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免疫の仕組みについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日免疫に関わる細胞のお話しをさせていただきました。今日は「免疫の仕組み」についてお話しします。



①自然免疫の仕組み

国立 歯医者 免疫

自然免疫とは、受容体を介して、侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞を素早く感知し、それを排除する仕組みです。生体防御の最前線に位置している仕組みです。ひとつの分子が多種類の異物、病原体の分子に反応するこはありますが、繰り返し感染しても自然免疫の能力が増強はしません。ここで活躍している免疫細胞は、主に好中球やマクロファージ、樹状細胞といった食細胞です。

これらの細胞は、私たちと微生物を区別する様々な分子の違いを認識する受容体をもっています。これにより微生物に速やかに反応しこれを退治しようとします。そのような受容体の代表といえるのが、Toll様受容体と呼ばれるものです。

<Toll様受容体>
 Toll様受容体 (TLR) は、マクロファージや樹状細胞に発現し外来病原体の認識とその応答を担っています。TLRは病原体関連分子パターンを認識し自然免疫応答において重要な役割を果たしています。TLRは侵入してくる病原体に対する最初の防御システムに関与し、炎症において免疫細胞の生存・増殖を制御します。TLRは膜貫通型タンパク質であり、マクロファージや樹状細胞の他にも様々な組織や細胞の種類で発現がみられています。2011年のノーベル生理学・医学賞の対象もなりました。風邪にかかると熱が出たり、肺炎になると黄色い痰が出たりするのも、自然免疫の細胞がToll様受容体などを介して微生物を認識してこれと戦っている証拠です。

自然免疫は次に樹状細胞を活性化します。そして活性化した樹状細胞が病原微生物を取り込んで消化し、その成分を細胞の表面に出しT細胞と呼ばれるリンパ球に提示します。こうして樹状細胞によって活性化したT細胞が、攻撃すべき抗原にピンポイントで攻撃する獲得免疫を担います。

この①自然免疫→②樹状細胞→③獲得免疫という流れが免疫反応の基本になります 。そのため、自然免疫は免疫反応を最初にコントロールし、強い免疫反応を起こす重要な役割があります。

②獲得免疫の仕組み

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獲得免疫は、生まれたときには備わっておらず後天的に獲得されるものです。獲得のプロセスは、免疫系が異物に遭遇して、非自己の物質(抗原)であることを認識することで始まります。獲得免疫を構成する要素が、それぞれの抗原に対して最良の攻撃方法を学習し、抗原を記憶します。獲得免疫が特異免疫とも呼ばれているのは、過去に遭遇した抗原に対し、それぞれに応じた特異的な攻撃をするためです。抗原を学習し、適応し、記憶する能力が優れたところになります。主にリンパ球、樹状細胞、サイトカイン、補体が関与します。

<リンパ球>
リンパ球の働きによって我々は抗原を記憶し、私たちと微生物やウイルス、細菌を区別できます。リンパ球は血流やリンパ系を循環し、必要に応じて各種組織に入ります。

免疫系は過去に遭遇したあらゆる抗原をメモリー細胞となるリンパ球に記憶します。その後何年も、場合によっては何十年も生き続け、メモリー細胞が過去に遭遇した抗原に再び遭遇するとその抗原を直ちに認識し、素早く、活発に、また特異的に反応します。この特異免疫反応があるために水痘やはしか麻疹などはは、一度かかると二度とかかりません。(終生免疫)また病気によっては予防接種で発病を予防できます。このリンパ球にはT細胞、B細胞が含まれます。T細胞とB細胞が協力して働き、異物を破壊します。


<抗体>

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B細胞が抗原に遭遇すると刺激を受けて成熟し、形質細胞あるいはメモリーB細胞になります。そして形質細胞は抗体を放出します。抗体は、免疫グロブリン、Igとも呼ばれる。抗体にはIgM、IgG、IgA、IgE、IgDの5種類があります。

