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歯周治療について②

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は、歯を喪失する原因一位の歯周病について、その中でも特にメンテナンスの重要性についてお話しします。また歯周病に関する以前の記事も合わせてお読みください。


【目次】
1.メンテナンスの重要性
2.歯の価値
3.全身への影響
4.歯周病治療の流れ


1.メンテナンスの重要性

国立 歯医者 歯周病

以前にも「歯の喪失原因一位」や「世界で最も一般に蔓延している感染症」ということはお伝えしてきましたが、現在では患者さんみなさんの努力もありかなり管理されてきているのも事実です。

国立 歯医者 歯科疾患実態調査

「20本以上の歯を有する者の割合」は、すべての年齢階級において近年増加傾向にあります。「8020達成者の割合」(80歳で20本以上の歯を有する者の割合)は、75歳以上85歳未満の8020達成者の割合から、51.2%と推計されます。平成23年歯科疾患調査の40.2%から、平成28年調査では過去最高になり、初めて50%を超えました。しかし、歯が多く残っている方とそうでない方には大きな特徴がありました。

国立 歯医者 残存歯数

定期健診は将来的に残る歯の本数に大きく関係します。定期健診を受けている方は圧倒的に現存歯数(残っている歯の本数)が高くなっています。治療によって得られた健康なお口を良い状態で保つため、また将来、虫歯・歯周病などで歯を失うことが無いように、定期的な受診をおすすめしております。

50代に歯牙喪失の偏曲点が訪れます。55歳を境にそれまでの30年と、その後の30年で喪失する歯の本数に大きな差があります。これは、抜歯が行われたタイミングのため歯周疾患の発症はこの数十年前になることも珍しくありません。

国立 歯医者 残存歯

医療大国•予防先進国のスウェーデンやアメリカでは80歳以上の方の歯の残存数が平均26本もあります。それに比べて日本の結果は9本です。加齢とともに歯が減ってしまうのではなく、メンテナンスをしっかり行っているかどうかが大きな違いになります。

日本の定期検診とクリーニングをうけている割合はわずか2%ですが、虫歯が世界一少ないといわれるスウェーデンや、ヨーロッパの先進国では検診とクリーニングを受けることは当たり前のことみたいです。その結果が歯の残存数に反映されています。

国立 歯医者 費用

年間の支出のバランスについて調べて調査の結果です。歯科にかけている費用は約1万です。歯の表面のエナメル質は皮膚と同じ外胚葉性由来です。皮膚の美容に費用をかけるのと同じくらい、歯のメンテナンスにも費用がかかります。よく歯のことを食器などと例えて話をすることがあります。きれいに洗われてピカピカにメンテナンスされた食器と、かけていたり、切れ味の悪いナイフ、汚れがついている食器…どちらがいいでしょうか?
普段毎日使うものですので、車のメンテナンスや管理費と同様に日々のメンテナンスが必要になります。さらに歯は美味しい食事、健康な体を維持する上でとても重要になります。

当院でも保険適応•自費治療ともにメンテナンスのメニューがあります。患者さんの口腔内に合わせてメンテナンスメニューの選択や間隔を指示させていただきます。スウェーデンのアクセルソン博士が提唱した歯のクリーニング方法PMTC:Professional Mechanical Tooth Cleaningについても特集させていただきます。


2.歯の価値

 お金の話になりますが、歯の価値について見ていきましょう。歯の一本の価値はどれくらいでしょうか?日本国内の歯に関するいくつかの裁判において1本で約100~150万円の価値があるという判決が下されたことがあります。ヒトの歯は親知らずを含めて上下左右4×8=32本存在します。お口全体でも約3200〜4800万の価値があります。

具体的に、

25歳から80歳までの55年間
3ヶ月に1度のメンテナンス(¥5500)


を続けた場合の費用について見ていきましょう。

1年間:¥5500×4=¥22000
55年間:¥22000×55=¥1210000です。

日々のメンテナンスの結果、26本の歯を残すことができた場合、6本喪失したことになります。
6番目までの歯が残っている場合、咀嚼能力に大きな影響はないというデータもあるため特別な補綴処置も必要ない場合もあります。

次に、メンテナンスを行わなかったケースです。
先ほどのグラフから偏曲点を迎える50代の平均残存歯数は16本です。約半分の歯を失っていることになります。さらに、他の歯も歯周疾患に罹患している可能性も高く、咀嚼能力も著しく低下しています。

インプラント、入れ歯、ブリッジなどいくつか選択肢がありますが、インプラントを用いた治療方法で比較してみましょう。(#1~#4 上下左右前歯から4本ずつ残っている場合)

6番目までの噛み合わせを回復させるためには、インプラントが少なくても4本以上必要になります。(理想は2本ずつ埋入8本、前歯などの状況によっては本数が増えることがあります。)今回は最低限の本数でシュミレーションしています。

インプラント1本を45万として考えた場合、約180万かかることになります。
インプラント埋入前に全顎的な歯周治療を行う必要があります。(保険適応可能)その後歯周病の病状が安定してからの外科処置になり、治療期間も半年から一年以上かかることもあります。さらに、治療後のメンテナンス、セルフケアも自分の歯と比べると難しくなるため定期的な通院が必要です。

約120万で健康的な自分の歯 と 約200万で補綴した歯

経済的にも長い目で見れば定期的にメンテナンスに通われてた方が、結果的に費用が安くすみます。


3.全身への影響

国立 歯医者 歯周病 全身への影響

歯周病は口の中だけの病気ではなく、全身の健康にも関係しています。

現時点でオッズ比を持ってリスクファクターと証明されているのは、

  • 喫煙
  • 糖尿病、その他の全身疾患
  • メンタルストレス
  • 人種
  • 過去の歯周病罹患歴(家族歴も)
  • 宿主の防衛機構
  • 口腔衛生の不備
  • 教育水準、社会経済的ステータス
  • メンテナンスの習慣
  • 遺伝

<歯周病と関連があるとされる全身疾患>

  • 糖尿病
  • 心血管障害
  • 脳梗塞
  • 誤嚥性肺炎
  • 早産
  • 骨粗鬆症
  • 自己免疫疾患
  • メタボリックシンドローム

2018年6月に「歯周病の新分類」がアメリカ歯周病学会(AAP)・ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)より公表されました。

国立 歯医者 歯周病新分類
国立 歯医者 歯周病新分類


この分類については後日これだけで詳しくお話しします。評価の修飾因子のリスクファクターに喫煙と糖尿病がしっかり記載されました。これにより以前よりさらに、これらリスクファクターが歯周病に強く影響するということが言われるようになりました。歯周病が改善しない理由に、血糖値のコントロールができていないことや喫煙が組み込まれるようになりました。そのため、歯科医師が歯周病治療のために禁煙指導をしたり、血糖値管理を指導することも重要になってきました。

4.歯周病治療の流れ

標準的な歯周病治療の流れ(保険適応の場合)についてです。日本歯周病学会に指針を参考にしています。

国立 歯医者 歯周病治療

①問診•歯周組織検査
②緊急治療
③歯周基本治療(原因除去治療)
④再評価
⑤歯周外科治療
⑥再評価
⑦口腔機能回復治療
⑧再評価
⑨SPT  ※検査の後に不要なステップはスキップできます。

歯周組織検査については以前投稿しましたので、次回この流れで各項目を詳しく説明させていただきます。よろしくお願いいたします。