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骨粗鬆症について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「骨粗鬆症」についてお話しします。
【目次】
1.骨粗鬆症とは?
2.骨について
3.骨粗鬆症と歯科との関連
1.骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。女性に多い疾患です。
骨の強度が低下することで骨が脆くなり、やがて骨折するリスクが高まる病気です。この疾患は主に2つのタイプがあり、加齢や閉経などが原因で主たる病気が元ではないという①原発性骨粗鬆症と、特定の疾患(関節リウマチや甲状腺疾患、糖尿病 等)や薬剤(ステロイド薬の長期服用 等)などが原因で発症する②続発性骨粗鬆症に分類されます。なお骨粗鬆症の方の全体の9割を占めるのが①原発性骨粗鬆と言われています。
原発性骨粗鬆症は女性の患者さんに多いのが特徴ですが、その主な原因は閉経によるエストロゲンの減少です(閉経後骨粗鬆症)。女性ホルモンには、骨の新陳代謝に対して骨吸収のスピードを緩める効果があります。そのため、エストロゲンが減少してしまうと骨吸収のスピードは速まり(破骨細胞の増加)、骨形成が追いつかなくなります。これが骨がもろくなってしまうのです。
<症状>
骨粗鬆症は、痛みがないのが普通です。しかし、転ぶなどのちょっとした衝撃で骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、背骨(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりしてしまいます。
2.骨について
最近はトレーニングをする人も増え、筋肉は日頃からケアをしたり鍛えたりする方が多くいます。一方で骨は身体の中心にあって目で見る機会がほとんどないため、普段から骨を意識している人は少ないかと思います。しかし骨には多くの重要な役割があります。
①身体を支える
骨は身体を支えています。そのため足や腰の骨折など骨のトラブルにより、寝たきりなどの要介護になってしまうこともあります。日頃の運動が大事になります。
②運動の始点となる
骨と筋肉が繋がり、関節が支点となることで、手足を動かしたり腕を曲げたりすることができます。骨、筋肉、関節のバランスが重要になります。関節内の軟骨は加齢とともに柔軟性がなくなってしまいます。
③内臓を保護する
脳や内臓は衝撃に弱いです。そのため頭蓋骨は脳を、肋骨は肺や心臓を、背骨は脊椎神経、のように重要な臓器を硬い骨(骨格)で衝撃からしっかり守ってくれます。
④血液を作る
骨の中心部にある骨髄には血液の原料となる造血幹細胞が存在し、赤血球、白血球、血小板が作られています。血液が作られるためには、骨が必須です。
⑤カルシウムを貯蔵する
骨にはカルシウム貯蔵の役割があります。体内のカルシウムの99%が骨に、残りの1%が血液に存在し、血中のカルシウム濃度が低くなると骨からカルシウムを補給します。
骨の変化には、①成長期、②成熟期、③衰退期があります。
①成長期
成長期の骨作りが、一生涯の骨の基礎となります。人生の骨量が最も大きくなるのは、男性で20歳、女性で18歳と言われており、成長期に骨量のピークをいかに高めるかが将来の骨の健康を維持するカギとなります。
②成熟期
30代以降は体が完全に出来上がる年代です。骨量も最大となりますが、無理なダイエットや偏食、過度なストレスなどにより骨量の低下のリスクが高まっています。また、この時期は妊娠、授乳により一時的に骨密度が低下する方もいるので、積極的な骨のケアが必要です。
③衰退期
40代以降は、骨量はゆるやかに減少し、特に女性は50代以降に骨量が大きく減少します。
男性に比べて骨格が小さく体内に蓄えられている骨量が少ないこと、閉経後の女性ホルモンの減少で破骨細胞の働きが活発になること等が原因です。
3.骨粗鬆症と歯科との関連
骨粗鬆症のお薬を飲まれていたり、注射による治療をされている方は、抜歯などの外科処置で副作用がでる可能性があります。問診票などでこちらも確認はしますが、必ず歯科治療の際には事前に担当医にお伝えください。
歯科治療で起こる副作用とは?
骨粗鬆症では、ビスフォスフォネート製剤(BP剤)や抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)などの骨を強くする作用があるお薬が治療に用いられています。これらのお薬を一定期間以上服用中に抜歯やインプラントなどの外科処置を行なった場合、顎骨壊死や炎症がひどくなる等の副作用が報告されています。
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(MRONJ)は、骨粗鬆症のお薬によって、顎骨が細菌感染し腐ってしまう病気のことです。口腔内に骨が露出し、強い痛みが出たり、歯が抜け落ちるなどの症状が現れます。
理由としては、BP製剤などの骨吸収抑制薬は、骨の代謝を抑えることで骨からカルシウムが出ていくことを防ぎ骨が減らないようにしています。しかし、同時に新生骨や歯茎などの軟組織を作る機能も抑えてしまうため、そこに細菌が感染することによって傷が治りにくくなり、骨が腐るなどの副作用が起こってしまいます。
インプラントや抜歯などの外科処置は歯茎に損傷、侵襲を与えるため、そこから細菌が感染する可能性があります。そのため、すでに服用されている方は該当するお薬を一時やめていただくか、他の薬に切り替えていただく必要もありますので、必ず医師に事前に対診してから診療に入ります。
高齢者の割合も増え、何かしらの疾患や薬剤を服用中の方が増えてきました。日々薬剤も進化しますが安心して歯科治療を行えるようスタッフ一同これからも日々研鑽を重ねていきます。