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歯に関する雑学

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は、歯に関する雑学についてお話しします。


1.歯の神様
2.宇宙飛行士と歯の関係
3.型取りの材料
4.落語「佃祭」


1.歯の神様

「歯の神様」という存在をご存知でしょうか?医療の発展もあり、虫歯や歯周病の原因院や予防策が浸透する前、大昔の話になりますが、歯の痛みに苦しんでいる時に神頼みやおまじないなどに頼っていた時期があります。

「歯の神様」信仰が始まったのは、江戸時代中期から後期頃と言われています。当時は士農工商•貧富の差や身分制度が厳しく、殿様・武将・豪商など、一部の権力者たちにしか医療は提供されていませんでした。そのなかに「口中医」というお口の中のお医者さんがいましたが、一般市民にはほとんど縁のない存在でした。そのため歯痛などの悩みも対処法として「神頼み」「まじない」などが唯一の手段であり、これに頼らざるを得なかったのです。現在は抜けた乳歯を歯牙ケースで保管してますが、僕が子供の頃は、「上の歯が抜けたら縁の下へ、下の歯が抜けたら屋根の上に投げろ」と祖父母に言われてみました。その時「ネズミの歯と変えてくれ!」と言いながら投げてた風習がありました。今思うとこれも歯にお神様にお願いしていた風習の名残かなと思います。このように自然と生活の中に溶け込んできた「歯の神様」にまつわるお話をしていきましょう。
 歯の痛み・悩みを癒す目的で祈願などをする神社・仏閣・石像などの数は、全国で約300ヶ所くらい存在すると推測されますが、地方によって祈願の方法などが異なっていることは興味深いものがあります。

<日本の歯の神様>

全国各地に多数存在する白山神社。東京都文京区にも白山という地名、神社が存在します。僕も都内に出てきての最初の部屋は白山にありました。「白山社」「はくさんさん」などと称されているものも同系列と思われますが、その総数は把握できていないものの、歯の神様として信仰されている白山神社は数多くあるようです。

 白山神社と歯の神様との関連は今のところ確認されておりませんが、諸説あります。昔の人々の歯の悩みの多くは歯槽膿漏(歯周病)であり、治療方法も確立していない時代のため歯周病はどんどん進行し、化膿による口臭から「はくさ」が訛って「はくさん」となり、白山神社が信仰の対象となったとも言われています。また、祈願の際に授かるものや、お礼に箸を供するなど共通する点も多いようです。

文京区の白山神社では、歯ブラシ供養を行なっています。あじさい祭りは有名でしたが、歯ブラシ供養があるとは、住んでいたのに知らなかったです。使い終わった歯ブラシは、細かいところなどの清掃に使ったりもしてましたが、一度歯ブラシを供養してみるのもこの先の口腔ケアのきっかけにつながるかもですね!

<西洋の歯の神様>

 アポロニア Apolloniaは、ローマ帝国時代のアレクサンドリアで殉教したキリスト教徒。言い伝えによると、彼女は歯を全て乱暴に引き抜かれたか、粉々にされるという拷問を受けたといいます。歯を折られ生きたまま火あぶりにされる時、彼女は逆に自ら炎の中に飛びこみ炎に焼かれながら「歯痛に悩む人が私の名をとなえればその苦痛から逃れられるだろう」と叫んだと伝えられています。
 このため、アポロニアは歯科学や歯痛を患う者、歯に関する問題全ての守護聖人として崇敬されてきたみたいです。絵画においては、歯を引き抜くためのはさみ(時には歯)を手にした姿で描かれています。


2.宇宙飛行士と歯の関係

宇宙飛行士は虫歯があるとなれないというのを耳にしたことはあるかと思います。昔、雑学の本で、虫歯で歯に穴が開いていると、無重力環境では血液や神経組織が歯から出てきてしまう可能性があるという怖い記事を読んだことを覚えています。
宇宙飛行士は、打上げの前に、外れそうになっている詰め物はないか、飛行中に悪化しそうな歯はないか、歯科医師に検診を受けます。もし、宇宙で歯が痛くなったら、まず痛み止めの薬を飲みますがそれでも痛みをコントロールすることができない場合は、フライトサージャン(医師)の指導の下、他の宇宙飛行士が歯を抜く可能性があるそうです。国際宇宙ステーションの船長を務めたことのある宇宙飛行士の若田光一さんによれば、「歯を抜く訓練は、地上にて受けている」とのことです。
宇宙までいかなくても、飛行機による気圧の変化や環境の変化で歯が痛くなることはあります。大事な試合や発表会、試験に前などに限って痛みが出ることがよくあります。定期的な歯科検診と余裕を持った事前の治療、早期治療を行いましょう!

3.型取りの材料

多くの方が歯医者で型取りを経験したことがあるかと思います。型取りが苦手な方も多いですが、その型取りの材料に関する雑学です。

あの材料、アルジネート印象材と言いますが、かまぼこの主成分と同じなんです。お酒のつまみや日本各地の名産品にかまぼこがありますが、あのかまぼこはスケソウダラのすり身をアルギン酸で固めたものです。現在歯科で最も使われている印象材は、かまぼこに使われているのと同じアルギン酸を主成分としています。固まった後の感じもなんとなくかまぼこに似てますよね。型取りが苦手な方、かまぼこだと考えれば少しは楽になる?かもですね(笑)当院では、3Dスキャンによる型取りも可能です。苦手な方はご相談ください!

4.落語「佃祭」

江戸の古典落語の演目の一つに佃祭というものがあります。ネタバレになりますので、落語を楽しみたい方は以下を読まずに落語を先にお聞きください。

 重そうなものを抱えて川に向かい涙を流しながら手を合わしている女性に向かい、「身投げをやめろ」と告げると、「自分は歯が痛くて戸隠様にお願いしていただけだ」と答え,大事に抱えていたのはお供物の梨だったというエピソードです。

 この戸隠神社は九頭龍大神を祀っており、歯を患った者が3年間梨を絶って参拝すると平癒するという言い伝えがあるみたいです。このように戸隠神社は「歯の神」として人気があり、歯痛に悩む江戸の人々は平癒祈願をする際、梨の実に自分の氏名や歯の痛む場所などを書いてから神社のある戸隠山の方を向いて祈り、その後実を川へ流す風習を行っていたそうです。

ちなみにですが、、、
梨の実は昔は亜梨(あり)の実と呼ばれてたそうです。「なし」という言葉を嫌ったためですが、その他にも、「スル」という言葉も嫌って、「スルメ」を「アタリメ」、「すり鉢」を「当たり鉢」と言い換えていたそうです。

<まとめ>

虫歯や歯周病は治療が必要になります。放置せず早めの治療を心がけましょう。しかし、白山神社などのお話や歯ブラシ供養、今でも引き継がれている風習などを調べてみることは、自分の歯を大事にするきっかけになるなと実感しました。みなさんも歯に関する知識の幅を増やし、日常の歯ブラシや口腔ケアを楽しんで行うことができれば長続きしやすいかもですね!なにか新しい歯の雑学があればスタッフに教えてくださいね!