでの磨き残しを取り除く方法」のことです。

①スケーリング

スケーリングとは、歯石除去のことです。手用器具を用いて取り除く方法と超音波スケーラーという器具で超音波の振動と水圧により歯面や歯根面に付着している歯石とともにバイオフィルムの除去を行う方法があります。
スケーリングについては過去の記事も合わせてご確認ください。術後の注意事項としては、

①一時的に歯がしみることがある
②一時的に出血しやすくなる
③引き締まって歯肉が下がる
④すき間ができた気がする
⑤ザラザラする
などがありますが、病的な状態ではないので落ち着いてきます。歯石を放置するとその周りに新たにプラークがつきやすくなってしまい、歯周炎の悪化が起こりやすくなってしまいます。歯周病は痛みなく進行する怖い病気です。放置せずしっかり検査を行い進行をコントロールしましょう!

②ポリッシング

ポリッシングとは、歯面研磨のことです。歯の表面がなめらかになるよう整えます。研磨することでステインを除去して、輝きとツヤのある歯に仕上げます。歯の表面のわずかな段差やざらつきをなめらかにし、プラークの蓄積を防ぎます。
ポリッシングはとても重要な行程です。歯石やバイオフィルムを除去した表面はザラザラ しています。その状態は再度汚れが付着しやすいため、歯の表面を器械や歯ブラシ等で 磨き、付着しにくいようにします。また、ポリッシング時のは、虫歯予防のためにの高濃度のフッ素配合ペーストを歯面に塗り込みます。

③化学的清掃

ADゲルという10%次亜塩素酸ナトリウムを用いて歯面表面を化学的に清掃します。バイオフィルムを分解するためにとても効果的です。

④ミネラルパック

歯面にはペリクルという良質な膜が存在します。ペリクルとは、主に唾液および唾液糖タンパクに由来する有機被膜で歯の表面を覆っています。酸性飲料などの溶液が歯質の無機相と接触するためには、このペリクルを通過しなければなりません。ペリクルの存在は、酸蝕からエナメル質を保護すると考えられています。PMTCによりこの表層のペリクルも剥がれてしまうことがあります。そこで高濃度のフッ素
をコーティングし歯の表面を保護していきます。ナノ粒子薬用ハイドロキシアパタイトが含まれるため、薬用成分として認可されています。

<薬用効果>

1.歯垢の吸着除去
2.エナメル質表面の再結晶化
3.エナメル質表層下脱灰部(初期う蝕)の深部まで浸透して再石灰化

などがあります。

最後にフッ素を塗っていきます。フッ素とハイドロキシアパタイトはとても相性が良く、お互いがくっついて歯の成分の中に入り込んで歯の隙間を埋め歯をより強くしてくれます。傷ついた歯の表面のコーティングしてくれます。PMTCは4〜6ヶ月に1回のペースで行う事が推奨されています。

磨き残しの多い部分や歯周病のハイリスク部位をしっかり患者さんに伝えた上で理解していただき、その部位に合わせた対策を取ることが一番重要です。


メンテナンスん有効性については、冒頭のAxelsson先生の論文が有名です。

国立 歯医者 論文

<目的>

口腔衛生指導に関する歯の喪失本数に関する研究は数多くされていたが、1972年に報告した歯の喪失、カリエス、アタッチメントロスについての予防プログラムを30年経過した段階で(1971-2002年)に再検証すること。

<方法>
・1971秋〜1972春までの被験者550人以上を長期間にわたり予防プログラムを実施し、虫歯・歯周疾患・歯の喪失を比較する。

・最初の2年は2ヶ月ごとに来院、以降3年目から6年目は3ヶ月ごと
・6年目以降は虫歯、歯周病の発症に合わせて来院間隔を調整
 R1:12ヶ月に1回
 R2:6ヶ月に1回
 R3:3ヶ月に1回

<結果>

国立 歯医者 論文

総数:375人
Group1:20〜35歳
Group2:36〜50歳
Group3:51〜65歳
脱落者:118人
(49人が死去、61人が転居、8人が関心の消失)
Group1:0.4本/人(0.01本/年)
Group2:0.7本/人(0.02本/年)
Group3:1.8本/人(0.06本/年)

喪失原因の一位は歯根破折

国立 歯医者 論文

プラークの付着率

1972年:3グループともに50~60%

2002年:3グループともに20%以下に

国立 歯医者 論文

カリエス

30年間で、
カリエスなし 107人
6本以上あり 10人
全グループで30年間で平均1本以下

375名を30年間に渡り研究した結果があります。30年間の歯の平均喪失本数は0.4本です!開始時期が早いほど喪失本数も少ないという結果があります。もちろん継続した高水準での口腔衛生状態を維持が出るための事前の指導もあるかとは思いますが、素晴らしい結果だと思います。

メンテナンスを勧める上で、セルフケアがしっかり行えることが大前提にはなりますが、歯の喪失本数などをデータとして伝えることで、モチベーションの向上につながるのではないでしょうか?
当院もこの先30年40年近隣住民の歯の喪失、口腔疾患の予防が行えるよう頑張っていきます。