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審美治療について③

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は、先週に引き続き審美治療に関するお話をさせていただきます。

国立 歯医者 論文

前回、トムクルーズの写真とともに傾きに関してはすぐ気付くが、水平的なずれに関しては気付きにくいというお話をさせていただきました。その根拠となった論文についてお話しします。


【目次】
1.目的
2.方法
3.結果
4.教科書のまとめ


1.目的

前歯の大きさ、位置、周囲軟組織(歯肉)との関係において、それぞれの要素にどの程度のズレがあると人は「審美的ではない」と判断するかを調べる。

2.方法

矯正医60人と一般人74人、一般歯科医57人による評価を行った。
スマイル写真に対して、
①歯の長さ
②歯の幅
③歯の傾き
④正中
⑤ブラックトライアングル
⑥歯肉レベル
⑦切歯平面
⑧歯肉の露出量
の8項目に関して、フォトショップによる加工修正•操作後、合計40枚の写真がランダム化され、それぞれの写真が被験者にとってどれくらい「審美的か」をVAS(Visual Analog Scale)による評価が行われた。

3.結果

①歯の長さ
中切歯の長さを0.5mm刻みで減少させて比較した。
一般人は2mm、一般歯科医師は1.5mm、矯正医は1mm歯が短くなった時点で違和感を認識した。

②歯の幅
側切歯の幅を1mm刻みで減少させて比較した。
一般人は4mm、一般歯科医師と矯正医は3mm幅が減少した時点で違和感を認識した。

③歯の傾き
切歯を患者の右側に向かって1mmずつ傾斜させて比較した。
全てのグループが2mmの傾きの時点で違和感を認識した。

国立 歯医者 審美


④正中
歯列正中を1mm刻みで患者の左に向かって移動させていった。
4mmの移動で矯正医のみが違和感を認識した。一般人、一般歯科医師は違和感を覚えなかった。

国立 歯医者 審美
国立 歯医者 正中



⑤ブラックトライアングル
中切歯コンタクトを切縁に向かって1mm刻みで移動させてブラックトライアングルを作り出した。
一般人、一般歯科医師は3mmの時点で、矯正医は2mmの時点で違和感を認識した。

⑥歯肉レベル
側切歯歯肉縁を0.5mm刻みで移動させていった。
いずれのグループも違和感を認識しなかった。

⑦切歯平面の傾き
上顎前歯部を中切歯切縁鼓形空隙の中点を基準に1mmずつ回転させていった。
一般人は3mm、一般歯科医師と矯正医は1mmの回転で違和感を認識した。

国立 歯医者 審美



⑧歯肉の露出量
上唇から歯肉縁までの距離を2mm刻みで増加させていき、ガミースマイルを作り出して比較した。
一般人と一般歯科医は4mm、矯正医は2mmの歯肉露出を「審美的ではない」と判定した。

4.考察

いずれのグループも「傾きのズレ」に敏感に反応したのに対し、「正中のズレ」には鈍感であった。正中よりも前歯や咬合平面の傾きをしっかり観察することが重要であり、歯列正中に関しては多少顔面正中からズレていても問題は少ないと考えられる。一般的に、矯正医>一般歯科医>一般人の順で、より細かな差に気付く傾向にあった。


国立 歯医者 インターディシプリナリーアプローチ

前回紹介したこの教科書も、内容を整理してお話ししていきます。

<審美歯科治療のための 優先事項と段階的な審美分析法>

優先事項 1:スマイルライン(切縁線)

国立 歯医者 スマイルライン

スマイルライン(上顎切縁線)の形態は 4つに分ける。凸型、平坦型、凹型、 超凸型であ る。 凸型が一般的には好ましい。ただし、患者さん自身が現在のスマイルライン形態を良好と考えているかどうかを判定することがきわめて重要である。この判定には、コンポジットレジン製の診断用修復物を活用するのが理想的であるが、遅くともプロピジョナル ・レストレーションを装着している期間内に決めておくべきである。

国立 歯医者 スマイルライン

下口唇の形態は治療の初期段階で把握しておくことが重要である。通常、 下口唇が平坦な形態の場合、 凸型のスマイルラインを付与するのには無理がある。ただし、プロピジョナル ・レストレーションを活用してわずかな凸型スマイルラインを付与し、これを口腔内で検討した後に、セラミストへ正確に情報伝達して最終修復物を製作する段階を踏めば、可能なこともある。言い換えるならば、下口唇の形態が平坦な症例は治療の早期の段階で判別し、要注意事項として術者は認識せねばならない。

そして 、 プ ロピジョナル ・レストレーションの装着中にスマイルラインの形態を細心の注意を払いつつ調整すべきである。スマイルラインの形態の変更は歯の長さの修正を意味する。その場合には、患者さんが修正内容を具体的に確認して承諾できるようコンポジットレジン製の修復物またはプロピジョナル ・レストレーションを用いて試験的に評価しておくべきである。


