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口腔内の機能と歯並び

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日までよく噛むことについてお話ししました。今日は口腔内の機能と歯並びへの影響についてお話しします。



1.口腔機能について

口腔は食事や会話、容姿といった人と人とのつながりや言語、非言語的コミュニケーションに欠かすことができない重要な機能です。口腔機能が低下すると食事の種類や量が制限されてしまい、栄養のバランスが乱れてしまったり、食事の質が悪くなるため免疫や代謝などの機能低下から病気にかかりやすく、また治癒しにくくなってしまいます。

<栄養について>

口腔機能は捕食、咀嚼、食塊の形成と移送、嚥下、構音、味覚、触覚、唾液の分泌などに関わっています。これらは人々が社会のなかで健康な生活を営むための必要な基本的機能です。日本の高齢者では口腔機能が低下するとビタミン・ミネラル・たんぱく質・食物繊維といった栄養素、肉・魚介類・野菜・果物といった食品の摂取が減少し、反対に炭水化物・穀類・菓子類・砂糖・塩などの調味料の摂取割合が増えるという報告があります。口腔機能の低下によって食事のバランスが悪くなり、運動機能や生理機能を正常に保つことが困難になるだけでなく、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の発症や重症化のリスクが高くなることが推察されています。さらに口腔機能が低下すると、食事の量も減少し、バランスがさらに悪化するだけでなく、体重や筋量を維持することも困難になってきます。

<寝たきり・認知機能の低下>

口腔機能の低下により食事や会話に影響が出ると、対人関係を控えるようになり、外出や外食をしなくなったりと社会とのつながりが減少してしまいます。また、口腔機能の低下により口腔周囲の筋肉の活動が少なく動きも悪くなると、容姿や表情が損なわれ、言語的・非言語的コミュニケーション能力までもが低下します。人とのつながりを良好に保つことが困難になり、家に閉じこもったり無口になったり、買い物や交通機関の利用などといった知的能力を必要とする活動も減少し、身体的・精神的にも活動が不活発になり、寝たきりや認知機能低下のリスクが増加することになります。

咀嚼や嚥下に問題があるとお口から食物を取り入れることが困難になるだけでなく、肺に食物が誤って入ってしまうことにより誤嚥性肺炎という病気を起こすこともあります。また、発音に問題が生じると言葉が通じにくくなるためコミュニケーションに影響が出てしまいます。このように口腔機能は日常生活を営む上でとても大切な役割を担っています。さらに、呼吸、感情を表す、味を感じる、噛み合うことで脳を刺激、体の平衡感覚を保つなどの重要な役割を果たしています。これらのうち1つでも問題が生じてしまうと日常生活に支障が出てきてしまいます。

2.口腔機能と歯並び

口腔機能は歯並びや噛み合わせにも影響してきてしまいます。歯は唇や頬が、内側からは舌が圧力を与えています。いつも口が空いてしまい舌が上下の下の間からはみ出している状態では、その圧力バランスが崩れて歯並びや噛み合わせに影響が生じてしまいます。特に開咬:前歯が噛まない状態や歯と歯の間に隙間がある状態などの不正咬合は口腔機能との関連が深いです。

<ニュートラルゾーン>
ニュートラルゾーンとは、無歯顎の患者さんの口腔内において想定される領域のことです。口腔の諸機能時に、全部床義歯に加わる内方への圧力と外方への圧力が均衡化される領域を指します。配列や咬合状態を決定するときに用います。

ちなみに内圧は頬と唇によって、外圧は舌によって加えられます。

3.口腔機能と口呼吸

口呼吸あるいはその弊害についての情報が増えてきています。よくマスコミでも取りあげられるようになりました。信じられない方も多いかとおみますが、ただ口で息をするだけで身体には悪影響が出てしまいます。

<口呼吸の原因>

  • 軟らかい食事(口腔周囲筋が発達しないため)
  • 口遊びの減少(口笛を吹けない人が増えています)
  • アレルギー疾患の増加(花粉症、アレルギー性鼻炎で鼻呼吸が困難)

などが原因として挙げられます。急激な温度変化や激しい運動、いびきなども原因となります。スマホやゲームに集中している時も口呼吸になりがちですので要注意です。ポカンと口が開く癖がある子は要注意です。

<口呼吸の影響>
口呼吸により様々な問題が起こります。小児期、成人期、高齢期とステージごとに影響も変化します。

①小児期
アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、気管支喘息などが問題となります。また歯並びに悪影響となり、口腔内が乾燥しやすく虫歯や歯肉炎(細菌感染症)が増える可能性が高くなります。鼻詰まりにより集中力や学力が低下することもあります。この時期にしっかりと対策を立て早期改善が必要です。

②成人期
小児期の改善ができず、その疾患が残ってしまっていることがあります。うつ状態や、やる気が起きないといった精神症状が見られることもあります。色々な病気に関係している歯周病も、口呼吸によって悪化します。カゼを引きやすい、扁桃が腫れやすいなど体調管理が困難になると学業や仕事にも影響を与えてしまいます。

③高齢期
ドライマウスや口渇という症状が出てきます。唾液腺の機能も低下し服用中の薬剤の影響でも唾液の分泌量は低下します。口腔や咽頭筋力の低下により気道抵抗の高い鼻呼吸がつらくなり、口が開きやすくなってしまいます。オーラルフレイルの予防も重要になります。

口呼吸は慢性扁桃炎の原因となり、それがさらに次の病気を引き起こします。口呼吸は鼻呼吸と比べ、乾燥した冷たい空気が肺に入ります。口腔内が冷えることにより低体温にもなり、また口腔乾燥状態は細菌の侵入を容易に許してしまう口腔粘膜をつくってしまいます。

<口呼吸の治療>
口呼吸改善には、口輪筋のトレーニングである口腔筋機能療法MFT:Myo Functional Therapyがあります。受け口や出っ歯など物理的な問題を矯正歯科治療によって解決し、それでも口呼吸が改善されない場合は、舌や口輪筋を鍛えるMFTを行いましょう。


今日は口腔機能についてお話ししました。明日は口呼吸についてさらに詳しくお話しします。