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インプラントについて④
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日も引き続きインプラントについてお話ししていきます。今日はインプラント埋入後の注意点について説明します。
<インプラントって虫歯にならないって本当?>
インプラントは虫歯になりません。虫歯は、天然歯に存在するエナメル質が溶かされることで引き起こされるからです。しかし、インプラント治療後は「インプラント周囲炎」などの感染症に注意する必要があります。
虫歯とは、主に食べ物から摂取した糖分が虫歯菌の栄養源となり、虫歯菌が生成した酸が歯のエナメル質を溶かす現象のことです。虫歯が進行すると、エナメル質の下の象牙質に広がり、さらに深く進行すると神経のある歯髄まで達し、激痛を伴う状態となります。
しかし、インプラントは、チタン製の人工歯根と、その上に取り付けられるセラミックやジルコニアなどの人工歯で構成されています。人工歯の材質はエナメル質ではないため、虫歯菌が生成する酸によって溶かされることはありません。つまり、自然の歯が虫歯になるメカニズムは、インプラントでは起こりえないのです。
<インプラントで注意すべき口腔トラブル>
インプラントは虫歯にはなりませんが、インプラント周囲炎などの感染症にかかる可能性があります。以下、インプラントで注意すべき口腔トラブルについてご紹介します。
①インプラント周囲炎
インプラント治療を受けた方が注意すべき主な口腔内トラブルは「インプラント周囲炎」です。
インプラント自体は虫歯になりませんが、インプラントの周囲にある自然の組織、特に歯肉は病原体に感染するリスクがあります。細菌が歯肉の部分に侵入すると、炎症が引き起こされ、インプラント周囲炎が発生します。
インプラント周囲炎の主な原因は、口腔内ケアの怠りや喫煙などの不摂生な生活習慣などです。さらに、歯ぎしりや食いしばりのような噛み合わせの問題も、インプラント周囲炎の進行を加速させる可能性があります。
②インプラント周辺の虫歯
インプラント自体は虫歯になりませんが、周辺の歯は虫歯になる可能性があります。
全ての歯をインプラントにした場合は、虫歯になる心配はありません。
しかし、1本または複数本など、部分的なインプラント治療の場合、口腔内にはまだ自然歯が残っています。そのため、人工歯と天然歯の境界に歯垢が溜まると、人工歯は影響を受けませんが、天然歯は虫歯になる可能性があります。
③インプラントの破損・脱落
インプラント治療では、まず顎の骨に穴を開け、穴の中に人工歯根を埋め込みます。顎の骨と人工歯根がしっかり結合したあとに、人工歯を装着します。
しかし、人工歯根が顎の骨としっかり結合していない状態で人工歯を装着するなど、治療過程が適切に行われなかった場合、治療後に人工歯が取れたり人工歯根自体が破損したりするリスクがあるでしょう。また、人工歯根と人工歯がしっかり連結されていないと、インプラントの破損や脱落を招くこともあります。
④歯茎の腫れ・出血
インプラント治療は、歯茎を切開し、人工歯を埋入したあとに開いた歯茎を縫合します。身体の反応として、傷口に一時的な腫れや出血が起こることがあります。症状は、手術直後から数日間であれば通常の経過であり、時間と共に自然に治まることが一般的です。
しかし、腫れや出血が一向に治まらない、あるいは悪化する場合は、インプラント部位に何らかの問題が生じている可能性があります。考えられる原因としては、インプラントが正常に定着していない、感染症が発生しているなどです。歯茎の腫れや出血を放置すると感染が広がり、最悪の場合インプラントの失敗や全身に影響をおよぼす可能性があります。すぐに歯科医師に相談し、適切な対処をすることが重要です。
<インプラントのお手入れ方法>
インプラントのお手入れ方法として「フロスや歯間ブラシも使って丁寧に歯磨きを行う」「定期的に歯科医院でクリーニング・メンテナンスを行う」の2つが重要です。詳しく解説します。
インプラント手術直後
インプラントの手術直後は、インプラントが顎の骨に固定されていないため、刺激をさけるように心がけましょう。
たとえば、手術を受けた部位を使って硬い食べ物を噛むことや、タバコを吸って血管を収縮させることはさけてください。これらの行為は、インプラントと骨の結合を妨げる可能性があります。また、激しい運動や飲酒もひかえましょう。
特に、手術後の最初の3か月はトラブルが生じやすい時期です。歯科医師の指示に従い、薬を正しく服用し、口腔内を清潔に保つことを意識してください。これにより、インプラントがしっかり骨に結合し、長期的な成功につながります。
日々の歯磨き
インプラントの寿命を延ばすためにも、日々の口腔ケアは非常に重要です。
インプラントは入れ歯のように取り外す必要がないため、お手入れしやすいと考えている方も多いでしょう。
しかし、インプラントは歯根膜を失っているため、天然歯と比べて感染症にかかりやすく、進行も早いという特徴があります。
インプラントのメンテナンス方法は、基本的に天然歯と同じです。適切にブラッシングを行い、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯の間の汚れをしっかり取り除くことが求められます。歯ブラシのみを使用した場合は歯垢の約60%しか取り除くことができませんが、歯間ブラシやデンタルフロスを使用することで、その割合は約80%まで上がるとされています。歯間ブラシやフロスを初めて使用する方は、最初は面倒に感じるかもしれませんが、習慣化すると、歯ブラシだけでは口腔内がすっきりしないと感じるようになるでしょう。
インプラントだけでなく、天然歯の寿命を延ばすためにも、日々の口腔内ケアをしっかり行うことが大切です。
定期的なメンテナンス
インプラント治療が完了したあとも、天然歯と同様に定期的なメンテナンスが重要です。具体的には、歯科医院での検査やクリーニングが該当します。目視だけでは確認しきれない顎の骨の状態などは、レントゲン撮影を行うことで詳しくチェックします。
また、ネジ式で取り外しが可能なタイプのインプラントを使用している場合、ボルト部分に溜まった歯垢などを除去しなければなりません。半年〜1年に1回程度の頻度でメンテナンスを行いましょう。
<定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける>
インプラントのケアにおいて、自宅での日常的なブラッシングやフロス使用などのセルフケアが非常に重要であることは間違いありません。
しかし、それだけでは十分とはいえず、定期的な歯科医院でのメンテナンスも必須といえます。
歯科医院でのメンテナンスは、天然歯と同様、あるいはそれ以上に重要です。自宅でのメンテナンスでは見逃していた微細な異変も、専門的な視点でみることができる歯科医師なら見逃すことはありません。さらに、口腔内の状態をレントゲンで詳しくみることで、インプラントが適切に機能しているか、何か問題が起きていないかなどを確認することも可能です。定期的なチェックを受けることで、早期に問題を発見し、迅速な対策をとることができます。
歯科医院でのメンテナンスは、インプラントの寿命を長くするだけでなく、全体的な口腔の健康状態にも重要といえるでしょう。
インプラントのみならず他のすべての治療においてメンテナンスは重要です。虫歯の早期発見早期治療、歯周病の安定期治療、噛み合わせのズレや微調整…3~4ヶ月に一度の定期検診の受診をお勧めいたします。