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歯科用金属アレルギー

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「歯科用金属アレルギー」についてお話しします。ピアス・指輪・ネックレスなどでもかぶれたり発疹が出てしまう方もいらっしゃるかと思います。今日は歯科用金属アレルギーについて詳しくお話ししていきます。



1.金属アレルギーとは?

金属に触れただけでアレルギー反応を起こすことはほとんどありません。しかし、金属アレルギーは、汗や唾液などによって金属から溶出した「金属イオン」が皮膚の蛋白質と結合すると、それを体が「異物」とみなし拒絶反応を起こすことによって起こります。汗をかきやすい夏は、皮膚表面で金属がイオン化しやすくなるため、金属アレルギーを発症する人が多くなります。こうした汗による「接触皮膚炎」のほかに、歯科治療で用いられる金属や種々の金属元素を含む食物の影響などで、生体内の金属イオンバランスが崩れて発症する「全身型金属アレルギー」もあります。こちらは金属製品が直接触れていなくても皮膚炎が起こります。

金属アレルギーを起こしやすい金属はニッケル、コバルト、クロムなどですが、これらの金属も人間の生命維持に必要な微量元素です。例えばニッケルは加工しやすくてさびにくく安価なので、様々なピアスやネックレスといったアクセサリーに使われており、時計やメガネのフレーム等にも含まれています。中でもピアスは、金属が直接皮下組織と接触するため特に注意が必要です。

2.金属アレルギーの検査方法

金属アレルギーを起こす原因物質を検査する方法として、パッチテストが一般的です。
アレルゲンと考えられるいくつかの金属試薬を含んだ絆創膏を上背部、もしくは上腕外側へ2日間貼ります。その後これを取り除き皮膚の変化を調べます。アレルギーの原因を特定するために貼った日から48時間後、72時間後、1週間後、10日後にそれぞれ判定を行います。この他に患者さんの血液から取り出したリンパ球に、アレルゲンである口腔内金属を取り込ませることによって調べるリンパ球刺激試験や口腔内の電流を測定して金属溶出の傾向を調べる方法もあります。

3.歯科用金属アレルギーとは?

歯科でも用いる歯科用金属は、アクセサリーなどが原因であるケースと比較すると発症頻度は多くありません。しかし、口腔内は唾液という体液が常に存在していますので金属が溶け出しやすい環境です。さらには飲食物や虫歯の原因菌によって酸性化したり、噛み合わせや歯磨きによって金属が摩耗するなど、口腔内には「金属がイオン化しやすい環境」が揃ってしまっています。

最近はジルコニアやセラミックの発展で治療の選択肢が大幅に増え、またコンポジットレジンの物性向上やCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーの登場により金属を使用しない治療(メタルフリー)の選択肢が増えましたが、少し前までは虫歯の治療といえば金属を用いた治療が一般的でした。代表例が、アマルガムや銀合金、金合金、金銀パラジウム合金、コバルトクロム合金、パラジウム合金などです。それぞれ主に以下の用途で使われます。

歯科用金属アレルギーの場合、口腔内の症状がなく全身の症状が出る場合もあるため診断を正確に行うことが重要です。

<症状>
全身症状

  • アトピー性皮膚炎
  • 掌蹠膿疱症
  • 湿疹
  • 乾癬
  • にきび

口腔内症状

  • 口腔内の違和感
  • 口内炎
  • 口腔扁平苔癬

<診断>
①通常の皮膚疾患を疑い検査を開始します。
歯科金属アレルギーの症状は原因金属のあるお口から離れた皮膚に出現することが多いです。そのため口腔内に明らかなアレルギー症状が出現している場合を除きますが、手のひらや腕、背中など全身に症状が見られる場合はまずは皮膚科で通常の皮膚疾患との鑑別と治療を行います。皮膚科で治療を受けても症状が改善しない場合は、原因の1つとして歯科金属アレルギーを疑い治療を進めます。

②金属アレルギー検査を行う
実際にアレルギーの原因となっている金属がどれなのか、すなわちアレルギー反応がどの金属にあるのかを調べます。その種類は非常に多くあります。以下に合金を構成する金属元素の代表例をあげます。

<歯科用合金を構成している代表的な金属元>

  • パラジウム
  • 白金
  • 亜鉛
  • 錫(すず)
  • 水銀
  • ニッケル
  • インジウム
  • コバルト
  • クロム
  • ニッケル
  • マンガン
  • モリブデン
  • チタン

③歯科治療により原因金属を除去する
歯科医院で原因として疑われる金属を除去します。除去後はすぐにセラミックなどの治療を行わなわず、まずは仮の詰め物や仮歯などでしばらく様子をみて、実際に金属アレルギーの症状が改善することを確認することができて、そこで初めて歯科金属アレルギーの診断が確定します。

※皮膚科の歯科用金属アレルギーの診断書がある場合、保険適応のCAD/CAMの適応範囲が広がります。


金属アレルギーの方も多く来院されています。まずは、かかりつけの皮膚科での正確な診断・原因の特定が必要です。今症状がなくても許容量を越え、アレルギー症状がこの先出てくることもあります。気になる方は一度早めにアレルギー検査を行うことをお勧めいたします。