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MFT④ 話す機能

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日も昨日に続きMFTについてお話しします。今日は話す機能についてです。


【目次】

1.食べる機能について(→10月15日のブログ
2.呼吸の機能について(→10月16日のブログ
3.話す機能について
∟①発音器官の器質的な問題

国立 歯医者 MFT

話す機能について

話す機能の困りごとは、
①発音器官の器質的な問題
②舌突出癖を伴うもの
③発音の発達段階にあるもの(誤った発音の癖)
④発音以外の問題を伴うもの  に分類できます。

発音の何が問題になるのか?

「発音障害」(構音障害)とは、話しことばのなかのある決まった音が正しく発音できず誤りが習慣化した状態のことをいいます。発音障害の一番の問題点は、日常のコミュニケーションに支障をきたすため、子どもが心理的影響を受けることです。発音障害のために相手に言いたいことが伝わらないと,イライラしてしまったり、自信をなくしてしまったり、子どもによっては何度も聞き返されることで自分から話さなくなることもあります。

「発音がはっきりしない」
「赤ちゃんことばがいつまでも抜けない」
「O行音が言えない」
「話すときに舌が前に出る」などの訴えを多く聞きます。また「上の子はちゃんと話せるようになったのでそのうち上手に話せるようになるだろう」と様子をみていたという保護者の方が、幼稚園・保育園や習いごとの先生、祖父母などから指摘を受けて相談に訪れることもあります。発音に関わる問題は病院・療育施設などの言語聴覚士や小学校の言語通級指導教室の教諭などが専門家として対応をしますが、日々の歯科診療のなかでも発音の問題に対してアドバイスできることは多くあります。

発音のチェックの仕方について

絵本やカードを使って発音してもらいチェックしましょう。子供の発音を聞いて発音の誤り(省略・置換・歪み)がないかを確認します。

<省略>
音(子音と母音)の子音の部分が抜けて母音に聞こえる誤りのこと。年齢が低い子供に多くみられます。(ッパ→ッパ、ミン→ミン)

<置換>
音(子音と母音)の子音の部分が他の子音に置き換わる誤りのこと。置き換わった子音は日本語として正しい音です。子供の発音の誤りで最も多いです。(ラス→ラス、カナ→シャカナ)

<歪み>
省略でも置換でもない誤りのこと。音としてひらがなに当てはめることができないもの。(ル→サの部分がシャとヒャの中間の音に聞こえる)

子供の発音の発達について

子供の発音は身体や心、ほかの口腔機能と同様に発達の途上にあります。子供の発音の誤りが年齢相応の誤りなのか、またはそうではないのかを判断するには、発音の発達過程を理解しておく必要があります。日本語の音のなかには、比較的早期に獲得される音と獲得までに時間がかかる音があります。

3歳ごろまで母音、パ行音、バ行音、マ行音、ヤ行音、タ行音(ツ以外)、ダ行音(ヅ以外)
3歳代カ行音、ガ行音
4歳代ワ行音、ナ行音、ハ行音
5歳代サ行音
6歳代ザ行音、ツ、ラ行音

音の獲得の時期や順序は個人差が大きいです。兄弟でも違います。子供の発音は全体的な発達や言語発達との関わりが深いです。子供の全体の発達を捉えながらバランスを考えて判断することが重要です。

①発音器官の器質的な問題

歯列・咬合の問題がある場合や、舌小帯付着以上がある、鼻咽腔閉鎖機能不全が疑われる場合です。

下顎前突や開咬症例では舌が上下の歯の間から出てしまい、歯間音がみられることがあります。サ行音が英語のthのように聞こえたり、全体的にぺたぺたとした舌足らずな話し方に聞こえてしまいます。発音時のみ舌突出がある場合は歯列形態の影響が大きいと考えられるため、矯正治療をお勧めします。咬合関係が改善すると発音が自然に治ることがあります。

舌小帯付着異常だけで発音の誤りが起こることはほとんどありません。舌の随意運動機能に影響がある場合は必要に応じて切除術を行います。

②舌突出癖を伴うもの

発音時だけでなく安静時・嚥下時にも舌突出がみられる場合、MFTを積極的に行います。MFT後にも発音が改善しない場合は言語の専門家の指導が必要になります。

オススメのMFT
スポット
ポッピング
オープンアンドクローズ
ガムトレーニング
ポスチャー

③発音の発達段階にあるもの

5歳未満の場合、発音練習は行わず経過観察を行います。発音は咀嚼・嚥下・呼吸などの口腔機能と密接な関係にあり、口腔機能の発達を促すことは発音にも良い影響を与えます。楽しく声を出して遊び口唇や舌をよく動かすようにしましょう。
5歳程度になって発音の誤りが変化しない場合には言語の専門家による発音指導の適応となります。

④発音以外の問題を伴うもの

発音の誤りの背景に、発達の遅れや発達障害が潜んでいる場合もあります。小児科や療育施設との連携も必要になります。また聴力が低下した状態が長く続くと発音の発達に影響します。アレルギー性鼻炎や鼻づまりは口唇閉鎖不全や口呼吸、低位舌、舌突出癖などの原因にもなります。耳鼻咽喉科への受診も必要であればお伝えします。


発音は口腔機能の一部です。咀嚼・嚥下・呼吸などのさまざまな口腔機能の発達は,発音の発達にも大きく関わります.口唇や舌など発音に必要な器官が上手に動かせるようになると正しい発音が自然に獲得されることがあります。また、発音指導前に正しい口唇と舌の安静位や咀嚼・嚥下パターンが身についていると発音指導がスムーズに進みます。歯科だけでなく耳鼻咽嗾科・小児科・言語の専門家、療育施設や教育機関など、専門家同士が常に連携できるネットワークをもつことが大切です。