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咬合性外傷について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「咬合性外傷」についてお話しします。
【目次】
1.咬合性外傷とは?
2.咬合性外傷の原因とは?
3.咬合性外傷の症状とは?
4.咬合性外傷の予防とは?
1.咬合性外傷とは?
咬合性外傷とは、噛み合わせの力の異常によって歯や歯を支える歯茎や骨などの周囲の組織、歯が埋まっている顎骨、顎関節などに様々な影響を引き起こしてしまうことを言います。噛み合わせがもともと悪い人は、歯の当たり方のバランスが悪いため、咬合性外傷を起こしやすいです。しかし、噛み合わせは、日々変化し常に同じ状態ではありません。もともと噛み合わせが良かった人でも、歯の治療や歯周病、歯ぎしりや食いしばりにより噛み合わせのバランスが悪くなってしまうこともあります。
咬合性外傷には一次性と二次性に分けられ、それぞれ原因や症状が違ってきます。一次性が進行して二次性になるわけではありません。
<一次性咬合性外傷>
原因は歯ぎしりや、食いしばり、またかみ合わせが悪いことです。頻繁に歯に強い力や、適切でない方向から力がかかることで、歯の根元や、歯の周りの骨など歯周組織が傷つきます。
<二次性咬合性外傷>
原因は歯周病です。歯周病は歯槽骨を溶かしていきます。歯周病により歯を支える力が弱くなっているので、通常の噛む力だけでもダメージを受ける状態になっています。
たった一本の詰め物の高さが合わないだけでも全身に悪影響が出てしまいます。1週間ほどで違和感を感じにくくなってしまいますが、それは適応しているわけではなく体が代償を払い馴染んでいるだけかもしれません。生体には許容量・適応範囲があるためすぐに症状が出るわけではありません。その適応範囲を超えたときに、咬合の不調和として様々な臨床症状,さらには全身的な不定愁訴となり現れるため,原因の特定が非常に困難となっています。
適応(Adaptation)
環境に対応して機能的変化によって生命維持を可能にしようとする生体反応
代償(Compensation)
構造的欠陥に対して、最大の機能を可能にしようとする生体反応
2.咬合性外傷の原因とは?
1.詰め物、被せ物
虫歯の治療では、削って詰める、もしくは被せ物をつけて治す治療が行われています。他の歯との噛み合わせのバランスを考えて、詰め物や被せ物の高さを決定しますが、高さが高いとその歯に過度な力がかかるようになり、咬合性外傷を引き起こしてしまいます。また、高い修復物をなじませたり排除する防御本能から食いしばりや歯ぎしりが増えてしまうこともあります。同じ部位だけ脱離が多い方も、噛み合わせの不調和が考えられます。
2.咬合悪習癖
歯ぎしりや食いしばりといった噛み合わせの悪習癖でも起こります。歯ぎしりや食いしばりをしていると、特定の歯に強い噛み合わせの力がかかり、その歯に咬合性外傷を引き起こします。
3.歯周病
歯周病は歯周組織に起こる病気です。初期症状である歯肉炎は歯ぐきが腫れるだけなのですが、歯周炎に進行すると歯槽骨が破壊されて吸収してしまいます。歯槽骨は歯を支える大事な役割を担っていますので、進行すると歯を支えられなくなり、通常の噛み合わせの力にも耐えられなくなってしまいます。
3.咬合性外傷の症状とは?
咬合性外傷の症状は様々で、直接力がかかる歯の症状としては歯の亀裂や破折、冷たいものでしみる知覚過敏、噛んだ時の痛み、詰め物の脱落、被せ物のずれ、というようなものが挙げられます。歯に力がかかりすぎると、歯を支えている周囲の組織にも大きな負担がかかるため、歯周病が進行しやすくなり、歯を早く失ってしまうことにもつながります。
噛み合わせに異常があると、無意識のうちに庇い、顎をずらして噛みやすい位置を探してしまいます。そのため顎関節や筋肉、姿勢など全身に悪影響が出てしまいます。偏頭痛や肩こり、めまいなどもその症状の一つです。顎関節症のリスクも高くなってしまいます。
関節円板という軟骨の動きがスムーズではなくなると開ける時に音がしたり、開ける時の痛みや、開けにくいという症状が出てきます。
4.咬合性外傷の予防とは?
咬合性外傷では歯の症状、歯茎の症状、顎関節の症状など様々な症状が出ます。このような症状が出たら、その症状だけを一時的に改善することは可能かもしれません。しかし、その根本の原因を解決しないとまた症状が繰り返し出てきたり、悪化してしまう可能性があります。予防策には以下のものがあります。
- 噛み合わせを整える
- 顎関節のリハビリ・マッサージを行う
- ナイトガードを利用する
①噛み合わせを整える
噛み合わせは先ほども伝えたように日々変化します。また、一本高いだけでも悪影響が出てしまいます。その一本だけ、また噛み合う歯だけを見ていても根本的な改善にはなりません。口腔内全体を見て顎関節との調和が取れているのかを診断し治療を進めていきます。(咬合診断)
②顎関節のリハビリ・マッサージを行う
日々に不正咬合により顎関節にも影響が蓄積してしまいます。膝や肩の関節同様動かさないとどんどん凝ってしまい動かしにくくなってしまいます。顎のマッサージ、運動を積極的に行うようにしましょう。
③ナイトガードを利用する
寝ている間の歯ぎしり食いしばりはとても強い力が長時間持続します。マウスピース(ナイトガード)を使用し、力のコントロールを行いましょう。
咬合に関する症状は、自覚なく進行し許容量を超えて痛みなどの症状が出ることがあります。また長い時間蓄積した症状のため、原因を取り除いても治癒するのに長い時間かかることがあります。
さらに、自覚症状がない方は「噛み合わせが悪い」と言われてもピンとこない方が多いです。噛み合わせの分野は頭の中でイメージしにくく難しい話になります。わからない時は何度でも説明しますのでお聞きください。当院では、咬合診断・咬合治療を行っています。皆様の口腔内の環境を整え、長く安定した口腔内を維持できるよう努力します。