優先事項 2 :切縁の唇舌的位置

国立 歯医者 スマイルライン

術前の切縁の唇舌的位 置をそのまま模倣して用いるのか、または、唇側へ出っ強りすぎているから、 切綿を舌側方向へわずかに移動させるか、あるいは、舌側へ引っ込みすぎているから切縁を唇側方向へ移動させるかの判定である。


優先事項 3 :切縁の長さ

国立 歯医者 スマイルライン

安静時の上口唇に対する切縁の露出量の計測と記録
 VigとBrundo(1978年)は、安静位における上口唇に対する切縁の露出量を計測し、患者の年齢、性別、および上口唇の長さとのかかわりあいによって 数値が異なることを報告している。この研究が実施された時代には、総義歯の教科書にだけ審美歯科についての情報が述べられていたことを知っておくことが重要である。総義歯製作時にロウ堤の上顎切歯部の高さを上口唇下緑よりも2mm長く作っておくという当時普及していた定説に対して、 VigとBrundoが質問を投げかけたのは秀逸な指摘と言えよう。彼らの研究結果によれば、若い患者、女性患者、あるいは上口唇の短い患者では切縁露出量の平均値は約3.5mmであった。研究報告後、すでに30年を経過しているが、私は彼らの研究結果を現在の審美歯科患者にも適用させてもらっている。安静時の上口唇の位置に対する切歯の正常な切縁露出量を 3つに分類する。

国立 歯医者 黄金比


上顎中切歯の長さの計測
 上顎の両側中切歯の長さは10~ 11mmの範囲にすべきである。少なくとも10mmの長さである理由は中切歯の良好な形態の比率を維持するためである。もし、治療前に中切歯の長さが10mm未満と判明したら、治療計画段階で見逃している事項があると考え、長さを増す量については歯の切縁側または歯肉側のいずれが妥当かを検討する。顔面の長さと切歯の長さに関する相関については科学的に証明されていないのではあるが、顔面が短い症例では中切歯は10mmとし、一方、顔面が長い症例では中切歯は 11mmの長さに設定するのが良好で、、一般的に患者に承認されやすい。これらの見解は基本的なものであ り、中切歯の長さは顔面の長さ(安静時の上口唇の位置)で決まり、そのことからすると、 中切歯の正常な歯冠長は 10~ 11mm になることが多い。

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優先事項 4:上顎中切歯の歯冠長と歯冠幅の比率


上顎中切歯の歯冠長と歯冠幅の比率は見た目が審美的に良好な感じであることが不可欠で、ある。このス テップでは、中切歯の比率を(1)釣り合いがとれた状態(図 1-17a)、(2)細く、長い状態、 (3)幅 広 く 、 短 い 状態(図 1-17b)に分類し、記録しておく。一般的な法則としては、 上場i中切歯の良好に見える幅と長さの 比率は75%から80%の間にある(図 1ー17c)。もし比率が70%以下だと、中切歯は細すぎるように見えるし、 85%以 上 だ と 短 す ぎ る か 、 四 角 ( 方 型 ) す ぎ る よ う に 見 え る 。 こ の 比 率 に 従 え ば 、 10mm の 長 さ の 中 切 歯 は 幅が7.5~8.0mm ならば良好に見えると予測でき、同様にl1mm の長さの中切歯ではその幅は8.5~9.0mm であれば良好なことになる。



優先事項 5:前歯の大きさの比率


 中切歯から第一小臼歯にかけては連続性のある適正比率でなければならないと述べている。もっとも調和した連続性のある比率は中切歯、側切歯、犬歯、そして小臼歯が黄金分割比率に見えることだと説明している報告もある。



優先事項 6 :歯肉縁の形態

歯と口元をより美しく見せて、良好な審美性を構築するには、両側中切歯部の歯肉縁の形態が対称性でなければならない 。また歯肉縁の形態は、 中切歯と犬歯の歯肉縁のもっとも高い部分を結んだ仮想線よりも、側切歯の歯肉縁が切縁寄りに l.0~ l.5mm 低く位置する状態が正常とされている。さらに前歯部の歯肉縁の形態は上口唇の形態に沿うのが良好である。


優先事項 7 :望まれる充満度


審美歯科の最終段階においては、上顎部が狭く見えすぎないか、あるいは充満度が不均一でないか、さらに前歯部から臼歯部へ向かうにつれて充満度が不足している状態を補うために頬側部分の豊隆を増やして充満させるべきかを決めることになる。この決定には主観が重きを占めるため、患者の期待する願 望と経済的配慮が大きな要因になる。

<まとめ>

国立 歯医者 審美

審美的かつ機能的な修復にはチェック項目が多く、患者さんと擦り合わせながら進めていくことが重要になります。