国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

ブログ

味覚について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。急に涼しくすっかり秋になりましたが、体調はくずしていませんか?「食欲の秋」で食事が楽しくなる季節ですが、暴飲暴食には十分気をつけてください。今日は「味覚」についてお話ししていきます。



1.味覚について

国立 歯医者 味覚

味覚には、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つの基本味があります。 味覚を感じるのは「舌」です。舌はその部位によって味に対する感受性が異なります。味を感じる細胞は舌の味蕾という花のつぼみのような形をしたところで感知しています。

国立 歯医者 味覚

糸状乳頭以外の乳頭には味蕾という味を受け取る受容器が存在しています。味蕾の寿命は約10日で、成人で5000~7500個、高齢になるほど減少傾向にあります。この中の一部に存在する味細胞は唾液や水に溶けた飲食物に含まれる化学物質(味)を受容し、信号として神経を伝導し、脳によって味の種類を感知できるというシステムになっています。

味蕾は乳幼児で多く、舌だけでなく唇、口蓋、食道、あるいは内臓の一部まで広がっています。成人では舌以外の味蕾は減少する傾向にあります。子供が大人より味の好き嫌いが多い原因といわれています。苦みの感受性は人により1000倍程度の差があり、子どもは特に苦みに敏感のため野菜嫌いの原因になっています。また味蕾は加齢とともに減少していくため、味に対する感度も低下します。高齢者ほど塩辛い味など濃い味を好むのもこのためです。

2.味覚障害について

味覚障害の中で1番多い症状は、味が分からなくなる味覚低下です。 味覚障害の主な原因は、薬の副作用や亜鉛不足、全身の病気、食品添加物の影響などが挙げられます。共通する原因として、亜鉛不足があります。体内での亜鉛の量が不足すると、舌の奥にある味蕾の味細胞のターンオーバーが遅くなり、味細胞の構造や機能に影響を与えてしまいます。

<亜鉛の多く含まれる食材>

牡蠣(カキ)、うなぎ、牛肉(もも肉)、チーズ、レバー(豚・鶏)、卵黄、大豆、納豆、 きな粉、豆腐、そば、ゴマ、緑茶、抹茶、カシューナッツ、アーモンド、黒米、赤米など

国立 歯医者 味覚

<亜鉛の効率的な摂取方法>
・クエン酸、ビタミンCと一緒に摂る
レモンに含まれるクエン酸と、ビタミンCが亜鉛を吸収しやすい形に変えてくれます。 よく生ガキやカキフライなどを食べるときにレモンが添えられていますが、レモンをかけて食べることはとても利にかなった食べ方です。

・アルコールと一緒の摂取は控える
アルコールを分解するときに働く酵素が亜鉛にも使われてしまうので、お酒を飲むときは 普段より多めの亜鉛を摂取するようにしましょう!

普通に食事をしていると亜鉛が体内で欠乏することは殆どないといわれていますが、ダイエットなどによる極端な偏食、加工食品に含まれている食品添加物(ソーセージやかまぼこなどのつなぎとなっているポリリン酸Na、変色防止剤として漬け物や清酒に使われるフィチン酸など)や薬剤などにより亜鉛が細胞内に取り込まれにくくなり起こります。治療には亜鉛を含む薬剤を内服しますが、食べ物としては、牡蠣やカニなどの魚介類、肉類、乳製品、豆類、それに胡麻などに多く含まれています。ダイエットの際にはこれらも少しは食べるようにしましょう。

3.味覚低下の予防法

①口腔内を清潔に保つ
普段の歯磨きに加えて舌磨きも行いましょう。舌苔が舌の表面を覆っていると味蕾を塞いでしまい、味覚低下につながります。舌ブラシなどを活用して、舌をきれいに保ちましょう。

②唾液の分泌マッサージをする
口腔内を清潔に保つことにもつながりますが、唾液は細菌の繁殖を抑え、味を感じやすくしたりする働きがあります。

4.加齢変化に伴う味覚障害

加齢に多い口腔機能が低下し味覚障害を引き起こします。老人性うつなどの精神的な症状も味覚障害を引き起こす可能性があります。また、嗅覚は60~70代になると大幅に低下していきます。嗅覚が低下すると味覚も異常を感じやすくなりますが、この場合は味覚障害ではなく「風味障害」と呼ばれます。加齢で嗅覚が低下することから、風味障害も起こしやすくなるのです。

<認知症との関係>
匂いがわからなくなる嗅覚障害は、認知症と深い関わりがあることがわかっています。認知症の発症早期あるいは発症前から嗅覚障害が起こる場合があることが知られています。

味覚が分からなくなると食事をおいしいと感じられなくなり、食事の楽しみが減ってしまいます。そうなると生活の質が低下し、健康面でも悪影響が出てくる可能性があります。

人が食品の味を感じる時、味覚だけではなく料理の彩り、におい、食感、温度、噛むときの音など五感をフルに使い感じています。さらに家族や友人と食べるとおいしいけれど、1人で食べるとおいしくないなど、環境による心理的な影響も大きいです。

五感の中でも特に嗅覚は、味の感じ方に影響を及ぼします。コロナの感染によって味覚障害が起きることが話題になりましたが、検査をすると実際に味覚機能が低下している人は少なかったと報告されています。このため、新型コロナウイルスの感染による味覚障害は、実際には嗅覚の低下による風味障害である場合が多いと考えられています。

嗅覚障害は、認知症と深い関わりがあり、認知症の人は発症早期あるいは発症前から嗅覚障害が起こる場合があることが知られています。認知症の人の場合も嗅覚障害によって風味障害を起こす可能性があります。


今日は味覚についてお話ししました。体調や心理的な原因もありますが、口腔内を健康に保ちバランスの取れた食事を続けることがいちばんの予防策と考えています。明日は「加齢に伴う変化」についてお話しします。