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入れ歯について③
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は昨日に引き続き入れ歯について、そのなかでも「部分入れ歯」についてお話しします。
【目次】
1.部分入れ歯とは
2.欠損の分類
3.サベイング
4.アタッチメントの種類
5.手入れの方法
1.部分入れ歯とは?
上顎、下顎それぞれの残っている歯を支えにし、残りの欠損部分を人工歯で補綴する方法を、部分入れ歯と言います。局部床義歯、部分床義歯Partial Denture:PDとも言います。残っている歯牙になるべく負担をかけないために設計をたてる必要があり、難易度が高くなります。
部分入れ歯は①人工歯 ②支台装置 ③床から成り立ちます。
支台装置とは、歯に設置する装置で、一般的には「バネ」と呼ばれる部分になります。専門的には「クラスプ」と呼び、部分入れ歯と支えとなる歯をつなぐ役割をします。
2.欠損の分類
総義歯と比較すると欠損歯の数や位置によりPDの難易度が大きく変化します。残存歯列に対する欠損の位置関係の分類がいくつかあります。
<Kennedy分類>
class I :両側性遊離端欠損
class II :片側性遊離端欠損
class III :中間欠損
class IV :正中をまたぐ中間欠損
<アイヒナーの分類>
左右の小臼歯部と大臼歯部の「支持域」による分類です。
A:4つ全ての咬合支持域があるパターン
①上下顎ともに欠損がない
②上、もしくは下どちらかにに欠損がある
③上下の欠損があるが支持域は4つ残っている
B:咬合支持域が減少したパターン
①咬合支持域が1つない
②咬合支持域が2つない
③咬合支持域が3つない
④咬合支持域が4つない
C:咬合支持域が全てないパターン
①上下に残存歯あり、すれ違い
②上下どちらかが無歯顎
③上下両方が無歯顎
<宮地の三角>
1981年に宮地が発表した欠損歯列の分類で、上下顎の現存歯数(28~0歯)と咬合支持数(14~0ヵ所)から、欠損歯列を4 つのエリアに分けて、欠損歯列の病態レベルを評価・スクリーニングする方法です。
第1(咬合欠損)エリア:咬合支持数10以上、咬合支持が安定しており欠損拡大のリスクが小さい。
第2(咬合欠陥)エリア:咬合支持数5〜9。歯の喪失が進行、咬合支持も減少し、歯列が不安定になった段階。的確な対応がなされないとさらなる崩壊を起こす。
第3(咬合崩壊)エリア:現存歯数10〜18、咬合支持数4以下。歯列条件が悪く、対応がきわめて難しい。
第4(咬合消失)エリア:現存歯数10未満、咬合支持数4以下。現存歯列・咬合支持数とも減少した少数歯残存症例。一般的には上下顎の力学的不均衡の度合いがやや緩和されている。
3.サベイング
部分床義歯を設計する際、まずサベイングを行います。サベイングとは、義歯の着脱方向に対して、残存歯や顎堤の最大豊隆部を求めたり、アンダーカットを測定したり、また、補綴物について平行性を調べたりする作業のことです。部分床義歯作成にあたり欠かせない作業です。
部分床義歯は総義歯とは異なり、着脱方向が残存歯により規制されます。そのため着脱方向に対して存在するアンダーカットには義歯床を伸ばせなくなります。しかしクラスプは、維持歯のアンダーカット領域にその先端を起き義歯の離脱に抵抗するが、クラスプの種類によりアンダーカットの示される領域が異なります。アンダーカットの程度に適さないクラスプを用いると、維持力が過大になり義歯の着脱が困難になるだけでなく、維持歯に大きな負担をかけてしまうため注意が必要です。
4.アタッチメントの種類
部分床義歯では、残存歯にアタッチメントを付与することができるため、アタッチメントの種類が総義歯より豊富です。
(1)歯冠外アタッチメント
歯のかぶせものの外側に突起をつけ、入れ歯の内面に突起を挟み込むレールを内蔵することで、外側に針金を出さずに部分入れ歯を維持させることが出来ます。
(2)歯冠内アタッチメント
被せ物にも溝を掘り、そこにピッタリと適合するクラスプを装着することで、安定性にすぐれ、さらに出っ張りも気にならなくなります。
(3)コーヌスデンチャー
内冠と呼ばれている金属の土台の上に、外冠を装着し維持力を得る入れ歯です。バネを使っておりませんが、外れにくく審美的な回復が可能です。茶筒の蓋の摩擦に似た効果です。
ほかにも、アタッチメントの種類は豊富にあります。患者さんの口腔内にあった最適のアタッチメントを提案させていただきます。
5.手入れの方法
よく聞く、誤った入れ歯の手入れ方法をまず説明します。
(1)入れ歯を熱湯で消毒する
確かに「煮沸消毒」は、殺菌効果が科学的に認められていますが、入れ歯を熱湯で消毒するのは絶対に行わないでください。歯肉部分のプラスチックは、熱に弱い樹脂で出来ています。
(2)歯磨き粉で入れ歯をブラッシングする
入れ歯は人工物ですが、本物の歯と同じように、プラークが溜まっていきます。プラークを放置していると、頑固な歯石となり、見た目を損なったり、口臭を放ったりしてしまいますので、入れ歯の洗浄は欠かさず行いましょう。しかし、歯磨剤を用いて入れ歯を磨くのはやめましょう。研磨剤により、目に見えない傷が入れ歯の表面についてしまい、逆に汚れや匂いの原因になってしまいます。入れ歯洗浄ブラシや入れ歯洗浄剤を使いましょう。
洗浄剤にも総義歯用と部分義歯用があります。入れ歯の形ではなく、金属を使っている義歯の場合、部分義歯用を用いるようにしましょう!部分入歯用の洗浄剤は、金属を傷つけない成分になっています。
義歯を長期間安定して使うためには定期的な検診と調整が必要になります。痛みがなくても定期検診は受診するようにしましょう。せっかく費用と時間をかけた大事な入れ歯が合わなくなってしまうとまた最初から作成になってしまいます。残っている歯や歯茎、噛み合わせの変化に馴染ませていく形で定期的な入れ歯のチェックと調整をし、少しでも長く快適に使えるようご協力いたします。また、入れ歯を持ってきていただければ専用の薬剤で超音波洗浄を行いますのでご気軽にお声掛けください。