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歯根膜について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「歯根膜の重要性」についてお話しします。



1.歯根膜とは?

歯根膜(PDL)は、歯根表面と歯槽骨表面の間の空間を占めている組織になります。PDLは結合組織線維、細胞、血管、神経、細胞間質で構成されています。1㎟のセメント質に平均28000本の線維束が入り込んでいます。歯根膜組織は血管に富んでおり、神経は少ないです。厚さは0.2mmほどしかないですがとても重要な組織になります。

2.歯根膜の働き

<歯と骨を強く結びつける>
歯根膜があることで歯と骨がくっついています。歯は骨と直接くっついているわけでなく歯根膜を介在して強く結びついています。シャーピー繊維がお互いに入り込み強固にくっついています。歯根膜には歯根と歯を支えている骨:歯槽骨をしっかりと結び付けるという役割があります。

<センサー機能>
歯根膜には、触覚や痛覚などの感覚があります。そのため、物を食べるときの感覚や、硬い/柔らかいなどの感覚は歯根膜が刺激を感知して脳に伝えています。噛みごたえのあるものを食べたときの硬いという感覚や、せんべいなどの食べたときのパリっとした感覚は歯根膜のおかげです。この働きにより、噛む時の力加減などの調節ができています。

<クッション機能>
歯根膜には、歯根と歯槽骨の間でクッションのような役割をしています。食事の時に噛んだり、食いしばったり、噛んだりするときは歯はわずかに沈みこんだり揺れたりします。しかし歯根膜があることで、歯に加わる力を上手に逃がし、過度な力が歯に加わらないようにしています。

3.自家歯牙移植

自家歯牙移植とは、虫歯や外傷などで歯が抜けたところに、健康な親知らずや生えている位置が異常などの理由で機能していない歯牙などを移植する方法です。これはブリッジのように隣在歯を削る必要がなく、また義歯よりも違和感が少なく、インプラントとは異なり自然な歯の機能を生かせるという特徴があります。

自家歯牙移植の中で一番重要なポイントは、「提供歯(ドナー歯)」の周囲に存在する歯根膜です。歯根膜の中には再生能力の高い細胞がたくさん含まれています。しかし再生する必要がない状況では、これらの細胞は機能せず眠っているのが普通です。そこに「歯牙移植」という刺激を与えることで、再生能力を持つ細胞を活性化させます。活性化した細胞では骨芽細胞や、歯肉と骨が結合するのに必要な細胞(セメント芽細胞、線維芽細胞など)が通常の6倍以上の勢いで増殖すると言われています。そのため、歯を支える組織:歯周組織も再生し移植した歯と周囲の骨をつなげられるというメカニズムが働きます。

<歯の移植を成功させるためには>

1.移植歯の周りに満遍なく歯根膜が存在する
2.移植歯の全周を密に囲める歯肉が移植する場所に存在する
3.移植歯の歯髄腔、神経の走行が単純である

年齢や、歯牙の形態などの条件もありますが、可能であれば自家歯牙移植を積極的に提案しています。

4.インプラント

インプラントは、天然歯と同じように噛めることができる治療法の1つです。欠損様式によってはとても有効な補綴治療方法になります。しかしインプラントも完璧な治療ではなく、天然歯との決定的な違いが存在します。それが歯根膜の存在の有無です。

天然歯と比べるとインプラントは歯根膜が無いので、どうしても噛み心地が劣ってしまいます。インプラントと歯根膜の関係、インプラントの噛み心地について詳しく解説していきます。

①咬合関係
歯根膜が無いインプラントは、噛む時の圧力を顎の骨が受け止め強い力がかかりすぎると骨が吸収されてしまう場合があります。そこで大事になるのが、噛み合わせの調整です。インプラントに強い圧力がかかって骨吸収が起こりにくくするために、他の歯とのバランスを見ながら噛み合わせの調整をします。定期的に噛み合わせの調整をすることで、より長くインプラントを使い続けることができます。

②神経感覚
歯根膜には知覚神経が通っています。そのため天然歯は神経感覚があります。この知覚神経は、強い力が歯にかかった場合、脳に力を弱めるよう信号を送る働きをします。強い力が歯にかかってもダメージを少なくすることができるのです。殻や砂などの固いものをガリっと噛んだ時に瞬時に反応が可能です。一方歯根膜が無いインプラントは、もちろん知覚神経もありません。強い力がかかっていても知覚神経が無いため脳が察知することができません。強い力が頻繁にインプラントにかかると被せ物が欠けたり、インプラントの根の部分が折れたりする可能性もあります。

③血流
天然歯は、歯茎、歯根膜、顎骨の3つから血液供給があります。血液には細菌から組織を守る役割があるため、血液供給が多いほど細菌感染のリスクが低くなります。インプラントの場合、歯肉と顎骨の2つの血液供給しかないので天然歯と比べると細菌感染のリスクは高くなる傾向にあります。


天然歯周りに存在する歯根膜は僕たちの口腔内機能にとても重要な組織になります。“歯根膜があるから”可能な治療も多くあります。骨の再生は可能でも、歯の再生はまだ不可能です。自家歯牙移植を行い、インプラントに埋入時期を送らすことができればとても効果的な治療だと思います。むやみに親知らずを抜かず、健康な状態で残しましょう!