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一次救命措置について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は、「一次救命措置」についてお話しします。
【目次】
1.一次救命措置とは?
2.心配蘇生
3.AED
4.救命措置の流れ
1.一次救命措置とは?
一次救命処置とは、BLS:Basic Life Supportとも呼ばれます。心肺蘇生や、AEDを用いた除細動など、心臓や呼吸が停止した傷病者に対して、その場にいる人が救急隊や医師に引き継ぐまでの間に行う応急手当のことです。専門的な器具や薬品などを使わないので、正しい知識と適切な処置の方法を知っていれば、誰でも行うことができます。これら一次救命処置は、傷病者の社会復帰において大きな役割を果たします。運転免許取得の際にも受講していると思いますが、しっかり覚えている方の方が少ないかもですね。また、万が一目の前で大切な方が倒れた時、パニックを起こし冷静に行動できないことも予想されます。今日もう一度復讐し、定期的に読み直し、テキパキ動けるようにしましょう。ガイドラインは5年に一度全世界で見直しがされており、現在は2020年版のガイドラインになります。
2.心配蘇生
心配蘇生とは、CPR:Cardio Pulmonary Resuscitationとも呼ばれ、胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸を行い、循環と呼吸の機能を代行して救命する手当のことをいいます。傷病者に反応がなく、呼吸がないか異常な呼吸(死戦期呼吸:しゃくりあげるような不規則な呼吸)が認められる場合は、直ちに心肺蘇生を行う必要があります。一次救命処置の効果は、いかに迅速に心肺蘇生を開始できるかにかかっています。
次の場合を除いて、自分の判断で心配蘇生は中断してはいけません。
・傷病者が嫌がり動き出す
・うめき声をあげる
・普段どおりの呼吸が現れた時
・専門の救護者に引き継ぐことができる時
・救助者に疲労や危険がせまり、心肺蘇生の継続が困難になった時
3.AED
AEDは耳にしたことがある方も多いかと思います。Automated External Defibrillatorの略で、自動体外式除細動器と言います。学校やショッピングモールなどにも設置が進んでいます。AEDの設置台数は年々増加しています。突然の心停止は、心臓が細かく震えだす心室細動という不整脈によって生じることが多いです。心臓を正常な動きに戻すためには電気ショック(除細動)が必要となります。AEDは、コンピュータによって自動的に心室細動の有無を解析し、除細動の要否を音声で指示して電気ショックを行う機器です。
2014年度の消防庁の発表によると、119番通報を受けてから救急車が現場に到着するまでに平均8.5分かかっています。救急車が来るまでの8.5分間を何もしないで過ごしてしまうと、生存退院率は20%以下と非常に低くなってしまうことがわかります。いかに迅速に一次救命措置を行うかが、生存率に影響します。
4.救命措置の流れ
参考資料 救急蘇生法の指針2020(市民用・解説編)
①安全を確認する
誰かが突然倒れるところを目撃したり、倒れている人を発見した場合は、まず周囲の状況が安全かどうかを確かめます。(車の往来がある、室内に煙がたち込めているなど)救護者の安全も重要です。
②反応を確認する
① 傷病者の肩をやさしく叩きながら、大声で呼びかけます。
② けいれんのような動きは「反応がない」と判断します。反応(目を開ける、応答、目的のある反応)がある場合には、状況に応じた体位をとらせます。
③ 傷病者に反応がない場合、判断に迷う場合又はわからない場合は心停止の可能性ありと判断します。
③119番通報をして、応援を呼びAEDを手配する
「誰か来てください! 人が倒れています!」などと叫び、応援を依頼します。周囲に協力者がいる場合、協力者を指し示して、「あなた、119番通報をお願いします」、「あなた、AEDを持ってきてください」などと具体的に依頼します。
④普段どおりの呼吸があるか確認する
① 呼吸の確認は、胸と腹部の動きを見ます。
② 呼吸があるかどうかを、10秒以内で確認します。
③ 胸と腹部が動いていない場合、または約10秒かけても判断に迷う場合又はわからない場合も、心停止とみなして、直ちに胸骨圧迫を開始してください。
※ 死戦期呼吸(しゃくりあげるような、途切れ途切れの呼吸)は、普段どおりの呼吸ではありません
⑤胸骨圧迫を行う
圧迫部位
胸の真ん中(左右の真ん中で、かつ、上下の真ん中を目安にする。)※ 正確には、胸の真ん中にある「胸骨」というたてに長い平らな骨の下半分です。
圧迫方法
成人⇒両手で傷病者の胸が約5㎝沈み込む程度
小児⇒両手または片手で傷病者の胸の厚さの約1/3沈む程度
100~120回/分の速さで30回行います。
⑥人工呼吸を行う
人工呼吸の技術を身につけていて、人工呼吸を行う意思がある場合は、胸骨圧迫を30回したあとは、人工呼吸を2回行います。
気道確保
片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指を、あごの先端の骨に当てます。そして頭をやさしくうしろに反らせます。(頭部後屈顎先挙上法)
人工呼吸
気道を確保したまま、額に当てた手の指で、傷病者の鼻をつまみ、自分の口を大きく開けて傷病者の口をおおい、傷病者の胸が上がるのがわかる程度まで息を吹き込みます。
1回に1秒をかけて、2回吹き込みます。人工呼吸の仕方がわからないときや、手もとに感染防護具がなく、人工呼吸をためらうときは、胸骨圧迫のみを続けてください。ただし、窒息、溺水、子どもの心停止の場合などでは、人工呼吸と胸骨圧迫を組み合わせた心肺蘇生を行うことが望まれます。
⑥心肺蘇生を続ける
胸骨圧迫30回と人工呼吸2回(この組み合わせを「心肺蘇生」と言います)を絶え間なく続けます。傷病者が普段通りの呼吸を始める、あるいは目的のあるしぐさ(手を払いのける、顔をしかめる、など)が認められるまで、あきらめずに心肺蘇生を続けます。※ 心肺蘇生を行っている途中で救急隊員など熟練した救助者が到着しても、心肺蘇生を中断しないでください。
歯科医院でも少ないですが死亡事故は過去に発生しています。医療従事者は一次救命措置の手順をしっかり把握しておく必要があります。定期的に院内研修やミーティングを行い復習をしていきます。安心してご通院ください。明日は、気道異物除去についてお話ししていきます。