国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

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根管治療について②

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。

昨日に引き続き根管治療のお話をさせていただきます。今日は昨日より治療に踏み込んだ話をしていきます。今日は歯内療法学的、診査診断と治療の流れについて詳しくお話しします。

僕は、福岡の歯内療法専門医•松浦先生の年間セミナーに参加し、根管治療に関する知識を学びました。そこで得た知識術式が基本となっています。

根管治療を行う上で、歯内療法学的診断が最も重要になります。他の歯科治療も全てそうですが、正確な診断なくして正確な治療はあり得ません。

診断を行う上で、歯内療法学的診査で患者さんの訴える痛みを再現することが可能であれば根管治療で海瀬zんする可能性が高いです。

1.歯内療法学診断

AAE Consensus Conference Recommended Diagnostic Terminology
JOE Vol34,Number12,December 2009
で以下のように述べられています。

診断には、「歯髄の診断」と「根尖部の診断」に分けられます。

(1)歯髄の診断
•Normal pulp
•Symptomatic irreversible pulptis
•Asymptomatic irreversible pulptis
•Pulp necrosis
•Previously treated
•Previously initiated therapy


(2)根尖部の診断
•Normal apical tissues
•Symptomatic apical periodontitis
•Asymptomatic apical periodontitis
•Acute apical abscess
•Chronic apical abscess
•Condensing ostetis

Periapical Test(根尖部診査)には、以下の方法があります。

①Percussion
 ミラーの柄などで歯をタッピングします。痛みがある場合、根尖部歯周組織に炎症がある可能性があります。しかし、歯髄の生死は判断できません。また、外傷、咬合性外傷、歯周病、歯髄炎の炎症の根尖への波及も考えられます。これにより問題のある歯がどの歯なのかの特定が可能です。

②Palpation
 口唇にテンションをかけた状況で、綿棒などで根尖部を圧迫します。圧痛に反応する場合、根尖部から歯周組織へ炎症が波及していることが予想されます。

③Bite test
 綿棒などを咬合させ、痛みの有無を判断します。痛みがある場合、歯根膜の炎症が起きています。

2.根管治療の流れ

では、診断により根管治療が必要と判断された場合、以下の流れで治療をすすめます。

①麻酔
各種麻酔方法でしっかり麻酔を効かせ、処置を進めます。炎症が強いと麻酔が効きにくいため、投薬で急性症状を落ち着かせてから治療に入ることもあります。一般的に麻酔は骨が硬い下顎の方が効きにくいです。しかし、下顎は伝達麻酔を行うことで疼痛のコントロールが可能です。麻酔は一般的に3〜4時間効きますので、治療後食事は頬や舌などを噛まないよう十分気をつけてください。

②アクセスオープニング、ストレートラインアクセス
麻酔が効いて、歯牙切削が可能であれば、歯髄腔にアクセスするため歯を削ります。これをアクセスオープニングといいます。各歯種ごとの根管数や位置、形状の特徴を理解する必要があります。また根管内にまっすぐ器具を挿入できるよう、ストレートラインアクセスを行います。この操作が後の根管拡大操作をやりやすくするためにとても重要になります。

神経を取ると歯冠部が脆くなる?という話をよく聞きます。しかし神経を取ることだけが歯を脆くする原因ではございません。その作業に付随する歯牙の切削、特に近遠心の辺縁隆線の喪失が歯の合成低下に大きく影響します。健康な歯からいきなり神経を抜くことはほとんどありません。たいていが詰め物を除去し虫歯を削り取っていくうちに神経処置が必要になります。なるべく治療の再介入を減らし、歯牙の温存:その中でもエナメル質や辺縁隆線を温存することが歯牙を長く保存する最良の方法です。


③根管拡大•根管形成
 根管内の拡大を行い汚染された歯質を除去します。また、薬剤がしっかり到達するよう拡大を行います。根管拡大が終わったら、最終的な根管充填材を入れるための根管を形成します。

昨日もお話しましたが手用ファイルとNi-Tigファイるでは、根管拡大の作業時間、仕上がりの形、綺麗さが全然違います。保険の手用ファイルのみだと回数が長くかかってしまう根管形態でもNi-Tiファイルであれば瞬時に効率よく綺麗に形成することが可能です。
各種メーカーからいろいろなファイルが販売されているが、自分のコンセプトに合うファイルを探すこともとても重要である。

<根管形成の条件>
根管形成の条件については、Schilderが1974に以下のように述べています。
1.連続テーパーで形成をする。
2.根尖部の形成は不必要に大きくしない。
3.根幹を次亜塩素酸で満たし乾燥させない。
4.ルースファイリングの法則を守り、小さな番手から飛ばさず号数を上げる。
5.patency file を行い詰まりを除去する。

④洗浄、貼薬
 根管内のすべての細菌を駆除することは不可能です。消毒•貼薬により細菌を免疫力で活動を抑えられるレベルまで駆除、不活性化していきます。

⑤根管充填
 根管形成が終了したら、ガッターパーチャとシーラーを用いて根管内に密に充填材を詰めていきます。先ほども伝えましたが、すべての細菌の駆除は不可能です。根管充填材で埋葬し不活性化します。

<理想的なシーラーの条件>
1.封鎖性に優れている
2.象牙質接着性がある
3.抗菌性に優れる
4.生体親和性が高い
5.寸法安定性に優れる

保険で用いるシーラーはすべての条件を満たすものではございませんがMTAシーラーはすべての条件を満たします。

昨日も述べましたが、保険適応の薬剤•器具のみではすべてのコンセプトを満たしながらの治療の質は担保できません。自費診療の場合、使う薬剤や、器具、治療時間に制限がないため再発防止に効果の高い薬剤を使うことが可能です。しかし、日本ではまだ認可の入りていない薬剤も含まれます。根管治療における自由診療は、時間や回数を大きく減らすことも可能ですが、それだけでなく、再発の起こりにくくするとても重要な治療になります。良好な根管治療を行った歯に封鎖性の高い補綴を行えば、歯の寿命を十分伸ばすことが可能です。

根管治療を行う上でとても有名な論文あります。Ray,Trope 1995でこのような発表があります。

国立 歯医者 根管治療


『Good Endo(質の高い根管治療)を行い、Good Restoration(質の高い修復治療)を行うことで、91.4%の確率で根尖病変ができない』ということです。質の良い修復治療に関しては後日説明いたします。

根管治療には外科的処置(歯根端切除や意図的再植)も存在しますが、それに関してはまた後日記載します。しばらくお待ちください。

このように根管治療は、歯を残すために全力を尽くす治療になります。当院はなるべく自分の歯を長く残すことを目標に治療を行っています。他院では抜歯と言われてあ根管治療が必要な歯でも一度ご相談ください。