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清潔域・不潔域

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は医療現場ではよく耳にしますが、一般的には馴染みの少ない「清潔域・不潔域」についてお話しします。


【目次】
1.医療現場における清潔域・不潔域
2.治療器具の滅菌
3.器具洗浄の流れ


1.医療現場における清潔域・不潔域

新型コロナウイルスの影響も落ち着いてきましたが、以前として消毒や密を作らないという感染対策は実施されているかと思います。医療現場では「清潔・不潔」という言葉はよく使いますが、では医療現場の「清潔・不潔」とはどのような意味なのでしょうか?

一般的にみなさんが生活している中で触っているものはすべて「不潔」です!

では「清潔」とは?
 滅菌処置をされた布や紙、器械などを指します。例えば、オペのときには、滅菌された器械やガーゼなどを使います。滅菌された紙や布(ドレープ)を台の上に広げ、その上に滅菌された器械などを置き、使用します。患者さんの身体も滅菌されたガウンや布で多い、手術する部位だけ見えるようにします。さらに私達歯科医師や衛生士などオペを行う人も、手洗いを徹底して行い滅菌ガウンをきてからオペを行います。このような状態で触れてもいいところが「清潔域」です。手洗いをしてグローブをつけていない人は「清潔域」のものを触ってはいけません。不潔域の人が触れたものは、「不潔」なものとなります。
 「清潔」とは滅菌処置されたもののみで、それ以外は「不潔」です。
袋から取り出したマスクや、洗ってアルコール消毒をしたものであっても、滅菌処理がされていなければ医学的には不潔になります。清潔なものであっても、それ以外のものと接触したら不潔と判断します。

国立 歯医者 インプラント

先日行ったインプラント埋入オペ時の写真になります。滅菌ガウンを着用し清潔・不潔に十分注意し治療を行います。インプラントオペでは、厳格な衛生管理が必要となります。手術中に細菌感染を起こすと、術後に不利益な症状が起こる可能性が高く、インプラントと骨がくっつかないこともあります。

インプラントオペでは、Drとアシストが使用するグローブは滅菌された清潔なグローブになります。清潔域にあるもの以外は一切触れません。不意に不潔域にあるものに触れてしまった場合は、新しくグローブをつけ直す必要があります。

2.治療器具の滅菌

滅菌とは、あらゆる微生物を殺滅、または除去することです。日本薬局方では、「微生物の生存する確率が100万分の1以下になること」をもって、滅菌と定義しています。
歯科治療の際に用いる器具には唾液や血液などが付着します。スタンダードプリコーションといい、汗を除くすべての血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜は伝播しうる感染性微生物を含んでいる可能性があるという原則に基づいて行われる標準的な予防策に則り感染対策を行っています。しっかりと治療器具を滅菌することは院内感染対策に不可欠です。手洗い、薬液消毒、超音波洗浄、高圧蒸気滅菌器を用いた滅菌などを行うことで、治療には安全な器具のみを使用しています。
滅菌された器具は滅菌バックという密閉された袋に入っており、治療直前まで滅菌状態が保たれます。
滅菌バックには、滅菌されると色が変わる印がついているため、一目で確認ができるようになっています。

3.器具洗浄の流れ

①手洗い

国立 歯医者 洗浄滅菌

まずはじめに手洗いで目に見える汚れを落とし、薬液に浸しておきます。歯科用器具には先端が鋭利なものが多いため針刺しなどを起こさないよう気をつけて洗います。歯科用器具専用の洗浄機もあります。

②超音波洗浄

国立 歯医者 洗浄滅菌

その後、超音波洗浄器に入れ、超音波の振動で細かな汚れを落とします。超音波洗浄器の中には血液やたんぱく質、体液を分解する強い液体が入っています。眼鏡屋さんなどにあるような超音波洗浄機になります。

③オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)

国立 歯医者 洗浄滅菌

洗浄、消毒を終えたすべての耐熱・耐圧製の治療器具はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)という機器を使用して滅菌します。真空状態の内部に高温の蒸気で圧力をかけることで、器具に付着したすべての微生物を殺滅、または除去することができます。

オートクレーブができない器具に関してはガス滅菌もあります。EOG(酸化エチレンガス)滅菌といい、医療現場で使用される医療機器や医療材料を滅菌するために利用されている代表的な低温滅菌法になります。滅菌物に吸着した残留ガスを除去するのに時間がかかりますが、他の低温滅菌法と比較すると滅菌可能な器具の適応範囲が広く、滅菌不良も少なく安定している滅菌法です。多くのディスポーザブルの滅菌済み製品に採用されていることが多いです。

④ディスポーザブル(使い捨て)

滅菌が行えないものはディスポーザブルを使用しています。患者さん毎に新しいものを使用します。エプロンや紙コップ、グローブのようにすべての患者さんに使用するものや、麻酔の針や縫合糸、手術用ガウン、機器専用のビニールカバーなど、様々なものがあります。可能な限りディスポーザブルのものを利用し感染予防に徹底しています。


当院ではすべての器具を患者さんごとに滅菌交換、使い捨てにしており、チェアや空間も除菌しています。また、ヨーロッパ規格EN13060のクラスB基準の滅菌器を完備しています。クラスB、クラスS、及びクラスNという3種類の滅菌サイクルのクラスがありますが、唯一クラスBサイクルだけが全ての形状の被滅菌物(固形、中空物、多孔体、一重包装、二重包装)を滅菌できるとされています。どうぞ安心して通院してください。