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審美治療について②

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。金曜日の今日は、審美治療に関するお話をさせていただきます。

国立 歯医者 審美

参考にした論文は以下のものです。

Spear FM, Kokich VG, Mathews DP:  Interdisciplinary management of anterior dental esthetics.  J Am Dent Assoc. 2006 Feb;137(2):160-9.

FrankSpear
Dr.Spearはワシントン大学歯学部にてDDSを取得後、 同大学で1982年に歯周補綴の MSDを取得した。その後、同大学の卒後補綴コースの准教授に就任した。 また、審美歯科、歯冠補綴を専門にシアトルで開業している。 Seattle Institute for Advanced Dental Educationの創設者であり 理事でもある。Dr.Spearは今日、世界における審美歯科、修復歯科の先駆者の l人として讃えられている。



VincentG.Kokich
D.rKokichはシアトルのワシントン大学歯学部歯科矯正学の教授であり、タコマで矯正専門医 として開 業している 。 数多くの著書や科学論文ならびに総説論文を出版し 、 世界中で750回以上の表を行ってきた。また、国内外の多くの受賞経験を有し、 最近では The2005Distinguished A lumnus Award from the University of Washington School of Dentistryを受賞した 。

【目次】
1.時代背景
2.目的
3.内容
∟(1)審美
∟(2)機能
∟(3)構造
∟(4)疾病

1.時代背景

 1980年台は歯科治療における重点は「虫歯によって失われた硬組織の修復」がメインであったが、予防が普及し、虫歯や歯周疾患が減少すると、審美に対する意識が高まってきました。虫歯を治して長く機能させ(保存し)、噛み合わせ•咀嚼を回復させ(咬合との調和)、最後に審美面が評価されていました。しかし、このような虫歯などの症状ををスタールとする治療計画や治療結果の場合、最終的な審美的な結果が理想的にいかないことがしばしばありました。これを受けて著者は審美をスタートとした治療計画立案システムを考案しました。

 このシステムでは、①審美(Esthetics)→②機能(Function)→③構造(Structure)→④疾病(Biology)の順番で症例分析を行います。この方法では、常に最終的な審美的結果を念頭において治療が進行するため、最良最善の審美的結果を得やすいという利点があります。難しい症例では、各分野の専門医同士が協力して、それぞれの役割を理解し最大限発揮しなくては審美的結果を達成することが不可能な場合があります。→インターディシプリナリーアプローチ

国立 歯医者 インターディシプリナリーアプローチ

©︎2008 by Quintesence PublishingCo,Inc.

2.目的

本論文の目的は、顎顔面の審美をシステマティックに評価・診断する手法を説明することです。

3.(1)審美

審美性の獲得には①上顎歯の位置 ②上顎歯の歯肉の位置 ③下顎歯の順に決定していきます。

①上顎歯の位置(Tooth Position)
 審美をスタートとした治療計画立案を行うとき、必ず上顎前歯部切縁の上口唇に対する位置の評価から始めなくてはなりません。この評価は患者さんの上唇が安静位にある状態で行われ、上顎前歯部の露出量が測定され、「許容できる」「許容できない」いずれかの診断がつきます。患者の上顎前歯の露出量は年齢に応じて減少していくことが知られているため、この診断は、患者さんの年齢に応じて決定されます。
 次に、患者さんの歯列の正中です。3-4mmの歯列の正中の顔面正中に対するズレは一般人からすると問題にならないとの報告があり、より重要なのは中切歯正中歯軸の傾き(Cant)です。もし上顎中切歯が2mm以上右あるいは左に傾いている場合、これは一般でもすぐに審美的ではないと認識されるとの報告があります。トムクルーズの歯のズレは、歯科界ではよく話題になります。

国立 歯医者 正中



続いて前歯の頬舌的な傾きです。これはセファログラムや上顎前歯部の咬合平面に対する傾きを診査することで評価できます。理想的な上顎前歯部の位置が決定された後は、上顎臼歯部の咬合平面をこれに合わせて評価していきます。これら上顎前歯切縁、小臼歯および大臼歯の頬側咬頭頂は患者さんが笑ったときの下口唇との関係によって決定されます 。患者さんの下口唇が非対称の場合は瞳孔間線を参照にします。

②上顎歯の歯肉の位置
上顎前歯の位置に続いて重要なのが各歯の歯肉縁の位置(Gingival Levels)の評価です。適正な位置を決定するキーとなるのは、理想的な切縁の位置に対する歯の適正な大きさのバランスであり、歯肉の露出量、左右対称性を決定することによって歯の理想的な見た目が獲得されます。次に、歯間乳頭の位置を評価することが重要です。

③下顎歯
上顎前歯の審美的な形態が確立されたら、次は下顎前歯の評価に入ります。顔面に対する下顎前歯部切縁の位置、安静時における露出量を診査し、下顎前歯部の適正な位置を決定します。この後、上顎同様、下顎前歯部の臼歯部咬合平面との関係を診査し、最後に下顎前歯の唇舌的な傾きが評価されますが、最終的な下顎前歯部の位置は通常次のステップで決定されます。

3.(2)機能

(1)で決められた上下顎の歯の審美的に理想的な位置を基準として、どの歯にどのような処置が必要かを決定でき、どのように上下顎の歯列に対し、機能=顎機能と調和した咬合関係を構築するかを計画できるようになります 。審美的要素によって立案された治療計画を機能的な咬合とリンクさせるためには、顎関節と咀嚼筋群の評価が必要です。中心位で模型を咬合器装着することが最も重要です。

3.(3)構造

理想の審美的設計を考慮した治療のゴールが決定され、咬合器上で診断用ワックスアップによって機能的にも問題ないかチェックが済んだら構造(Structure)を診査します。どのような種類の補綴物にするか?どのように維持するのか?欠損部位をどのように補綴するか?そのためにどのような外科処置が必要か?などの各項目を精査していきます。

3.(4)疾病

患者さんの生物学的、免疫学的な側面が考慮されます。歯内療法や歯周治療、顎矯正手術などが含まれます。ここでの目的は、健康な口腔環境を整えることです。

審美的な要素を兼ね備えた全額的な治療は難易度が高くなります。さらに、顎との機能の調和、口唇の動きに合わせた排列など、多くの要素が絡み合っています。次回、審美をテーマにする際にスマイルラインについて次回詳しくお話しさせていただきます。