国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

ブログ

フッ素について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。

今日は歯を強化して虫歯予防に効果のある、フッ素についてお話しします。みなさんフッ素に関してどれくらいご存知でしょうか?フッ素の作用、方法、メリットデメリットや注意点をお話します。


【目次】
1.フッ素の虫歯予防効果について
2.フッ素の働き
3.フッ素に塗布法
4.フッ素中毒


1.フッ素の虫歯予防効果について

フッ素はなぜ虫歯を予防できるのか?

歯の表面では、歯の成分であるミネラルが溶け出す脱灰と、ミネラルが歯の中に戻って結晶化する再石灰化が繰り返し起こっています。この脱灰→再石灰化のバランスが崩れて、ミネラルが溶け出す脱灰の方が大きくなると虫歯ができます。このバランス、つまり虫歯になりやすいかどうかは、

  • 口の中の細菌の種類や量
  • 唾液の性質や量
  • 飲食の頻度や種類
  • フッ素の利用の仕方やブラッシング方法  などが関わっています。

これらの特徴は個人差が多いため、検査を行い特徴を把握することで、自分の虫歯のなりやすさ、虫歯の治りやすさが推測でき、効果的な予防の対策が取れます。

フッ素が、ミネラルが溶け出す脱灰を抑え、ミネラルが歯の中に戻る再石灰化を助けて、虫歯の発生や進行を防ぎます。また、歯質の強化や口の中の細菌の発育を抑える効果も期待できます。


2.フッ素の働き

<フッ素の働き>

①歯を強くする。

 フッ素が取り込まれ、虫歯に強い溶けにくい歯を作ります。

②再石灰化を促進する。

 自然治癒が可能な初期の虫歯では、治癒を助けることができます。

③虫歯原因菌を抑制する。

 フッ素が歯垢(プラーク)に入り、歯を溶かす酸が作られるのを抑えます。

<フッ素の使用法>

歯科医院で行う場合、家庭用のフッ素より高濃度のものを使用します。歯の生え始めに行うのが効果的です。1年に2~4回の塗布を継続することで20~40%程度の虫歯の予防効果があると言われています。当院では3ヶ月ごとの定期検診をお勧めしています。


3.フッ素塗布の方法

①歯面塗布法

 丸めた綿や綿棒や歯ブラシにフッ化物を浸して、歯1本ずつにフッ素を塗る方法です。トレー法やイオン導入法に比べて短時間で終わらせることができるため、1歳の(乳歯が生えた)お子様から大人まで受けられます。

②トレー法

トレー(マウスピース)にフッ化物を入れたものを口にくわえて、3~5分間フッ素を浸透させる方法です。トレーを一定時間くわえることに耐えられるお子様から、大人まで受けられます。 

③イオン導入法
フッ化物を浸した綿や、トレー(マウスピース)にフッ化物を入れたものを口にくわえて、上あごと下あごに分けて各3~4分間、人体には感じない程度の弱い電流を流してフッ素を浸透させる方法です。電流を通すことで、フッ素がより歯の表面により付着しやすくなるとされています。綿やトレーを一定時間くわえることに耐えられるお子様から、大人まで受けられます。※当院では扱っていません。

医療機関で受けるフッ素と歯磨剤に含まれるフッ素は濃度が大きく異なります。

医療機関でのフッ素は9,000~123,000ppmとかなり高濃度で、歯質の強化を特に期待することができます。一方、市販の歯磨剤ぬ含まれるフッ素は濃度が500~1,000ppmと低濃度になり、津王期間使い続けることで再石灰化の促進や酸を作る働きを抑えることが期待できます。これらを併せて行うことで虫歯の予防効果がより高まります。

しかし、フッ素の安全性に疑問を投げかける意見のあり、ご両親の中にはフッ素利用について不安を感じている方もいらっしゃいます。そのような方の不安や疑問にお答えできるようフッ素の危険性についてもお話しします。

なんでもそうですが、決められた量以上を摂取することは良くありません。フッ素の場合もそうで、フッ素の場合過剰摂取をしてしまうと中毒を引き起こす場合があります。フッ素による中毒は急性中毒と慢性中毒に分けられます。


4.フッ素中毒

~急性中毒~

多量のフッ素を誤って一度に摂取した場合、急性中毒を引き起こします。
見込み中毒量は体重1kg当たりフッ素量5mgとされており、症状としては、悪心・嘔吐・下痢などが考えられます。例えば、体重20キロほどの4-5歳児の場合、見込み中毒量はフッ素量100mgとなりますが、これは一般的なフッ化物洗口液(フッ素濃度225ppm)450ml(45回分)を一度に飲み込んだ場合に相当する量です。洗口液450mlを一度に飲み込むことは現実的ではなく、実際の事故例は現在のところありません。

~慢性中毒~

フッ素の慢性中毒の症状としては、現在、骨フッ素症(骨硬化症)と歯牙フッ素症(斑状歯)が確認されています。

(1)骨フッ素症(骨硬化症)

 骨フッ素症(骨硬化症)とは、骨の形成に影響が出てしまう病気で、症状としては関節の痛みや硬直・脊髄や靭帯の石灰化などが挙げられます。骨フッ素症は、インドなどの熱帯地方や中国の乾燥地帯でフッ化物濃度が高い飲料水を利用している地域での報告が多い症状で、>8ppm以上高濃度のフッ化物を含む飲料水を20年以上にわたり摂取し続けると、10~15%の確率で発症するといわれています。日本では水道水の水質基準が定められており、フッ素及びその化合物は0.8mg/L以下と制限されていますので問題はありません。

(2)歯牙フッ素症(斑状歯)

斑状歯とは、歯の表面のエナメル質に白い斑点がみられたり、色素の沈着がみられたりする症状のことを言います。斑状歯の原因はさまざまありますが、そのうちフッ素が原因で起こる斑状歯を「歯のフッ素症」といい、歯の形成される時期(生後~7,8歳)に、2ppm以上のフッ素を含む飲料水を継続的に摂取したことが原因とされています。水や食物の摂取により吸収されたフッ素は、成人であればその90%以上が尿として排出されますが、骨の成長期にあたる子どもの場合、その30~40%が骨の構成成分として取り込まれるため、過剰摂取による影響が出てしまいます。

虫歯予防にフッ素を活用した場合のお口の中に残るフッ素の量は、歯科医院で行われるフッ化物歯面塗布など、高濃度のフッ素を使用した場合でも 1~1.5mgとされています。いずれにしても、毎日飲み込むわけではないので慢性中毒の心配はありません。

全ての患者さんにフッ素塗布をおこなっているわけではないのでご安心ください。希望なさらない方も、遠慮なく伝えていただければと思います。