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歯垢染色剤について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日までお話ししていたPMTCの流れに乗って、今日は歯垢染色剤についてお話しします。学校や歯医者さんで、歯垢:プラークを赤い液で染め出しした経験はありませんか?その染色剤についてのお話です。
【目次】
1.歯垢染色剤の種類
2.PCRとは?
3.
1.歯垢染色剤の種類
歯垢染色剤には様々な種類があります。赤色に染め出されるもの、赤と青紫に染め出されるもの、赤と青紫、水色に染め出されるもの、、、古いプラークと新しいプラークで違う色で染め出されるものもあります。
また、種類もいくつかあり、液体タイプのもの、ジェルタイプのもの、錠剤タイプのもの、すでにスポンジに染色液がしみ込んでいて使い捨てのものなど様々です。錠剤タイプのものは学校などの集団しか検診で歯垢染色剤を使う指導があった時などに経験した方もいるかと思います。
いくつか種類がある中で、当院では2TONEというものを使用しています。
<2TONE>
古い歯垢と新しい歯垢を染め分ける歯垢染色剤です。赤く染まった箇所は比較的新しい汚れで、その日についた磨き残しです。赤く染まった箇所は比較的新しい汚れで、その日についた磨き残しです。最初の写真もこの2TONEで染め出しした口腔内になります。
<2TONEのメリット>
- 患者さんの口腔衛生上、より注意の必要な箇所がわかりやすく染め出せます。
- 染め出されたインパクトも強く、モチベーションの向上に繋がります。
- 新しいプラークと古いプラークで分けて染め出しが可能なためハイリスク部位の認識がしやすくなります。
鏡で実際に目で見て、どこに汚れがついているかを確認しながら歯ブラシ指導を行いますので今後のセルフケアで磨き残しが起こりやすいところを意識しながら歯磨きが行えるようになると思います!
プラークを放置すると歯周病がどんどん進行してしまいます。青紫で染まっているところはそういうところになります。お口の中、歯の表面に長い時間プラークがべったり滞留していることになります。当院では染め出されている割合を記録し、患者さんの口腔内環境を記録として残しています。
2.PCRとは?
最近、コロナの検査でPCRという言葉をよく耳にしますが、こちらはポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略です。物の遺伝情報をもつDNAを複製して増幅させる方法のことを言います。ごく微量な検体/サンプル(血液、組織、細菌、ウイルス等)であっても、そこに含まれるわずかなDNAから、特定の配列だけを短時間で増やすことで目的の微生物や遺伝子配列が存在しているかを知ることができます。このPCRの特性を活かして、体内や食品などに潜む細菌やウイルスを検出し、遺伝子の研究や、DNA鑑定など幅広い分野で利用されています。
では、歯科医院でのPCRとは何の略なのか?歯科医院で行うPCR検査は、プラーク コントロール レコード(Plaque Control Record)の略です。お口の中の清掃状態をあらわす指数のことです。先ほど説明した染色剤(2 TONE)を用いて、磨き残したプラークの割合を数値化します。1972年にO’Learyらによって提唱された指標です。
歯周病はプラークが原因で起こる細菌感染症です。細菌数をコントロールすることで予防が可能です!
<PCRの算出方法>
①染め出し
歯垢染色剤を歯面につけて、軽くうがいをしてもらい、プラークの付着部位をそめだします。服とかに飛び散らないよう気をつけてうがいをしてもらいます。
②磨き残しのチェック
患者さん本人にも鏡で磨き残しのチェックをしてもらいます。赤く染まっている新しいプラークと、青紫の古いプラークの部位を確認してもらいます。
③染め出し部位のチェック
染め出されている部位を、1本ずつ4面に分けて確認します。検査数の歯面のうち南面が染まっているかの割合を出します。
一般的にPCRが20%以下であれば、上手に磨けているとされます。そのため20%をメンテナンス間隔を決める一つの指標にしています。
ではPCR20%ってどれくらい磨けているのか?
( 左 )歯と歯の間:コンタクト部分が全て磨けていないと50%になります。
(中央)前歯は比較的コンタクト部分も磨きやすいため、その状態でも28.6%です。
( 右 )奥歯の部分だけ少し磨き残しがあっても21.4%です。
この図を見て、20%以下を厳しいと思った方も多いかもしれません。歯科医院で歯磨き指導を受けてしっかり実践できている方はちゃんと20%以下をキープできています。しかし、実際にはPCRが50%以上の方が多い感覚です。初診でいらっしゃった患者さんの場合、60-70%くらいが一般的かなと思います。
では、PCRが高いとどのようなリスクがあるのか? PCRが高いと歯肉の炎症が起こりやすく、組織が安定しないため予期しないトラブルが起こりやすくなります。再治療が必要になってしまうことも多いです。患者さんにとっても、歯を削らないといけない歯科医療者にとっても切ないことです。そうならないためにも、歯周組織の安定を見込める指標:PCR20%を目標としています。
歯ブラシだけでは歯間部の汚れは落としきれません。そのためにはフロスや歯間ブラシなどの補助清掃道具の使用が必要です。フロスを毎日通している方は引き続き続けていきましょう。素晴らしいです!習慣化されてくると、「通さないとなんだか気持ち悪くてスッキリしない」という方もいらっしゃると思います。これから始める方は、まずは週一度でもいいので始めてみてください。慣れてきたら毎晩寝る前に、理想は毎食後行えれば完璧ですね!フロスの通し方も心配な方はスタッフまでご相談ください。明日は磨き残しが多いところや、ケアの仕方について復習しましょう!