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スポーツドリンクについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。暑い日が増えてきて飲む機会が増えるスポーツドリンクについてお話ししていきます。


【目次】
1.スポーツドリンクとは
2.主な成分と役割
3.糖と歯
4.酸と歯
5.歯への悪影響
6.子供の場合
7.上手な付き合い方


1.スポーツドリンクとは

国立 歯医者 ジュース

ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質が入っている「イオン飲料」の一種です。
人の体液には水分のほかに電解質が含まれています。細胞内を流れる体液が正常に働くために、この電解質が必要になります。大量の汗をかくと、この電解質が体外に出ていきます。体液と電解質の減少により引き起こされるのが脱水症です。脱水症は熱中症のリスクを高くするため注意が必要です。電解質を補うのに適した飲み物がイオン飲料:スポーツドリンクです。

2.主な成分と役割

①水

電解質により効率よく水分補給が行われます。

②電解質

食塩、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどが含まれています。

電解質の補給と水分の吸収効率を上げることが出来ます。

③糖

砂糖や果糖ブドウ糖液糖(果糖とブドウ糖の混合物)などが含まれています。

糖分は運動で失ったエネルギーを速やかに補給することが出来ます。

④酸

クエン酸、アミノ酸、酸味料、酸化防止剤などが含まれています。

飲んだ時の甘さを抑え、味の調整を行うために酸味料が含まれています。

また、飲み物の酸性度を高めることで飲み物の保存性を高めることが出来ます。

クエン酸、アミノ酸は疲労回復効果もあります。

3.糖と歯

国立 歯医者 砂糖

500mlペットボトルのスポーツドリンクの中にはおよそ30グラムの砂糖が含まれています。

世界保健機構(WHO)が推奨する1日の砂糖の摂取量は25gです。

一本飲むだけで砂糖の取りすぎになってしまいます。

砂糖は虫歯の原因です。

液体なので、歯と歯の間に入り込みやすくなっているため、歯と歯の間の虫歯を引き起こしやすくなります

4.酸と歯

国立 歯医者 酸

酸味は甘味を抑えます。

前述した通り多量の砂糖が入っているスポーツドリンクの甘味を感じにくくさせています。

様々な酸性の成分が含まれているため、酸性度はpH3.5あたりと高い酸性度を示します。

pH5.5を下回ると歯の脱灰が始まります。

そのためpH3.5位のスポーツドリンクを飲むと脱灰が始まってしまいます。

飲食物の酸により歯が溶ける現象を酸蝕症といいます。

スポーツドリンクの酸性はこの酸蝕症を引き起こします。

5.歯への悪影響

糖や酸などの成分による悪影響以外にも、状況による悪影響もあります。


・スポーツ中など、スポーツドリンクはペットボトルで頻繁に飲むことが多い。

ダラダラ食べ、ならぬダラダラ飲みと言えます。

糖や酸が常にお口の中にあるために、口内のpHが戻らず再石灰化が起こらず脱灰が進んでしまいます。

詳しくはこちらをご覧ください。


・スポーツ中は口呼吸により乾燥する。

唾液が減少するため、唾液の働きも弱まります。

唾液の働きについてはこちら

・象牙質はエナメル質よりも酸に弱い

加齢や歯周病によって歯茎が下がり、歯の根面(象牙質)が出てくることがあります。

根面う蝕のリスクが上がります。
歯の構造についてはこちら

6.子供の場合

乳歯(子供の歯)や、交換してすぐの永久歯(大人の歯)は酸に弱いため、大人にくらべて虫歯や酸蝕症のリスクが高くなります。

また、交換時期になり、萌出途中の歯があると歯と歯に段差ができ、歯磨きが難しくなります。

そのため磨き残しが多くなり虫歯のリスクも上がります。

また、中学生や高校生になると運動部など激しく体を動かすことが増え、スポーツドリンクを飲むことも増えてきます。

小学生までは仕上げ磨きを行っていただけますが、中学生にもなると仕上げ磨きは卒業していると思います。

中学生になったからと言って歯磨きがいきなり上手になるわけではありません。

さらに、中学生や高校生の永久歯もまだまだ酸に弱い歯です。

大人以上に注意が必要です。

7.上手な付き合い方

(1)熱中症予防のためにも激しいスポーツ中や高熱で大量に汗をかいた時に飲む。

国立 歯医者 汗

脱水症や熱中症で倒れてしまう恐れがあります。予防の為に水分、電解質をしっかりとる必要があります。

しかし、日常生活では特に必要ありません。ちょっと汗をかいたときやのどが渇いた時は水やお茶で十分補給できます。

お風呂上りや寝る前の水分補給もお水、お茶で十分足ります。

麦茶はナトリウムやカリウムなどの電解質を含んでいます。

カフェインも含まれていないためお子様にも安心して飲んでいただけます。

(2)飲んだ後はお口をすすぐ

国立 歯医者 うがい

 お茶やお水で口をすすぐことで酸を薄め、虫歯予防になります。

(3)歯の健康に注意

国立 歯医者 歯磨き

頻繁に飲む必要がある場合、まずは普段の歯磨きを入念に行いましょう。

普段からフロスを使い歯と歯の間もしっかりきれいにしましょう

また、定期的に歯科に通い専門的なお掃除を行い、お口の中に問題がないか、チェックしてもらうことも大切です。


最近だと、スポーツドリンクに代わるものとして経口補水液が注目されています。

経口補水液は水分と電解質のバランスがちょうどよく、すばやく水分補給が行えます。
糖質も1~2%と少量なので脱灰のリスクが少ないです。

特に水分が足りないとき(脱水状態)はおいしく感じられ、水分が足りているときは何も感じられないという特徴があります。

これは体が欲しているサインがわかりやすく、かつ効率よく水分補給してくれるためおすすめです!

体の水分が不足すると唾液の分泌も低下してしまいます。唾液の働きはお口の中でとても重要な働きをしてくれます。


夏が近づき、スポーツドリンクを摂取する機会や回数が増えてきます。スポーツドリンクによる虫歯の進行は、ご自身では気づかないうちに進行していることもあります。定期的な虫歯の有無をチェックしてもらいましょう。

暑い夏には欠かせない水分補給!水分は体でもお口の中でもとても大切な存在です。こまめにミネラルと水分補給を行い、熱中症予防を行いましょう!