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知覚過敏について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は経験したことのある方も多いかと思う、【知覚過敏】についてお話しします。
皆様は虫歯でもないのに歯がしみたりした経験はないでしょうか?知覚過敏とは冷たい飲み物や甘いもの、歯ブラシの毛先が触った時などに感じる歯の痛みの1種です。特に虫歯や歯の神経の炎症などの細菌感染や病変がない場合に見られる症状を言います。
知覚過敏の原因は象牙質というエナメル質の下にある表層が露出することによってしみる現象です。象牙質には象牙細管と呼ばれる細いストローのような管がたくさんあり、神経と繋がっています。そこに刺激が加わることで知覚過敏の症状が出ます。歯の神経は冷たい、熱いなどの感覚を痛みとして感じているのです。
<知覚過敏の原因>
①歯肉退縮
歯周病や加齢に伴い歯茎は少しずつ下がってきます。歯茎が下がると本来は露出していない歯の根っこの表面が露出してきてしまいます。象牙細管への刺激が歯の神経に伝わりますので知覚過敏を引き起こします。
※歯肉退縮の原因
(1)歯周病
歯周病により歯を支えている骨が吸収することで歯肉退縮が起こります。歯茎は骨の上に乗っかっているので骨が下がると歯茎も下がります。骨が下がり、歯茎が下がり、普段は歯肉により覆われている歯の根っこの表面が露出してしまいますので知覚過敏を引き起こします。
(2)噛み合わせの力
噛み合わせの力でも歯茎がさがってしまいます。噛む力が強く加わる歯の周りの歯根膜は他よりダメージを受けやすいです。さらに歯根膜が炎症を起こすと歯周病の進行も早くなります。
また噛む力により歯がすり減ったりかけたりすると、その部分も知覚過敏が起こりやすくなります。マウスピースなどでの予防が効果的です。
(3)強すぎる歯ブラシ圧
歯ブラシの力が強いと歯が磨耗する原因になります。ブラシ圧だけだとなかなか磨耗はしませんが、歯ぎしりや噛む力が強い方、すでにエナメル質が摩耗している方は要注意です。
②歯がすり減ることによる象牙質の露出
長年、上下の歯と歯が接触することにより歯と歯が擦れるので歯がすり減ってしまいます。その現象を咬耗といいます。咬耗によりエナメル質が擦り減り、象牙質が露出してしまい知覚過敏の症状がでてきてしまうことがあります。歯ぎしり食いしばりによることが多いので予防にはナイトガード(マウスピース)などが効果的です。
③歯の破折
強い力などがかかりエナメル質が欠けたりすることで象牙質が露出してしまうことにより知覚過敏の症状がでます。破折線が歯の神経まで到達してしまっていたら歯の神経の治療をしなければ治りません。歯の神経まで到達していなければ白い樹脂や詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)などで治療していきます。
④飲食物などにより歯が溶けることによる象牙質の露出
飲食物特に酸性飲み物(コーラ、柑橘系のジュース)などでエナメル質が溶けてしまい、象牙質が露出して知覚過敏の症状がでてしまうことがあります。これを酸蝕症といいます。酸蝕症の場合は食生活を改善することが大事になってきます。酸蝕の程度にもよりますが治療にはCR(白い樹脂)などで治療していきます。酸蝕歯はかみあわせの力と組み合わさりさらにエナメル質を擦り減りさせてしまいますので要注意です。
⑤虫歯治療や歯周病治療の後にでる知覚過敏
虫歯の治療の後にも一時的に知覚過敏の症状が現れることがあります。虫歯を削ったときの刺激により歯の神経が一時的に炎症、または過敏になってしまうことが原因になります。一過性の近く過敏であれば数日後に落ち着いてきますが不可逆性の炎症であれば神経の治療をしていきます。一過性か不可逆性の判断は経過観察をして判断していきます。
歯周病の治療の後にも一時的な知覚過敏が出ますが、歯茎が引き締まることで症状は落ち着いてきます。しみる症状が強い場合しみ止めのお薬を塗ることも可能です。
⑥ホワイトニングの施術の後に出る知覚過敏
ホワイトニングをしたことにより知覚過敏が出てきてしまうことがあります。ホワイトニングは歯を白くするために過酸化水素の薬剤を歯に塗布します。その時、普段は歯の表面を覆っているペリクルという保護膜が一時的になくなってしまうので外界の刺激を受けやすい状態になってしまいます。通常ペリクルは数日でできてきますので数日様子を見ていただければ治ることがほとんどです。数日たっても知覚過敏の症状が出てしまう場合はしみ止めの薬などを塗布していきます。
<知覚過敏の治療法>
①経過観察
一時的なものや軽度なものに対する対処法です。象牙細管がお口の中に開口すると象牙質の刺激を感じる感受性は高くなりますが長時間放置されると唾液由来成分の沈着やブラッシングによるスメア層(歯ブラシをした時に出る切削片が象牙細管につまることによりできる層)の形成が進み、象牙細管は狭窄または閉塞されます。
歯の神経の細胞には象牙質形成する能力があります。歯面表面に摩耗が生じても、歯ブラシの刺激により歯の神経側に新しい象牙質(修復象牙質)を形成するため時間の経過とともに馴染んできます。この修復象牙質は3ヶ月で厚さ約0.1ミリメートルの修復象牙質が形成されると言われています。このようにして歯の神経の刺激伝達性が低下することにより徐々に知覚過敏の症状が緩和されて行きます。
②保存療法
比較的痛みの程度なものに対する療法です。歯を削ったり充填を行うことなく、薬物塗布により症状の改善を期待します。
(1)象牙細管開口部のシーリング
歯面被覆材を塗布し、象牙細管開口部をシーリングして外来刺激を遮断します
・コーパル樹脂(バーナル、コーパライトなど)
・歯質接着性レジン(MSコートなど)
(2)象牙細管開口部の封鎖
薬物応用により象牙菜館開口部に結晶の形成を促し、細管の封鎖を行います。
・フッ化物(サホライド、ダイアデントなど)
・重金属塩類(塩化ストロンチウム、硝酸銀など)
薬用歯磨剤(いずれも硝酸カリウムを含みます)
・シュミテクト
・ガム、デンタルジェルなど
③充填法(CR)
保存療法により効果が認められないものに対する方法です。象牙質が露出ししみている面を被覆し刺激を遮断する目的で充填処置を行います。
④歯髄除去療法(抜髄)
症状が重篤で保存療法や充填法で症状が改善されないものに対する療法です。シミを改善させる目的で歯の神経を治療する方法です。
このように知覚過敏を治療する方法は知覚過敏の程度により何種類もあります。ただ知覚過敏は細菌に感染してるわけではないので、なるべく歯を削ったり神経を抜いたりしない方が良いといえます。無駄に歯を削ったり神経を抜いたりすると無駄に歯の寿命が短くすることになりますので絶対に避けなければなりません。診断を早まらず十分に経過を見ることが大事になってきます。もし知覚過敏の症状が出た場合は歯医者に行き虫歯か知覚過敏かの診断をしてもらうことをお勧めします。