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歯周治療の流れについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日のメンテナンスに続き、歯周治療の流れについて説明します。

【目次】
1.歯周治療の流れ
2.歯周外科の種類と目的


国立 歯医者 歯周病治療

①問診•歯周組織検査
②緊急治療
③歯周基本治療(原因除去治療)
④再評価
⑤歯周外科治療
⑥再評価
⑦口腔機能回復治療
⑧再評価
⑨SPT  ※検査の後に不要なステップはスキップできます。

1.歯周組織検査

以前の投稿をお読みください。

2.緊急治療

主訴の改善が患者さんとの信頼関係を築く上でも有効になります。たとえば、急性発作による腫脹に対して切開排膿して抗生物質を投与したり、動揺により咀嚼障害が見られる場合、暫間固定を施した上で咬合調整をするなどが含まれます。

3.歯周基本治療(原因除去療法)

主因を除去するために最も重要なのは患者さんによるセルフケアの確立です。緊急処置が奏功して信頼関係が芽生え始めていれば患者さんのコンプライアンスも高めやすいです。基本治療は歯周組織の炎症を改善し、その後の治療効果を高める目的をもちます。プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング、プラークリテンションファクターの除去(不適合修復物の除去)、咬合調整、暫間固定、抜歯などが行われます。

①患者さんによる口腔清掃
②プラークリテンションファクターの改善
(術者による口腔清掃の効果を高めるための環境の整備として不適合修復物の撤去、修正)
③歯肉縁上の歯石除去と根面のプラーク除去
④ルートプレーニング
⑤必要に応じて暫間固定と咬合調整

4.再評価

患者さんのセルフケアについての評価や基本治療に対する組織の反応の評価を行います。口腔内写真などの資料提示により患者さんと治療の進捗について共有することが有効です。この評価によって治癒と判断した場合はメンテナンスへ移行できるが問題が残る場合には外科治療の検討がされることになります。

5.歯周外科治療

歯周外科治療にはいくつか種類があります。

(1)組織付着療法
根面の汚染物質を明視野で除去することを目的とします。骨切除や骨整形は通常行いません。フラップは元の位置に戻します。
ODF/Modified Widmann/ENAP/Pocet curretageなどがあります。

(2)歯周組織再生療法
さまざまな形態の骨欠損に対し再生を期待します。深く狭い垂直性骨欠損が適応です。
GTR/EMD/骨移植などがあります。

(3)切除療法
根面の汚染物質を除去するとともに骨形態を骨切除•骨整形によって修正、歯肉を切除しポケットを浅くすることを目的とします。
歯肉切除術/歯肉弁根尖側移動術/骨切除術/骨整形術などがあります。

(4)歯周形成手術
歯肉歯槽粘膜の形態的安定をはかることで審美的改善と歯周病の進行抑制を目的とします。
小帯切除術/歯肉弁(根尖側・側方・歯冠側)移動術/FGG/CTGなどあります。

6.再評価

外科治療の結果を評価し、次の口腔機能回復治療に進める状況にあるかを検討します。

7.口腔機能回復療法

このステージで最終補綴設計が決められます。咬合補綴治療上で決定すべきことは顎位、上顎中切歯の位置、咬合高径、咬合平面、咬合様式などです。また同時にその補綴装置を支持する各歯牙の評価(動揺度、歯根膜腔の拡大の有無、フレミタス、歯冠歯根比など)と、欠損が生じている場合は欠損補綴の方法(固定性、可撤性、インプラント)のいずれかを決定していきます。

8.再評価

この再評価は、患者さんが快適に咀嚼機能を回復しているか、発音に問題ないか、審美的に許容される範囲にあるかを評価するとともにポケット値、出血、補綴物の清掃性、フレミタス、歯根膜腔の拡大の有無などを通して炎症のコントロールと咬合性外傷のコントロールが達成されているかを評価します。

9.SPT(Supportive Periodontal Therapy)

SPTは歯周治療により病状安定となった歯周組織を維持するための治療です。

①病状安定部位を維持、治癒させるために治療
②新たな歯周病発症部位の早期発見
③良好な歯周組織環境の維持

が目的です。内容はプラークコントロールの徹底(口腔衛生指導)、PMTC、スケーリング、ルートプレーニング、ポケット内洗浄、ポケット内抗菌薬投与(LDDS)、咬合調整などがあります。


<歯周外科の目的>

歯周外科の目的

  • 歯根根面のアクセスを得る
  • 軟組織•硬組織の除去や形態修正によるポケット除去
  • 病的な歯周組織を除去し新付着や軟組織•硬組織の再適合のための好ましい環境を作る
  • 歯肉•歯槽粘膜に不足や欠損の修正
  • 口腔清掃やメンテナンスがしやすい組織形態に確立
  • 増大、過成長の軟組織を減少させる、あるいは軟組織•硬組織の不足する部位に対する組織増大を行うことによる審美性の確立
  • 歯冠修復のための好ましい環境の構築
  • 排膿路の確保や歯周組織の緊急の問題対応
  • 治療の予後を確定する、または向上させる
  • バイオプシーと診断
  • 再生療法

このなかでも重要なのは、歯周ポケットを除去し長期に安定した歯周組織を獲得することです。

エムドゲイン

国立 歯医者 エムドゲイン

エムドゲインとは,ブタの歯冠および歯根上の硬組織の形成に先だって生成されるエナメルタンパク質複合体を主成分とした,歯周組織再生を目的とする物質です。最近の研究で,ヒトの歯根形成期にヘルトヴィッヒ上皮からエナメルマトリックスの主成分であるアメロジェニンが分泌され、歯小嚢の間葉細胞に作用して無細胞性セメント質を形成することが証明されました。この無細胞性セメント質の形成に引き続き,歯根膜および歯槽骨の形成が起こることも明らかになっています。すなわち,ヒトの骨欠損をともなった歯根面にエムドゲインを作用させることで,セメント質,歯根膜,および歯槽骨を含んだ歯周支持組織をある程度再生させることができます。

※保険適応外になります

リグロス

国立 歯医者 リグロス

リグロスとは、FGF-2(塩基性線維芽細胞増殖因子)という増殖因子を主成分とした、世界初の歯周組織再生医薬品です。成長因子の作用によって細胞の増殖が促進され、歯周組織の再生が起こります。大阪大学の村上伸也教授が25年の研究をへて開発した歯周組織再生医薬品です。

保険適応の歯周組織再生医薬品であり、保険治療の範囲内で使用することが可能です。

歯周治療の流れについてお話ししました。他院で難しいと言われたケースでも一度ご相談ください。