〜抗体の働き〜

  • 細胞が抗原を取り込むのを助ける
  • 細菌によって作られた有害物質を不活性化する
  • 細菌やウイルスを直接攻撃する
  • 細菌やウイルスが細胞に付着し侵入するのを防ぐ
  • 多くの免疫機能をもっている補体系を活性化させる
  • ナチュラルキラー細胞などの特定の細胞が、感染した細胞やがん細胞を殺傷するのを助ける

IgM

この抗体は、特定の抗原(感染性微生物の抗原など)に初めて遭遇したときに作られます。抗原との最初の出会いで起こる反応は一次免疫反応と呼ばれます。IgMが抗原に結合すると、補体系が活性化され、それによって微生物が捕食されやすくなります。通常、IgMは組織中ではなく血流中に存在します。

IgG

最も多い型の抗体で、過去に出会った抗原に再び遭遇したときに作られます。この反応は二次免疫反応と呼ばれ、一次免疫反応時に比べ、多くの抗体が作られます。またこの反応は一次免疫反応より速く、より効果のある抗体が作られます。IgGは、細菌やウイルス、真菌など有毒な物質から体を守る働きがあります。組織中および血流中に存在し、IgGは母体から胎盤を通じて胎児に移行する唯一の抗体です。新生児の免疫系が自分で抗体を作り出す時期まで、母体のIgGが胎児や新生児を保護します。さらにIgGは、治療で最も使われることの多い抗体です。免疫グロブリン(免疫系が正常な人の血液から採取した抗体)は主にIgGで構成されています。免疫グロブリンは 免疫不全疾患や 自己免疫疾患の治療に用いられます。

IgA

この抗体は、鼻、眼、肺、消化管などの粘膜で覆われた体表面から微生物が侵入するのを防ぐ働きをします。IgAは血流、粘膜からの分泌物、初乳に存在します。

IgE

IgE抗体は、即時のアレルギー反応のトリガーとなります。IgEは、血流中にある白血球の一種である 好塩基球や組織の肥満細胞と結合します。IgEと結合した好塩基球や肥満細胞がアレルギー反応を引き起こす抗原(アレルゲン)に出会うと、ヒスタミンなどの物質を放出し、それにより炎症が引き起こし、周辺組織を損傷します。少量のIgE抗体が血流中、消化器系の粘液中に存在しますが、その量は、喘息、花粉症、その他のアレルギー疾患の患者さんで多くなります。

IgD

IgDは主に未成熟のB細胞の表面に存在し、B細胞の成熟を助けています。血流中に少量存在していますが血流中でのその機能はあまりよく解明されていません。

3.免疫機能を高めるには?

免疫機能は、加齢とともに低下しますが、それ以外にも生活環境やストレスが
影響を及ぼすといわれています。免疫機能を正しく機能させるためには次のことがおすすめです。

<栄養バランスの良い食事>
腸の壁には、免疫をつかさどる免疫細胞が集中しています。体全体の免疫細胞
の約7割が腸に集まっているため、免疫力を高めるには腸の状態を良くすることが効果的になります。腸が活発に働くことができるようにするためには、まずは栄養バランスの良い食事をすることが大切です。

<適度な運動>
ウォーキングやジョギングなど適度な運動は身体のさまざま機能を高めてくれます。ただし、激しい運動はそれ自体がストレスとなり、逆に免疫機能を低下させてしまうことがあるのでやり過ぎには注意が必要です。

<十分な休養(睡眠)>
休養(睡眠)を十分に取ることで、身体と心を休ませ免疫細胞の働きを高めましょう。また、睡眠に関係している体内時計は免疫機能の調整もしているため、体内時計が乱れると免疫機能が低下することになります。徹夜明けなどに体調不良になりやすいのもこれが原因の一つです。

<ストレスをためない生活>
ストレスと自律神経は密接な関係にあります。自律神経の一つである副交感神経を優位に働かせることは免疫機能を正しく機能させることになります。身体と心をリラックスした状態に保つことで副交感神経が優位に働きます。


規則正しい生活、バランスの取れた栄養を摂るためにも口腔内の環境を整えるのはとても重要です。口腔内が健康的であれば全身の健康維持にも繋がります。ここ最近、定期検診を受診していない方は早めの受診をお勧めいたします。明日は栄養学についてお話しします。