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喫煙について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は喫煙による影響についてお話しします。

国立 歯医者 喫煙

【目次】
1.喫煙による健康の影響
2.口腔内への影響


1.喫煙による健康の影響

タバコには4000種以上の化学物質が含まれ、そのうち40種類は発がん性物質と言われています。お口の中にはタバコの煙が最初に体の中を通過する場所ですから様々な悪影響を受けてしまうのです。タバコの有害物質は3つあると言われています。ニコチン、タール、一酸化炭素です。ニコチンは依存性があり禁煙しようとしてもなかなか止められないのはこの物質への依存性が原因です。タールは俗に言うヤニと言われるものでこれが強い発がん性物質となります。タバコを吸っていると部屋の壁が汚れて黄ばんだりベタベタしたりするのはタールが原因です。さらにタバコは低い温度で不完全燃焼するため一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は血中のヘモグロビンと強く結びつきます。通常ならヘモグロビンは酸素と結びついて体中に酸素を運搬する働きを担うのですが、一酸化炭素とヘモグロビンが強く結びつくとヘモグロビンと酸素が結びつけなくなり、全身への酸素供給が妨げられるのです。その結果タバコを吸う人は肌の老化が起こったりします。具体的には白髪、目尻のシワ、口周りのシワ、唇の乾燥着色、歯や歯茎の着色、口臭などが挙げられます。

<喫煙者本人の影響>
喫煙はがんをはじめ、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や結核などの呼吸器疾患、2型糖尿病、歯周病など、多くの病気と関係しており、予防できる最大の死亡原因であることがわかっています。また、喫煙を始める年齢が若いほど、がんや循環器疾患のリスクを高めるだけでなく、総死亡率が高くなることもわかっています。

2016年に公表された「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書(平成28年8月)」(通称、「たばこ白書」)で、たばこの健康影響について、疫学研究などの科学的知見を系統的にレビューし、さまざまな項目を総合的に吟味したうえで、たばこと疾患等との因果関係をレベル1~レベル4の4段階で判定しています。下記は、日本人における喫煙者本人への影響(能動喫煙)として、喫煙との関連について「科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である(レベル1)」「科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない(レベル2)」と判定された疾患等です。以下厚生労働省 e-ヘルスネットからの引用です。

<因果関係を推定する証拠が十分(確実):レベル1>

  • がん:肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔・副鼻腔、食道、胃、肝、膵、膀胱、子宮頸部
  • 肺がん患者の生命予後悪化、がん患者の二次がん罹患、かぎたばこによる発がん
  • 循環器の病気:虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、末梢動脈硬化症
  • 呼吸器の病気:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸機能低下、結核による死亡
  • 糖尿病:2型糖尿病の発症
  • その他:歯周病、ニコチン依存症、妊婦の喫煙による乳幼児突然死症候群(SIDS)、早産、低出生体重・胎児発育遅延

<証拠は因果関係を示唆(可能性あり):レベル2>

  • がん:大腸がん、腎孟尿管・腎細胞がん、乳がん、前立腺がん死亡、急性骨髄性白血病、子宮体がんのリスク減少
  • がん患者全体の生命予後悪化、再発リスク増加、治療効果低下および治療関連毒性(治療による副作用がでる)
  • 循環器の病気:胸部大動脈瘤
  • 呼吸器の病気:気管支喘息の発症および増悪、結核の発症および再発、特発性肺線維症
  • その他:う蝕(虫歯)、口腔インプラント失敗、歯の喪失、閉経後女性の骨密度低下、大腿骨近位部骨折、関節リウマチ、認知症および日常生活動作、女性の生殖能力低下、妊婦の子宮外妊娠・常位胎盤早期剥離・前置胎盤、妊婦の子癇前症・妊娠高血圧症候群(PIH)のリスク減少

<他人の喫煙の影響>
喫煙者が吸っている煙だけではなくタバコから立ち昇る煙や喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンやタールはもちろん多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。
受動喫煙との関連が「確実」と判定された肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)の4疾患について、超過死亡数を推定した結果[1]によると、わが国では年間約1万5千人が受動喫煙で死亡しており健康影響は深刻です。

受動喫煙の科学的な研究は、日本の平山雄博士による報告が世界的に知られています。1981年英国医学雑誌に掲載された、重度喫煙者の妻(非喫煙者)の肺がん死亡リスクについての論文では、本人が吸わなくてもヘビースモーカーの夫をもった女性では、肺がん死亡のリスクが約2倍になると報告されています。以後多くの研究がなされ、さらに複数の研究結果をまとめて推計するメタアナリシスも行われています。その結果、現在では受動喫煙による肺がんのリスクは1.28倍(28%の上昇)、虚血性心疾患のリスクは1.3倍(30%の上昇)、脳卒中のリスクは1.24倍(24%の上昇)とされています。さらに受動喫煙は子供の呼吸器疾患や中耳炎、乳幼児突然死症候群を引き起こすことが指摘されています。また、妊婦やその周囲の人の喫煙によって低体重児や早産のリスクが上昇します。

2.口腔内への影響


喫煙は歯周病の最も大きな要因の1つとなります。非喫煙者と比較すると喫煙者の歯周病の罹患リスクは約3倍になります。また歯の喪失は10年以上早まると言われています。ある細菌や年齢糖尿病などよりもタバコによる歯周病の重症度や関連が深いと言われています。

生体の本来の免疫機能が喫煙により妨げられるため歯周病に罹患しやすくなります。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の罹患率が高く重度に進行した人の割合も高いことが報告されています。またニコチンの血管収縮作用により炎症症状が隠され歯周病が進行しても出血などの自覚症状が出にくくなってしまいます。その結果発見が遅れてしまい気づいたら重度の歯周病になっていたことがよくあります。歯茎に赤みや腫れがそれほど目立たないのに歯周組織の破壊が進んでいると言うことです。加えていざ歯周病の治療を始めても喫煙者の歯茎は硬くて沈着物の除去が難しく歯周組織の修復も障害されているため思うように歯周病の治療の効果が上がらないのが現実です。

タバコを吸うと歯の表面にヤニがつくだけでなく口腔がんの発生率が増加する、味覚が鈍くなる、口臭を悪化させたりするなど悪い影響が様々あります。特に注目していただきたいのが歯周病の大きな要因リスクとなることです。1980年代頃より喫煙者と非喫煙者で歯周病の進行に差があることが注目され始め現在では喫煙は歯周病の大きなリスクであることもわかっています。また最近では子供の虫歯発生率や根っこの治療の予後も親が喫煙者か非喫煙者家で左右されるとのデータもあります。

また、喫煙者の歯茎は赤紫色で凸凹としていて硬く乾燥して見えます。特に直接タバコの煙が当たる所ではその傾向がかなり見えます。喫煙者の歯茎の疲労が赤紫色になるのはニコチンの毛細血管の収縮作用と一酸化炭素が原因です。ニコチンの血管収縮作用により歯茎の血行が悪くなります。加えて一酸化炭素がヘモグロビンと結合することにより血液の色も黒ずみます。その結果歯茎は健康なピンク色ではなく赤紫色を呈してしまいます。メラニン色素の沈着も強く見られ歯肉が腫れてしまい繊維性でゴツゴツとしています。これは見た目だけでなく実際に治療していてもそういう風な傾向が強く見られます


喫煙は百害あって一理なし。体にいい事は一つもありません。歯周病も治りにくくな理、リスクファクターとしても挙げられます。当院スタッフはみんな喫煙していません。頑張って禁煙しましょう!